待遇面では天国の米PGAツアー 莫大な放映権料収入がカギ 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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待遇面では天国の米PGAツアー 莫大な放映権料収入がカギ

連載「マルちゃんのぎりぎりフェアウエー」

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 プロゴルファーの丸山茂樹氏が、米PGAツアーの素晴らしさについて語った。最高なのは賞金総額だけではないという。

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 年が明けてすぐ、ロサンゼルスの自宅に戻ってきました。昼間の気温は20度ぐらいあって、暖かいですよ。

 3月中旬まで、こちらでオフを過ごします。時差ボケもなくなり、トレーニングをスタートさせたところです。

 せっかくアメリカにいるので、アメリカと日本のゴルフ事情の違いについて語ってみたいと思います。まずは米PGAツアーと日本男子ツアーについてです。

 もう、最大の違いは賞金総額ですよね。昨年10月に開幕している今季の米ツアーの賞金総額は、レギュラーツアー41試合で約200億円。1億円選手なんて、100人ぐらいいるんです。今季の日本ツアーの賞金総額はまだ公表されてませんが、昨季の33億5414万円を下回る可能性がある。昨季の1億円超えは、賞金王の松山英樹を始め、4人だけでした。

 米ツアーの資金力は半端じゃなく強いんです。なぜか。莫大な放映権料収入につきます。

 僕が米ツアーに参戦した2000年の少し前ぐらいからですかね。タイガー・ウッズ見たさで、世界中に放映権がバカ売れしたんです。それまでは、日本ツアーの最終戦の賞金が高いから、米ツアーから有名どころが来てましたからね。もう、そんなこと言う人は誰もいなくなりました。いまは150カ国ぐらいで米ツアーが見られるんです。すごい話ですよね。

 この収入を選手に還元していくんです。

 まず試合に至るまでの待遇が素晴らしい。空港に着いたら、何時であろうと、ゴルフ場からトランスポーテーションの係員が空港まで迎えに来てくれます。またPGAツアートラベルというのがあって、頼めば格安チケットが手に入る。若手にはありがたい。

 ゴルフ場では、チップさえ払えば3食タダで食べられる。ゴルフ場に置いてあるビールからジュースからお菓子から全部持っていっていい。国際電話もタダだし、選手一人ひとりにパソコンや電話が配られる。そういう付加価値がいっぱいあるんです。日本だと試合期間中に使うレンタカーも自分で用意しないといけないけど、米ツアーはその1週間使える車
を1台、用意してくれるんです。

 だから選手にしてみたら、1年で地球を6周するような移動の過酷さがあっても、米ツアーで絶対にやりたいという気持ちがわいてくる。モチベーションが上がってくると、「ここはパラダイスだ」「オアシスだ」と言って、必死で頑張るうちに、ハングリー精神が結果にリンクしていくのかな、と思いますね。

 過去の優勝者に対するリスペクトも素晴らしい。一度でも優勝すれば、生涯ツアーカードをもらえるんです。米ツアーの観戦は自由で、練習場も好きなように使える。僕も3勝してますので、毎年、僕と妻の分のカードが送られてきますよ。日本では何勝していようと、
こういった待遇は皆無ですからね。

 引退後の年金システムもしっかりしてますよ。予選通過の回数や、その年の賞金ランキングなどをもとに算出されるんですけど、こんな発想も日本にはない。米ツアーに学ぶべき部分は多いですよ。

週刊朝日 2014年1月24日号


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丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表ヘッドコーチを務める。19年9月、シニアデビューした。

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