五十肩と誤って診断されることが多いという肩の腱板(けんばん)断裂は、肉体労働や家事などの動作、スポーツなどによって幅広い年齢層に起こる。肩の痛みで整形外科を受診したところ、腱板断裂だったという場合が少なくない。無症状のケースもあり、人によって気づかないまま進行してしまうこともある。船橋整形外科スポーツ医学センターの肩関節・肘関節外科部長の菅谷啓之医師は言う。
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 腕を上げられるのに痛みがあるということは、五十肩ではありません。五十肩は関節内で炎症を起こしているため肩や腕の動きに制限があります。一方で、腱板断裂はそれほど肩が固まっていません。まれに腕を上げられないことはありますが、左右に開いたり、後ろに回したりする動作はできます。
 運動療法や術後のリハビリでは、肩甲骨、胸郭、背骨、骨盤の動きを整えていくことが重要です。これらの周囲の筋肉の緊張を取って、からだの中心部分が柔軟性をもって十分に動くようにしていけば、肩は100点満点のパフォーマンスを発揮できます。筋肉のバランスが整うことで姿勢がよくなり、周囲から「若返った」と言われる患者さんも多いです。

※週刊朝日

 2012年4月20日号