「ゲームや動画に夢中な子には、どんな本をすすめたらいい?」小学校の現役司書に聞く“読書のお悩み”
(写真はイメージ/GettyImages)
「絵本はそろそろ卒業?」「本のジャンルをどう広げてあげたらいい?」など、親の読書にまつわる悩みはさまざまです。四つの小学校の司書さんに読書の悩みを聞きました。「AERA with Kids2024年春号」(朝日新聞出版)からご紹介します。
悩みに答えてくれた先生たち
○立教小学校(東京都) 藤本静香先生
○小林聖心女子学院小学校(兵庫県) 合屋月子先生
○なぎさ公園小学校(広島県) 藤森由美先生
○大日向小学校(長野県) 河合計幸先生(中学校)、柳橋絹子先生(小学校)、秋山真一郎先生(小学校教務主任)
本よりゲームや動画に夢中
Q ゲームや動画に夢中で本に関心がなく、本屋や図書館に連れて行っても好きな本を選べません。そんな子でも学校で人気の分野があれば教えてください。
A 活字への興味は「慣れ」が左右すると思っています。読書で楽しかったという経験があるかどうかが大事。まずは、子どもが興味ある分野で、本を開いて楽しかった、という経験を積むことが大事かなと思います(小林聖心女子学院小・合屋先生)
『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』や『ハリー・ポッター』シリーズのような映像化作品では続きが気になり、本を手に取る子もいます。ゲームが好きな子で三国志のような歴史ゲームに夢中な場合、それに絡めた歴史ものの本を紹介するのもひとつの手です(なぎさ公園小・藤森先生)
いつもと違う分野の本に興味を持つには?
Q いつも同じシリーズや同じジャンルの本ばかり読んでいます。ほかの分野にも興味をもってほしいのですが、コツがあれば教えてください。
A いまは、そのシリーズを読みたい時期なんですよね。何年も『かいけつゾロリ』だけ読み続けていた子が、5年生になったら突然『こわいもの係』(KADOKAWA)を手にとりました。気にしなくてもちゃんと次へ進むので大丈夫です(大日向小のみなさん)
たとえば偉人好きな子はお城には興味があまりいきません。そういった場合は、いろいろな種類の偉人の伝記を提案しつつ、その偉人と関わりのあるこの偉人も読んだほうがいいよ、と軸は同じのまま広げていくようにしています(立教小・藤本先生)
絵本から幼年童話への移行はどうしたらいい?
Q 絵本の読み聞かせから、 自分で読む幼年童話へスムーズに移行するタイミングやポイントがあれば教えてください。
A ひらがなとカタカナの学習が終わるタイミングで、これぐらいは読んでほしいと思うステップアップ的な本を絵本にまぜてみるものいいですね(なぎさ公園小・藤森先生)
『日曜日』シリーズや『はれときどきぶた』シリーズなど、おもしろいと次が読みたくなるシリーズもので、比較的絵が多いものがおすすめです(立教小・藤本先生)
何歳になっても読み聞かせしていていいと思います。そのとき、本は親が読みたい本でいい。教育的な観点で選ばず、親御さんがおもしろいと思う本を勝手に音読していると、活字に興味のないお子さんも意外と聞いています(大日向小のみなさん)
Q 字が多い本を読みません。絵の多い幼年童話から字の多い児童書にスムーズに移行するタイミングやポイントがあれば教えてください。
A 親やきょうだいが本を読んでいると気になるものです。そのとき、「これ読もうよ」と押し付けるのはNG。身近に置いて、自然に自分から手にとるまで気長に待ってみてください(小林聖心女子学院小・合屋先生)
少し難しめの本でも、1日10分でも、1週間に1回でもいいので継続して朗読してあげると、お話の世界に引き込まれ、続きが待てず、自分から読み始める子もいます。男子は絵や写真の多いノウハウ本に移行する子も多いので、朗読や友達からの口コミなどで刺激を与えてみるのもいいですね(なぎさ公園小・藤森先生)
集中して本を読むには?
Q 家で読書しても途中で飽きて他のことをしてしまいます。本に集中しやすい最適な環境があれば教えてください。
A 子どもの読書中に、家族がスマホやテレビを見ていたら集中はできませんが、静かな部屋でも集中して読み続けるのはつらいですよね。疲れたら一回やめていいと思います。一緒に読書時間をつくることもおすすめです(大日向小のみなさん)
家の中のいろいろな場所に本を置いたり、表紙が見えるように面出ししたりしてみましょう。面出しする本を定期的に変えると、部屋の景色が変わるので、「あれ?」と手を伸ばすきっかけづくりにもなります(立教小・藤本先生)
(取材・文/AERA with Kids編集部)
AERA with Kids+
2024/05/24 11:00