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賭博問題に揺れたバドミントン界、五輪代表決定 初の金メダルも期待できる陣容
賭博問題に揺れたバドミントン界、五輪代表決定 初の金メダルも期待できる陣容
女子ダブルスの世界ランク1位につける高橋礼華/松友美佐紀ペア。日本バドミントン勢初の金メダル獲得が期待される。(Getty Images)  1年間の獲得ポイントで争われる、バドミントンのオリンピック代表選考。5月1日でその“五輪レース”が終わり、日本の出場選手が確定した。  日本勢初の金メダルが期待できるのが、女子ダブルスの高橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)ペアだ。14年、ヨネックスオープンジャパンで年間12大会あるスーパーシリーズ(SS)初優勝を遂げると、その年には年間上位8ペアによるSSファイナルも日本勢として初優勝。今季はもっとも権威があるとされる全英オープンの女子複で日本勢38年ぶりVのほか、1日に終わったアジア選手権でも初優勝し、世界ランキング1位をキープしている。  高橋が聖ウルスラ学院(現聖ウルスラ学院英智)高2年の07年、1学年下の松友と組んだのがペアのスタートだ。「組んですぐに、しっくりきた」と高橋が言うように、08年の全日本総合選手権では、高校生ながらあのオグシオに善戦。11年の全日本総合で日本一になったが、ロンドン五輪レースでは世界ランク20位と日本勢4番手で、届かなかった。  だが今回は、鉄壁のレシーブに「松友が前で私が後ろというのが得点パターンなんですが、いまは私が前衛でもバリエーションが増えた」(高橋)という攻撃力が加わり、堂々の世界1位。これまで日本勢が苦手としてきた中国勢とも、互角以上の戦いを演じてきた。「ロンドン五輪では、自分たちもいい勝負をしていたフジカキ(藤井瑞希/垣岩令佳)さんたちが銀メダルを取ったので、すごい、と思う半面、悔しかったですね」と松友は言う。「あれで“次は自分たち”、と意識がすごく変わった」と口をそろえる2人の“次”が、リオで現実のものとなる。  女子シングルスでは、奥原希望(日本ユニシス)と山口茜(再春館製薬所)の2人が代表だ。いずれも、高校時代に全日本のタイトルを獲得し、スーパー高校生と呼ばれた2人。とくに奥原は昨年、ヨネックスオープンジャパンで初めてSSを制すると、SSファイナルも制覇と大ブレークした。今季も、全英オープンの女子単で日本勢39年ぶりに優勝するなど、好調を続けている。ネコ科動物のようにすばしこく、足を止めずに辛抱強くレシーブし、相手にストレスをかけ、自分からはミスをしない。すると「さらに厳しいコースを狙ってアウトになるし、フットワークが鋭いので、速くタッチされてペースを乱される」(ある対戦相手)。小柄ゆえの攻撃力不足は、明晰(めいせき)な頭脳から組み立てる配球の妙で補う。もつれた第3ゲームもほぼモノにする勝負強さは、そこから生まれている。  勝山高校1年でSSを制した山口は、やはり小柄ながら身体の強さからくるパワフルなスマッシュ、連続攻撃が身上。今季入社した再春館製薬所は拠点が熊本県にあり、大地震に見舞われた地元の不屈をみせてほしい。  ほかに男子シングルスでは、賭博問題で資格を抹消された桃田賢斗に代わり、日本勢1位のベテラン・佐々木翔(トナミ運輸)が出場する。2回目の五輪となる剛腕サウスポーの33歳。ロンドンでは、金メダリストとなる林丹(中国)と互角の名勝負を演じ、ベスト8に入った。五輪出場がなければ、6月の国内大会限りの引退を視野に入れていたが、「それが2カ月延びた。できるだけのことをする」と有終の美を飾るか。  男子ダブルスは、国内第一人者の早川賢一/遠藤大由(日本ユニシス)。世界ランク最高は2位で長くトップ10をキープし、SSの優勝はないが全英オープンでは3度の準優勝、世界選手権3位の実績がある。スピーディーで目まぐるしい攻撃は圧巻だ。混合複には、数野健太/栗原文音(日本ユニシス)が滑り込んだ。前回の池田信太郎/潮田玲子に次ぎ、日本からこの種目の出場は2組目となる。15年のヨネックスオープンが、本格的なペア結成。キャリアが短いだけに、コンビネーションやレシーブなどに課題は多いが、どちらも屈指の攻撃力が魅力だ。  北京では最高4位、ロンドンでは銀と、ステップアップしてきた日本バドミントン勢。さて、今回は……。 (文・楊順行)
リオ五輪
dot. 2016/05/05 17:00
「かわいそうなぞう」への思い 秋山ちえ子さんを悼む
「かわいそうなぞう」への思い 秋山ちえ子さんを悼む
最後の「日曜談話室」収録に入る秋山ちえ子さん=2005年9月 (c)朝日新聞社  6日に亡くなった評論家の秋山ちえ子(本名・橘川[きっかわ]ちゑ)さんは、日本の女性放送ジャーナリストの草分けだった。40年以上にわたり、ラジオ番組のパーソナリティーとしても活躍した。 「真の平和主義者を失いました。本当に残念です」  秋山さんの主治医で、聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さん(104)は本誌の取材にそう語り、「同志」を悼んだ。  秋山さんは、自身の半生を問われると、よく「戦前の昭和と戦後の昭和に分けられる」と語った。 「戦前の昭和」は、第2次世界大戦前の「良妻賢母」教育の時代。東京女子高等師範学校(現・お茶の水女子大)を卒業後、ろうあ学校教諭をやめて、夫の赴任する中国にわたり、家事と子育てに専念した。  終戦の2年前に孫を見せようと一時帰国。戦局の悪化で大陸には戻れず、食糧難、買い出し、内職に追われる暮らしへ。「戦後の昭和」への転機はラジオへの出演だった。教諭時代に放送の研究会に通っていたことが縁で声がかかった。  戦後間もなく開始したNHKラジオ「婦人の時間」に秋山さんが初登場したのが1948年。翌年には「私の見たこと聞いたこと」でリポーターを担当。57年スタートのTBSラジオ「昼の話題」、そして「秋山ちえ子の談話室」に。日々のささやかな話題から時事問題、森羅万象を扱うコラム番組にはファンが多かった。2002年、85歳まで続けた放送回数は1万2512回。  毎夏、終戦記念日に繰り返した童話『かわいそうなぞう』(土家由岐雄作、金の星社)の朗読は、TBS時代に始まった。終戦間際に動物園で餓死させられたゾウの悲話だ。静かな語り口は聴く者の心を揺さぶり、最初の2年、自ら刷って配った物語のパンフレットは、絵本の再版へとつながった。反響の便りは毎年、数百通も届いた。  数年前からかかりつけクリニックの定期健診に出向くのは難しくなったという。米国に住む息子らが定期的に訪ねてはいたが、一人暮らしを貫いた。 「亡くなる前日まで、意識はしっかりしていました」  秘書の長原旬さんは話す。最後の食事は、うなぎとバナナ、イチゴを一口ずつ。「おいしいわね」とほほ笑んだという。  自宅の居間には、大きな切り株のテーブルが置かれている。隣地の開発で伐採されると聞いたイチョウを秋山さんが譲り受け、加工して愛用したものだ。享年99。いのちを慈しむ人だった。(本誌・渡部薫) ※週刊朝日  2016年4月29日号
お悔やみ
週刊朝日 2016/04/21 16:00
一流アスリートを転落させる「2つの呪縛」 バドミントン男子の賭博問題で考える
島沢優子 島沢優子
一流アスリートを転落させる「2つの呪縛」 バドミントン男子の賭博問題で考える
日本バドミントン協会は事件後、茶髪や華美なアクセサリー、海外での合法カジノへの出入り禁止を検討中。「抑圧することでは解決できない」「ズレている」との批判も (c)朝日新聞社 AERA2016年4月25日号から 4カ月後の金メダルに手が届きかけていたバドミントン選手が、まさかの転落。プロ野球だけでなく、一流アスリートが簡単にわなに落ちるのはなぜなのか。(ライター・島沢優子)  バドミントン男子日本代表としてリオ出場が確実視されていた桃田賢斗選手(21)とロンドン五輪に出場した田児賢一選手(26)が東京都内の違法カジノ店で賭博をしていた問題で、所属先のNTT東日本が4月8日に開いた記者会見。テレビのニュースでは「桃田は日本の宝。もう一度チャンスを」と田児選手が号泣した場面がクローズアップされたものの、実は会場がやや白けた空気に包まれた時間があった。  賭博をすることにためらいはなかったかという最初の質問に、田児選手がこう返したのだ。 「自分が言うのもなんですが、桃田の今の結果を見てもらえればわかるとおり、そういうこと(賭博)はしていましたが、そういうことを中心に生活をしていたら、今の桃田の結果は絶対にありません!」  その後は謝罪を繰り返し、受け答えも総じてハキハキとしていた。桃田選手を含む部員7人を誘って違法カジノ店に60回程度通ったこと、部員仲間に1150万円もの借金をしたことなどを明らかにした。何か吹っ切れているふうでもあった。 ●事の重大さを受け止めきれず  そんな田児選手とは対照的に、店に6回行ったという桃田選手は叱られた子どものようにうなだれ、「バドミントンが充実していて集中しているなかで、意識していなかったところからこうなって……」と消え入るような声で話した。五輪直前に金メダル候補が出場見送りになる前代未聞の事件を、誰より桃田選手本人が受け止められない様子が見て取れた。  2人とも、日の丸をつける一流アスリートどころか、社会人として幼さや感覚のズレを感じざるを得なかった。  東京オリンピック・パラリンピック開催を4年後に控え、スポーツ選手の不祥事が続く。  昨秋から巨人の4選手が野球賭博で相次いで処分されたうえに、数年前から覚醒剤使用のうわさがあった元プロ野球選手の清原和博被告(48)が、所持の疑いで現行犯逮捕された。ここまでは、年俸の高いプロ野球だけの話かと思いきや、次はどちらかといえばマイナー種目だったバドミントン。桃田選手が約3年で賞金2700万円を手にするなど、意外に「稼げるスポーツ」であることが、関係者の本意でない形で注目を集めてしまった。  なぜ、一流スポーツ選手らは道を外してしまったのか。  アスリートの育成に詳しい文教大学国際学部の小林勝法教授は「多くの人は、スポーツによってよりよい人間形成を遂げている」と前置きしつつ、指導者など選手にかかわる大人たちの二つの考え方を理由に挙げる。 ●大人の成果主義 一筋主義が原因  一つ目が「成果主義」だ。 「小中高の部活動における勝利を求めすぎる傾向が一つの弊害。保護者や学校関係者が期待し、顧問は結果を残さなければと躍起になるあまり、練習時間が延びて学習時間が確保できない」  もう一つが「一筋主義」。本来、子どもは複数のスポーツを楽しんだり、文化的な活動などをしたり、いろいろすべきだと小林教授は考えるが、「日本人はひとつのことをやり遂げるという“一筋”が好き。それらを要因に、得意なスポーツさえしていればいいという風潮になり、社会の常識や公正性を身につける機会が失われたのではないか」  小林教授が出会った、高校時代に全国トップレベルだった女子の大学柔道選手は高校時代、寮生活。ほとんど外出したこともなく、週末は「これから遠征だ」と朝になって突然言われるので、自分で何かしら計画を立てたこともないという。 「選手は思考停止になる。忍耐強いが、自分で考える力や主体性に乏しい。幼少時から天才と呼ばれ、抜きんでた存在であれば、なおさらそうなる」  清原被告も桃田選手も「天才」と言われて育ったはずだ。都内の中学校で長年バドミントン部の顧問を務める50代男性教師は言う。 「バドミントンは親がコーチだったりして幼くして始めた子が絶対的に強い。多くは中学から始めるのですが、少年団からキャリアを積んできた子は圧勝する。ずっと日本の頂点に君臨してきた桃田選手らは、自分は何をしてもいいと思ったとまでは言わないが、強い有能感を持っていたのは間違いない。そこが落とし穴になったのではないか」  また近年は、体育、スポーツ科をもつ高校が全国で約140校に。野球やバスケットボールなどさまざまな部活生がスポーツ推薦で進学するケースが増えたと男性教師は感じる。受験勉強が必要な一般入試を避けたいがために、スポーツ推薦を選ぶケースも少なくないという。 「選手でダメだったらトレーナーになります、と言う。トレーナーの需要がいかほどか知っているのかと聞けば何も知らない。親は子どもが挑戦したいからと言うが、子どもの人生にとってどうなのかを熟慮してほしい」 ●体育系の学科 大学に急増中  ひと昔前は「スポーツバカになるな。運動ばかりせずに勉強しろ」と大人に言われたものだ。今は科学トレーニングなどの導入で練習時間が短くなり文武両道を目指しやすい傾向にある一方、安易に大学への道が開かれる土壌が拡大しつつある。  その背景には「体育学科バブル」があるとも言われる。  2005年度の文部科学省学校基本調査報告書によると、体育学部以外に「スポーツ・健康学部」を設置する大学は1校だった。だが、学校検索サイト「ナレッジステーション」で16年度の日本の大学を「スポーツ・健康科学」で検索すると、その関連の学科の設置件数は139に上る。学部と学科の違いはあれど、10年ほどで著しく増えた理由は、大学が知名度アップに運動部強化を目指す従来のパターンだけでは説明がつかない。  Jリーグをはじめ、拡大するスポーツビジネスに関心を持つ学生が増えたうえ、大学の設置基準が緩和された影響も大きい。二つの要因が重なってスポーツ関連学科が増えているのだ。しかし、前出の小林教授は「適切に指導する人材がそれに間に合っていないのではないか」と心配する。実技試験のない、もしくは競技実績と関係ないスポーツ推薦入試も存在するという。 ●キャンプ通じて正しい行動学ぶ  一連の事件を受け、日本バスケットボール協会の川淵三郎会長が「ジュニアから教育を」と提案したように、選手への早期の社会教育が叫ばれ始めた。  以前から早期教育に取り組んできたのが、Jリーグ2部・京都サンガF.C.普及部長の池上正さんだ。数年前からジュニアのスクールのプログラムにデイキャンプを採用。小学生が自分たちの力でテントを立て、米を研ぎ、料理をつくって親たちにふるまう。活動のなかで、仲間と助け合い、人として正しい行動や哲学を経験から学びとる。「言動がしっかりしてくる」「自分から取り組むようになった」と保護者からも評価を得ている。 「オシムさん(元日本代表監督)が、サッカーは人を育てると言ったように、本来スポーツは人を成長させるもの。それなのに、大人が勝ち負けや技術の進歩だけに注目していると、子どもの全人格的な育ちはない。ジュニアのうちに、勝ち負けよりも重要なこと、リスペクトされる選手像とは具体的にどういうものなのかを、心と体にしみ込ませなくてはいけません」  そう話す池上さんもかつて、旧知のブラジル人コーチから聞いて驚いたことがある。7歳でクラブとプロ契約したそのコーチはその後、さまざまな講習を受けた。たばこやアルコールがどれだけ健康を害するか。ドラッグがいかに恐ろしいものか。すべて専門の医師がやってきて、映像や画像を用いて頭と心にたたき込む。  また選手たちは、自分のクラブが輩出した代表選手の名前を、加入年も含めて全員暗唱できた。ブラジル国旗をつけるセレソン(代表)は国民の英雄。特別な存在だからこそ、格段にリスペクトされる人間にならなければいけない、と教え込まれていた。 「ブラジルはそんなことを40年前からやっていた。日本も育成そのものを見直す時期だと思う」  アスリートとしての名声を得られても、大人になり切れなかった面々の後悔の涙から、日本のスポーツ界が学ぶべきものは大きい。 ※AERA 2016年4月25日号
AERA 2016/04/18 16:00
「金メダル」のみを求められる戦い リオ五輪に臨む日本女子柔道の現状
「金メダル」のみを求められる戦い リオ五輪に臨む日本女子柔道の現状
前回大会唯一の金メダリスト松本。彼女を筆頭に、全員が金メダルを期待されるなかでリオ五輪に臨む。(c)朝日新聞社 ■日本柔道に課せられた「金メダル」というミッション  オリンピックで日本の金メダルが期待される競技の筆頭に挙げられる柔道。2012年のロンドンでは、史上最低の金メダル1つに終わったとはいえ、すべての大会で日本に金メダルをもたらし続けている唯一の競技である。銀メダルを獲った選手がインタビューで「すみませんでした」と語り、悔しさを露わにする日本柔道は、やはり特別だ。  そのミッションである「金メダル」を目指す柔道日本代表(JOCが派遣を承認するまでは正式には「日本代表内定選手」だが、ここではそう記す)について、まず女子の7名が出そろった。 ■日本柔道ナショナルチームの「戦い方」  オリンピック本番での戦いを占う前に、日本柔道がこの4年間どのように世界と戦ってきたのかを紹介したい。日本柔道が「世界一」を目指すことは今も昔も変わらないが、2009年以降、この競技に大きな変化が起きた。国際柔道連盟がワールドツアーとランキング制度を導入したのだ。テニスのようにワールドツアーに参加し、その成績で世界ランキングが変動。オリンピックへの出場権をその年の5月末の時点のランキング上位者に与えるというものだ。  北京大会までは谷亮子や野村忠宏のように休養期間を置いて、オリンピックイヤーに照準を合わせて代表となるような選手や、北朝鮮などから出場する未知の強豪選手もいたが、ツアーとランキング制度の導入により、ツアーに出場し続けなければ上位に入ることはできず、当然、オリンピックに出場することは難しくなった。  この制度が導入されて初めてのオリンピックとなったロンドンでは、「日本選手は世界ランキング1位であらねばならない」という「金メダル」と同様の呪縛から、ワールドツアーに選手を出し続けた。その結果、日本選手は疲弊し、ライバル達に自身を分析される情報を与え続けることとなり史上最低と言われる結果を招いた。  その後、不祥事による強化体制の一新もあり、「世界で結果を残しつつ、オリンピックで成果を出す」ために日本柔道ナショナルチームも戦い方を変えてきた。  ワールドツアーで成績を残した選手に、オリンピック出場圏権内のランキングをある程度維持させる一方で、成績を残せなかった選手は派遣対象から外し、国内の大会で成長を見せた選手と入れ替える。こうして、「オリンピック出場権圏内に多くの日本人選手をランクインさせ、選択肢を持つ」ことを目指してきた。  これまでは、代表選考レースの終盤に現れた新星が「若さと勢い」に賭けて選ばれたり、前述のような復帰したベテランが「経験と実績」を買われて選ばれたりしていたが、いまの柔道の仕組みでは「ワールドツアーで結果を残し、ランキング上位に名を連ねた」者だけが、選考の対象となる。  4月2日と3日に行われた全日本選抜柔道体重別選手権大会には現時点での各階級の日本の上位選手8名が出場し「最終選考会」と銘打たれているが、水泳などのそれとは違い、この大会でのみ勝利しても、世界ランキングに入っていない選手はオリンピック代表には選考されない(ただし、今後のワールドツアー派遣選手とするかどうかの選考には影響がある)。優勝した選手がオリンピック代表に選ばれるわけではないのは、こうした背景がある。 ■任務を託された戦士7名たち  今回、リオ大会の代表に選ばれたのは、いずれもワールドツアーで成績を残し、世界ランキング14位以内にいる選手であり、他の競技で言えば誰もが「メダル候補」と書かれる実力の持ち主だ。しかし、日本柔道であるので、ここは「金メダル獲得に向けて」という観点で彼女たちを紹介したい。  48キロ級代表の近藤亜美(三井住友海上)は2014年の世界選手権を19歳で制した。本人も「私にあるのは若さと元気と勢い」と口にしていたが、世界中のライバルから研究されたこと、また「世界王者らしく」なろうとして空回りしている時期があったが、ベテランの元世界王者・浅見との代表争いの中で一回り成長した。この階級はモンゴルのムンクバット(世界ランキング1位)、モンゴルからカザフスタンに国籍変更し旋風を巻き起こすガルバドラフ(世界ランキング4位)がライバル。近藤は5月のマスターズ(メキシコ)に出場し、世界ランキングの上積みと、シード権の獲得を目指すが、ここでライバルに勝ち、再び「私には元気と勢いがある」と自信をもって言える状態で本番を迎えたい。  52キロ級代表の中村美里(三井住友海上)は北京・ロンドンに続く3大会連続代表。平成生まれの初めての日本人メダリストとなった北京、膝の怪我を抱えながら代表の座をもぎ取るも、初戦敗退したロンドン。手術・リハビリを経て新たな技術も上乗せし、再び世界選手権を制して迎えるリオは、「3度目の正直」という金メダルに向けしっかりと足元を固めている。  57キロ級代表は、前回大会唯一の金メダリスト・松本薫(ベネシード)。対外国人の成績で35連勝を含む無敵状態だったロンドン前と違い、この4年間は何度も敗戦を喫してきた。しかし、敗戦のたびに「今の私には〇〇が必要」とはっきり口にし、次の大会ではしっかりと課題を克服した姿を見せてきた。「野獣」がキャッチコピーの彼女だが、ダーウィンも驚く進化を見せ続けている。全日本選抜柔道体重別選手権大会では、客席の声援を審判の指示と聞き間違えるというミスで敗れているが、課題の見つかった後には必ず進化してきた彼女。リオではどんなニュー松本をみせてくれるか楽しみだ。  63キロ級代表の田代未来(コマツ)は、世界選手権で2大会連続銅メダリスト。この階級はフランスのアグベニュー、スロベニアのトルステニャクが壁として立ちはだかる。ライバルの胸を借りに、トルステニャクの所属する道場に単身武者修行に行くなど、メダルの色を変えるべく奮闘中だ。「一本を取る柔道」でアテネ・北京で金メダルを獲った谷本歩実さんと同じ階級であり、雰囲気も似ており「谷本二世」と言われる田代は、同じコマツに所属し、谷本氏に日々指導を受ける。谷本同様の観ていて気持ちのよい柔道に注目してほしい。  70キロ級代表の田知本遥(ALSOK)はロンドンに続く出場。しかし、この4年間は山あり谷あり。若手のヌンイラ、新井に世界選手権代表の座を譲るばかりか、国際大会の直前に、禁止薬物が含まれる市販の風邪薬を不用意に服用して現地から帰国させられ、「強化選手としての自覚に欠ける」と処分を受けた。代表決定後の会見で「一時は『オリンピック(を目指す)』を口にできない時期もあった」と語ったが、ライバル新井との直接対決で勝ち、代表の座を奪還した。2大会連続で出場を逃した姉のぶんも、そして自身の4年前の無念も晴らすような戦いぶりを期したい。  78キロ級は昨年の世界選手権王者の梅木真美(環太平洋大学)。世界選手権以降は、いまひとつの成績の彼女だが、高校時代(阿蘇高)を過ごした熊本、出身の大分が震災に苦しむ今、地元を元気づけるような奮起が求められる。  そして、17日の皇后杯で決定した78キロ超級の代表は、山部佳苗(ミキハウス)。最後まで代表を争ったのは70キロ級代表の田知本遥の姉・田知本愛だ。昨年の世界選手権では山部は銅、田知本は銀。2月に揃って参戦したワールドツアーの上位大会、グランドスラム・パリでも山部は初戦で敗れたが、田知本は世界ランク1位の于頌(中国)を破って優勝。選考レースは田知本がリードされていたが、全日本選抜柔道体重別選手権大会、皇后杯と直接対決で田知本に連勝し「逆転」で代表に選出された。  金メダルを目指すミッション達成のため、日本人同士での国内成績よりも、国際大会での成績、さらに「世界の強豪との対戦成績」にプライオリティが置かれてきた他階級と比べて、「選考基準がブレているのでは」と選考会議において異論も出たが、田知本が皇后杯で膝を負傷し、リオに間に合うかわからない状況もあり、代表の座を得た。選考で揉めただけに「山部を選んで良かった」と言わせる結果が欲しいが、鍵は「メンタル」だ。選考会議でも「安定感なら田知本だが、山部には伸びしろがある。試合中に弱気になって勝ち切れない山部のメンタルが強化されれば、さらに上積みが見込める」との意見が出された。弱気でも世界3位になれた実力の山部のハートが一皮むければ、ミッションも達成できるだろう。  今後、各代表選手は「金メダル」の確率を高めるため、早速5月初旬のワールドツアーに参戦してリオ本番までの世界ランキングを高め、強豪と決勝ラウンドまで対戦しないシード権を獲得することを目指す。  「上位入賞」「メダルを目指す」とは決して口にせず、「金メダル」のみを目指す彼女たちの極限の戦いは、もう始まっている。
リオ五輪
dot. 2016/04/18 16:00
遠藤憲一、菅田将暉W主演『民王』復活 ツンデレ貝原にも再び会える!
遠藤憲一、菅田将暉W主演『民王』復活 ツンデレ貝原にも再び会える!
『民王スピンオフ~恋する総裁選~』4月22日(金)午後11時15分~テレビ朝日系(*一部地域を除く)原案/池井戸潤 脚本/西荻弓絵 監督/山本大輔出演/高橋一生、相武紗季、升毅、林家正蔵、山路和弘、川岡大次郎、ふせえり、六角精児、金田明夫、遠藤憲一ほかストーリー/泰山の秘書になる5年前、貝原は民政党の大物、郷田の政務秘書官だった。内閣総理大臣の突然の辞任により、総裁選の渦中にいた貝原は初恋の相手、詩音と再会。彼女への想いを抱きながら、貝原は郷田を総理の椅子に座らせるために奔走するが… 『民王 番外編 秘書貝原と6人の怪しい客』4月22日(金)深夜0時10分~配信予定(ビデオパス・テレ朝動画)毎週1話更新原案/池井戸潤 脚本/西荻弓絵ほか 監督/山本大輔ほか出演/高橋一生、矢野聖人 佐津川愛美 ラサール石井 六角精児(声の出演)・金田明夫ほかストーリー/泰山の盟友・鶴田議員の息子で当選1年目の衆議院議員、航の教育係として派遣された貝原。が、翔のはるか上を行く航のおバカっぷりに、あ然。しかし、そんな航の元には日々、さまざまな陳情客がトンデモない要望を持って現れる  長年の苦労が報われ、夢が叶って総理大臣になった父親と、美容や料理に興味のある女子力高い系大学生の息子。ある日突然、そんな二人の魂が入れ替わってしまったことで巻き起こるドタバタ劇を描いたドラマ『民王』(テレビ朝日系)。ヒットメーカー池井戸潤氏の同名小説を原作に持つ本作は、昨年7月に放送されると、深夜帯にもかかわらず初回で8.5%という高視聴率を記録し、瞬く間にドラマファンの間で「これは面白い!」と話題になった。  ドラマ終了後も数々の賞を受賞し、シリーズ化を熱望するファンの声が鳴り止まなかった本作だが、ついにスペシャル版、スピンオフ版、さらにはネットドラマという大盤振る舞いで復活することが決定。果たしてその裏にはどんな制作秘話が隠されているのか。飯田爽プロデューサーに直撃インタビュー。 ●『民王』誕生のきっかけは原作者・池井戸潤氏のひとこと ――もともと、飯田プロデューサーが池井戸作品のファンだったことから、『民王』のドラマ化が決まったそうですね。 飯田:「6年ほど前に一度池井戸さんとお会いする機会があったんです。そのときに、当時制作を担当していた『金曜ナイトドラマ』枠(『民王』も放送されたテレビ朝日の金曜11時台スタートのドラマ枠)についてお話ししたら、池井戸さんから『(深夜なら)僕の作品だったら「民王」が合うんじゃないかな』とおっしゃっていただいて。その時はまだポプラ社のウェブマガジンで連載中だったので、帰って早速読んでみたら面白くて、面白くて。『これって本当に池井戸作品なの?』って思うほど信じられない展開になっていくし、ハジケっぷりがまさに『金曜ナイト枠だ!』って感じでした。すぐに、これをぜひドラマ化したいというお話をさせていただいたんですが、思いがけず時間がかかってしまって。でも月日を要した分、キャスティングも脚本も目指すイメージと一致するものができたと思っています」 ――プロデューサーの目から見て『民王』がここまで人気を得た理由は何だと思いますか? 飯田:「人気を得たと言っていただけるなら、ですが、一番はやっぱり、なかなかテレビドラマの題材としては難しい政治の世界のネタを、しかもコメディとして描いたところが珍しかったんじゃないでしょうか。 『民王』をドラマ化する場合、二通りのやり方があったと思うんです。大真面目に政治のネタに向き合ってヒューマンドラマに仕立てる方法と、今回のように原作の持つコメディ要素を膨らませて、『金曜ナイトドラマ』枠らしい、週末の夜にダラ~っと気軽に見るドラマにする方法。今回は絶対に後者のほうでいきたいと思ってました。おじさんたちが大真面目に『親子が入れ替わる』という荒唐無稽な設定に右往左往しながら問題を解決していくんだけど、どんどん話がややこしくなったり、ヘンな方向に転がっていったりするんです。そこをいかに面白く描いていくかが勝負だと思いました。  それに加えて、役者さんたちの組み合わせがうまくいったのも成功の一因だと思っています。今回は役者さんたちも皆さん、楽しんで演じてくれていて、現場でセリフを足していったり、役のキャラクターを膨らませていったりをしてくださっていたんです。やっぱり、ドラマを見てくれる人たちっていうは、役者さんのお芝居を観たいんだと思うんです。そういう人たちに制作サイドの熱意と役者さんたちの熱意が伝わり、喜んでもらえた結果かなと感じています」 ――確かに、これまで強面役のイメージが強い遠藤憲一さんが演じた「女子力高い系男子役」には驚かされました。 飯田:「私自身、以前から遠藤さんは強面だけどかわいいところがある人だなっていう印象を持っていたので、『民王』のドラマ化が決まったときに、絶対武藤総理の役は遠藤さんにやってもらいたいと思っていて。でも、遠藤さんはスケジュールがいっぱいだったので諦めかけていたのですが、原作と役柄をとても気に入ってくださって、お仕事のスケジュールを調整して出てくださることになったんです。  息子の翔役を演じた菅田将暉くんも、原作を読んで即『やりたい!』って言ってくれました。出演が決まった当時から注目されてはいましたが、『民王』出演中にさらにブレイクし、どんどん人気者になっていきましたね」 ●ツンデレ秘書役で大ブレイク!貝原役、高橋一生という隠し玉 ――実は、そんな主役陣もさることながら、本作は脇を固めた役者さんたちへの評価がすごく高く、中でも、ツンデレな秘書・貝原を演じた高橋一生さんは、テレビ誌が主催するドラマアカデミー賞で最優秀助演男優賞を受賞されるほどブレイクしましたよね。 飯田:「高橋さんは子役からデビューしているし、舞台でも活躍されていて、お芝居がハンパなく上手いんです。だから、こういう掴みどころのない役でも間違いなく演じてくれる確信はありました。貝原は、セリフもそれほど多くないし、わかりやすく面白いことを言うわけでも、するわけでもないのですが、高橋さんが間や表情、セリフの言い回しでコミカルというか、独特の空気感を出して貝原というキャラクターを育ててくださいました。実はここまで貝原の人気に火が付いて驚いているのは高橋さんご自身なんです。スタートした頃は、貝原の少ないセリフで、役柄をどう膨らませたらいいか、戸惑ってたぐらいでしたから(笑)。  正直、貝原人気は私たちの予想を超えるものでした。ツイッターやインスタグラムも貝原ネタのときは異常な盛り上がりを見せてたんです。  あと、どうやら一部の方には貝原と翔くんの関係が少し“BL”っぽく見えるようです。そういう意味でもこの2人は人気でしたね。実は、演出の木村ひさしさんがその反応を面白がって、貝原が翔くんを壁ドンするっていうシーンをサービスのつもりで入れたりしてました(笑)」 ――『民王』が放送されていた金曜ナイトドラマは『トリック』『特命係長 只野仁』『時効警察』など、過去にもドラマファンが喜ぶ、ある種マニアックなドラマをたくさん輩出してきた枠ですよね。 飯田:「まだまだチャレンジングなことができる枠ではあるんですが、『トリック』や『特命係長』をやっていた頃に比べると『深夜』的なカラーは薄くなってきていると思います。  夜の11時15分の枠って、昔は『深夜』だったんですね。でも今はもうひとつのプライム枠ともいえるポジションですし、他局も深夜帯ドラマを多く作っていて珍しくはなくなった。昔よりこの枠はメジャー感のある企画が多くなっていると思います。ただ、その中でも実験的なことや挑戦したいことができる、貴重な枠ですね」 ――そういった意味では、今回『民王』は、スペシャルドラマ版のみならず、貝原を主役にしたスピンオフドラマにネットドラマの配信、さらにはムック本の発売に至るまで、新しい「テレビドラマ」のビジネスモデルにチャレンジしている印象です。 飯田:「ありがとうございます。もちろん、そのためにはビジネス的にクリアしていかなければいけないハードルがたくさんあります。ありがたいことに今回の『民王』は、たまたまうまくいった稀有なケースです。まず原作者の池井戸先生が、私のあれをやりたい、これをやりたいというわがままに、『好きにやっていいですよ』というスタンスで全部認めてくださったことが一番大きく、キャストの皆さんもそれを面白がってくださった。細かく最初から戦略を立てていたというより、キャストとスタッフでできるだけたくさんの人に面白いと思ってもらえるものを作ろうと頑張っていたら、気がついたらスペシャルドラマにつながり、貝原のスピンオフ、ネットドラマ、ムック本の制作につながっていった、という感じです」 ――今回の『民王スペシャル~新たなる陰謀~』(4月15日放送。一部地域を除く)は、まったくのオリジナル脚本になりますが、どんな内容になるんでしょうか? 飯田:「実は原作の中で1つだけやっていなくて気になっていた要素が、『同時多発的に入れ替わりが起こる』っていうものなんです。連ドラの中では武藤総理とその息子、総理の政敵である蔵本とその娘、という2組の入れ替わりを扱いましたが、原作ではもう2組ほど入れ替わっているんですよ。本当は連ドラでやりたかったんですけど、8本の話数では描ききれなかった。だから、スペシャル版ではそれをやろうと脚本の西荻さんと話していて。  今回は、武藤総理と翔ちゃんの入れ替わり、さらにその入れ替わった翔ちゃん版の総理がまた別の何者かと入れ替わってしまうんです。果たして今度は誰がなんの目的で、入れ替わりを仕組んだのか、行方不明になった翔ちゃんの魂はどこにいるのか、というのがスペシャル版のストーリーです。  ほかにも国会中継中の大臣たちが一斉に幼稚園児の魂と入れ替わってしまったりもします。3歳の子役たちのオジサン演技と、ベテラン俳優の幼児演技、ともに爆笑請け合いです!?  あと、私の一押しの見どころは遠藤憲一さんのラップです!?台本を読んだ遠藤さんからは苦渋の表情で『何でもできると思わないでくれ』と言われました(笑)。ご自身的には出来上がりに自信は全くなさそうでした(笑)が、とても味がある仕上がりだと思います」 ――確かに、最近はリアルな政治の世界でもまるでコメディのようなことが起こってますよね。 飯田:「実は貝原が主役のネットドラマ『民王 番外編?秘書貝原と6人の怪しい客』のほうも、実際に政治家の秘書さんにお伺いした面白い話がネタになっています。陳情ってご存じですか??一般の方が公的機関に善処してもらいたいことなどをお願いすることなんですが、議員先生もお忙しく、秘書の方が対応することがあるそうなんですね。で、その陳情というのが、『えっ、そんなことまで来るの?』っていう内容も多いらしくて。選挙区の偉い方の息子が駆け落ちしたから探してほしいとか。取材したらその陳情話が面白かったので、ネットドラマはそれを題材にしようと思ったんです。  貝原がひょんなことから仕えることになったおバカ議員のもとに寄せられるトンデモ陳情話が、毎回ワンシチュエーションコメディで展開していくという、4コマ漫画に近いものになっています」 ――ネットドラマの配信スタートと同じ日に放送される、こちらも貝原を主役にしたスピンオフも、ファンには嬉しいところですが。 飯田:「こちらの『民王スピンオフ~恋する総裁選~』は、わりと硬派な政治ドラマになっていて、貝原が武藤総理に仕える前の話です。貝原はかつて自分の父親が秘書をしていた大物議員の元で働いていたんですが、そこで起こる様々な陰謀や政治的な駆け引き描かれていきます。なぜ貝原があんなキャラクターになったのか、そのあたりの全貌がわかる内容です。連ドラの『民王』やスペシャル版とは違って、泣けるストーリーになっています。あと、貝原の恋愛も描かれます!」 ――若い世代のテレビ離れ、ドラマ離れが叫ばれている昨今、熱狂的なファンを生んでいる『民王』のビジネスモデルは、制作現場にも明るい話題ですね。 飯田:「視聴者の皆さんに新しい楽しみ方を提供できるなら、様々なメディア展開を試行錯誤していくこともこれからは重要なのではないかと思います。とはいえ、テレビ局の人間としては、視聴率を取らなければいけないですし、まずは番組を面白いと思っていただけなくてははじまらないですから、プロデューサーは一生懸命面白い番組を作っていくことが第一義だと思っています」
ドラマ
ダイヤモンド・オンライン 2016/04/18 15:00
闇カジノ賭博疑惑 即断即決のバドミントン協会に巨人選手も戦々恐々?
闇カジノ賭博疑惑 即断即決のバドミントン協会に巨人選手も戦々恐々?
闇カジノ問題で謝罪会見する桃田賢斗選手(右)、田児賢一選手 (c)朝日新聞社 「いけないのはわかっていたんですけど、好奇心であったり、楽しんでる自分がいて……。スポーツマンで、勝負の世界にいて、ギャンブルに興味があり、抜けられない自分がいました」  男子バドミントンのエースで世界ランキング2位の桃田賢斗選手(21)が8日、違法な闇カジノ店でバカラ賭博をしていた問題で謝罪会見した。茶髪と派手なファッションが印象的だったが、会見場に現れた彼は髪の毛を黒く染め直して紺のスーツにネクタイという姿で、神妙な面持ちだった。 「6回程度、1回で10万円くらい持ってって、トータルでは50万円ぐらい負けました。高校を卒業して社会人になって、お金を自分で使えるという軽率な気持ちで、軽く考えすぎてました……。自分を止められない弱さがあったのかなと……」(桃田選手)  カジノには、共に会見した先輩の田児(たご)賢一選手(26)に誘われて行った。 「初めて行ったのは合法の国(デンマーク)で、スリル感があり、少しずつ感覚がおかしくなっていったのかな、と思います」(同)  田児も、初めてカジノに行ったのは21歳のころ、韓国遠征のときだった。そして2014年秋、ケガで練習ができず、飲みに行った帰りに東京都墨田区の違法カジノ関係者から声を掛けられた。そこで店に入ったのが国内の闇カジノへの出入りの始まりだという。桃田や他の同僚選手たちも誘い、田児本人は月に10回の頻度で通った。そしてこれまでの彼の獲得賞金累計額は約2千万円あったというのに、総額で1千万円負けてバドミントン部内で1150万円借金し、まだ500万円の借金が残っている。ギャンブル依存症と言われても仕方ない状況だろう。  桃田は田児と共に墨田区の店に14年10月から昨年1月にかけて行ったが、14年12月の全日本総合選手権の決勝で負けたことで「世界のトップと戦いたいと思って」行かなくなった。その後の、15年の世界選手権3位、同年末のスーパーシリーズファイナル日本男子初優勝という彼の快進撃はご存じのとおり。  しかし、そんな時期に重なっていた巨人の野球賭博騒動を見て「ひとごとではないなというのが素直な感想で、解雇報道を見たときは怖くて誰にも言えませんでした」(桃田選手)という。  田児は「自分は二度とバドミントンをできなくなってもいいという覚悟があります。桃田にはもう一度チャンスを与えてやってほしいという気持ちしかありません」と言うが、五輪担当記者はこう言う。 「NTT東日本は男子バドミントンの名門ですが、桃田は田児に憧れて入った訳で、それ以前にも確か桃田は田児の家にしばらく居候してたことがありました。2人には普通の先輩後輩以上の関係があり、桃田からすれば、断れない、という感覚があったはず。そんな先輩が闇カジノに誘ったという人生の巡り合わせ……気の毒ではありますよね」  スポーツ選手は賭け事が好きだ。“勝負師”という言葉があるが、ギャンブルに惹かれる気持ちが強いのは彼らの“性(さが)”だろう。正直な話、「何か賭けなきゃ、やる気にならない」と言う選手を何人も知っている。 「バドミントンではない他競技の世界選手権を取材したとき、日本代表の宿舎になったホテルに、合法カジノがあって、ほとんどの選手がやってました。ソウル五輪では、ある競技の監督やコーチたちがそろってカジノで遊んでいて、そもそも指導する側がそんな感じですからね(笑)。海外遠征し、その国では合法なカジノに出入りして感覚がマヒして帰国してからも、というパターンは大いにあり得ます。それをどう防ぐかが課題でしょう」  アマスポーツを長く取材する別のスポーツ記者は、こう語った。  一方で、今回の日本バドミントン協会の即断即決について「野球界との差が際立ってましたね」とも指摘する。NTT東日本は、海外遠征中で、しかもトーナメントを勝ち進んでいた桃田を帰国させて調査し、翌日に謝罪会見させた。バドミントン協会はNTT側が2人の闇カジノへの出入りがあった事実を発表した時点で即、「(日本代表選手として)推薦できない」と、事実上リオ五輪への道を断った。 「立件されるか否か別にして日本代表にふさわしくないですから、あの対応は残念だけど仕方ない。『推薦できない』と語ったバドミントン協会の銭谷欽治専務理事は泣いてましたね。日本のバドミントンは昔から女子が強くて男子は弱く、彼はそんな時代のトッププレーヤー。何とか男子も強くしようと世界の強豪と戦う舞台を増やし、やっとメダル圏内の選手が育ってきて五輪目前でこれですから、そりゃ涙も止まらないですよ」(同)  皮肉にも、桃田選手は3月25日、今年の巨人の開幕戦で始球式を務めていた。その時点では“リオ五輪のメダル有力候補”で時の人だったからこそ東京ドームのマウンドに上がる栄誉を得た。そんな彼がアスリートにとって4年に一度しかないチャンスを失ったのだ。 「そんなに悪いことなのかと、ビビってる巨人の選手がいるはずです。闇カジノに関して球界では今のところおとがめなしで、それで済んだらおかしい。この問題に関して日本野球機構の熊崎勝彦コミッショナーは『他競技のことについてはコメントは差し控えたい』と話しましたが、単に逃げている、とも言えません。野球界としては五輪競技への復帰を目指している最中で、それこそ戻してもらうために土下座状態。何も言えないのが現実ですからね」と、ベテラン野球記者は背景を解説する。  スポーツ紙デスクは、昨年から続く問題の本質をこう語った。 「巨人は野球賭博問題に関して最初の調査のとき、解雇された3選手以外にも闇カジノに出入りしていた選手が『いた』と言っていました。それが今年になって申し出て処分された高木京介だけかどうか。反社会勢力との接触の可能性がある闇カジノへの出入りという重大問題を、チーム内の声出しやノックに絡んだ金銭授受という問題に紛れさせてサラッと流したようにすら見えました」  スポーツ界全体を巻き込む一連のタブーは、そう簡単には終わらないし、終わらせてはいけない。メダル候補が五輪に出場できなくなるというショッキングな事態は、そんな警告にも思えてくる。桃田は東京五輪のことを聞かれても「この先どうなるかわからなくて、4年後……全く見えません。今はただ反省の気持ちでいっぱいです」と茫然自失(ぼうぜんじしつ)。この姿から何を学ぶかだ。(ジャーナリスト・渡辺勘郎) ※週刊朝日 2016年4月22日号
週刊朝日 2016/04/13 07:00
丸山茂樹 今年のマスターズを予想、松山英樹も「十分に期待できます」
丸山茂樹 丸山茂樹
丸山茂樹 今年のマスターズを予想、松山英樹も「十分に期待できます」
 プロゴルファーの丸山茂樹氏は、16年行っている一般財団法人「丸山茂樹ジュニアファンデーション」の活動を全国規模にしたいという。 *  *  *  3月28日、「第11回丸山茂樹ジュニアファンデーションゴルフ大会」を大成功で終えることができました。今回から千葉市の平川カントリークラブに舞台を移し、ネスレ日本さんが協賛社に加わってくださいました。小学校5、6年生、中学生、高校生の男女それぞれ3部門で計130人が元気いっぱいにプレーしてくれました。  男子は河内勝行君(千葉・拓大紅陵高1年)、女子は臼井麗香さん(茨城・日本ウェルネス高3年)が中高生を合わせたトップとなり、プロツアーの参加権を手にしました。臼井さんは第9回でも高校生女子でトップになり、女子下部ツアーのマンデートーナメント(主催者推薦選考会)に出て、見事、本戦出場を果たしています。ふたりにはマルジュニアを代表して、大きく羽ばたいてほしいですね!  2000年から始めたマルジュニアの活動ですけど、ここまでスタッフのみんなと一緒にほんとによく頑張ってこられたと思ってます。何度もここで言ってきましたけど、将来的にはもっと拡大して、全国規模でできるようにしたいです。  僕がこういうことやってるって知らない人もたくさんいるでしょうから、知ってもらって、協力してもらって、どんどん拡大していく。ジュニア育成のためにしっかり志を持って、目標は大きく、そこへ向かっていきたいなと思います。  そのためには当然、先立つものが必要です。日本ではアメリカほどドネーション(寄付)の文化が発達してませんよね。我々も一般財団として活動してますけど、寄付金控除がもっと大きくなれば、各方面のみなさんから寄付をいただきやすくなるんですが。   さて話は変わりまして、今季海外メジャー初戦の「マスターズ」(4月7~10日、米ジョージア州オーガスタ・ナショナルGC)です。昨年は21歳(当時)のジョーダン・スピース(米)が一度もトップを譲らない完全優勝でした。トータル18アンダーは、1997年優勝のタイガー・ウッズ(米)に並ぶ大会最多のアンダーパー記録でした。  僕が続けて出てたころは、毎年のようにコースセッティングを変えてて、グリーンをカチンコチンにしたり、究極に速くなるようにしたり、いろんなことをやってました。でも最近はバーディー合戦が繰り広げられるような、本来のマスターズの姿に戻そうとしてる感じがします。  28歳のジェイソン・デイ(オーストラリア)が世界ランキング1位に返り咲いてオーガスタに乗り込みますけど、世界ランク20位までの中から優勝が出るでしょうね。いまはちょっと、新しい人が出てくるスキがないですよ。マスターズには独特のプレッシャーもあるし。  世界ランク14位の松山英樹(24)は昨年のマスターズで5位に入りました。前年いい成績を残した試合に強いですからね、十分に期待できます。  英樹はもう、試合の中で深刻な悩みに陥ることがないんだと思う。池に入れちゃったとかどうしたというミスは出るけど、どうにもならない状態ってのはない。だから安定してるんですよね。メジャー初優勝で、日本を元気にしてもらいましょうか! ※週刊朝日 2016年4月15日号
丸山茂樹松山英樹
週刊朝日 2016/04/10 07:00
女子中学生監禁容疑の千葉大生と大阪・附属池田小事件の意外な接点
女子中学生監禁容疑の千葉大生と大阪・附属池田小事件の意外な接点
青春を謳歌することなく中学を卒業…(※イメージ)  よもや隣の部屋で女子中学生が2年間も監禁されていたとは──。マンションの住人もさぞかし驚いたに違いない。  埼玉県朝霞市で行方不明になった少女(15)が2年ぶりに保護された事件で、埼玉県警は3月31日、未成年者誘拐容疑で寺内樺風容疑者(23)を逮捕した。  寺内容疑者は2014年3月10日午後、下校してきた当時中学1年生の少女を埼玉県朝霞市内で誘拐し、今年3月27日まで千葉県内や東京都中野区の容疑者宅まで連れ回した疑い。  今年2月下旬まで約2年間監禁していたとされる千葉市内のマンションは、築31年の古めかしい建物。3階の角の部屋を借りていた。日当たりはよさそうだが、エレベーターはなく、階段を使う。  昨年12月、たまたま寺内容疑者の隣の部屋に引っ越してきた、千葉大学に通うウイグル人男性(26)はこう話した。 「(寺内容疑者の)部屋は窓の明かりが時々ついていましたが、いつも静かでした。壁をたたき、女性が助けを求めるような叫び声が聞こえてきたことは一度もありませんでした」  1カ月半ほど前、寺内容疑者が女性といるところを見かけたという。 「隣の部屋のドアが開いていて、中が見えました。あちこち、荷物が置いてあって引っ越しするようでした。私はそのまま近くのコンビニへ行き、戻って階段を上がろうとしたとき、2階の階段のところで寺内容疑者の横に黒い髪の女性が一緒にいた。女性は普通の感じです。友達かと思いました。監視されている感じはせず、手もつないでいなかった」  寺内容疑者の部屋は家賃約4万円。6畳の洋室と和室があり、台所、トイレ、ユニットバス、押し入れがついていた。同じ3階に住む年金生活の男性(69)はこう話す。 「私の部屋は6畳間が一つだけ。寺内容疑者の部屋は6畳間が二つあり、ここのマンションではいちばん広い。学生なのに広い部屋を借りたのは、最初から監禁しようと思っていたのかね」  誘拐直後には手紙を書くことを強要、自分の意思で家出したように装った。その謎を解くカギは彼の実家のある大阪府池田市にある。中学から進学校の大阪教育大付属池田中学校、高校へと進んだ。 「中学時代から理数系の科目が得意で、頭はよかった。ひょうひょうとして悪いやつじゃないが何を考えているかわからない、つかみどころがない感じ」(大教大池田中の同級生)  飛行機が好きで、大阪伊丹空港までよく出かけたという。 「大阪空港まで、自転車で行くんです。飛行機を見ながら、『○時○分に東京発が到着。今日の風向きは……』と、解説していた。飛行機にはめちゃくちゃ詳しかった」(同)  01年6月、児童8人が死亡、15人が重軽傷を負った大教大池田小学校で起きた無差別殺傷事件。偶然なのか、犯人の宅間守元死刑囚(04年に死刑執行)の自宅だったアパートと、寺内容疑者の実家は、歩いて2分ほどの距離。少年時代から寺内容疑者は、宅間元死刑囚の事件を知っていたという。 「『怖いな、あんな悪いヤツはいない』とか言っていた。アパートに入り、どこが宅間の部屋なんだと探検していた」  と言うのは別の同級生。今回の事件についてこう話すのだ。 「女子中高生のアニメキャラも大好き。家にいっぱいマンガやDVDがあった。『アニメのような女の子はいないのか』と話していた。オタクが集まる大阪の日本橋にも行っていた。千葉大に進学が決まり、『アキバが近くなっていい』と喜んでいた。人を脅し、暴行する性格じゃない。こんなとんでもない事件を起こすなんて信じられない」  寺内容疑者は11年4月、千葉大学工学部情報画像学科に入学した。「担当教員は、特に目立つ生徒ではなく、平均的な成績で、週1回のゼミもきちんと出席をしていたと言っています」(千葉大広報室)  大学の卒業式は3月23日だったが、事件発覚後、大学側は卒業をいったん取り消すと説明した。千葉大で、寺内容疑者と同じ年に入学した大学院生(修士課程)はこう話す。 「アルバイト先からも事件をいろいろと聞かれるし、困っている。大学側の判断も正しいのではないか」  埼玉県警の調べに、寺内容疑者はこう供述したという。 「中学生のときからペットのようにできる女の子がいれば誘拐しようと思っていた。ネットで調べていた」  青春を謳歌することなく中学を卒業した少女。2年の歳月は戻らない。(本誌・上田耕司/今西憲之) ※週刊朝日 2016年4月15日号
週刊朝日 2016/04/06 07:00
5大会連続の五輪目指す北島が決勝進出! 萩野はライバル瀬戸破り五輪出場権獲得
5大会連続の五輪目指す北島が決勝進出! 萩野はライバル瀬戸破り五輪出場権獲得
標準記録を上回る好タイムで決勝進出を決めた北島康介(写真:Getty Images)  4月4日、競泳のリオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権が東京辰巳国際水泳場で開幕。100メートル平泳ぎでは、5大会連続での五輪出場を狙う北島康介が準決勝を1位で通過し、翌日の決勝へと駒を進めた。また、男子400メートル個人メドレーでは、萩野公介と瀬戸大也のメダル候補2名が順当に五輪出場を決めた。  2004年アテネ五輪と2008年北京五輪で2大会続けて2つのメダルを獲得してきた北島。この日行われた100メートル平泳ぎでは、予選を1.00.07のタイムで通過すると、準決勝では予選を上回る59.62をマークし、1位で通過。五輪出場の条件となる派遣標準記録(59.63)も上回り、翌日の決勝への駒を進めた。  今大会では、各種目で2位以内に入り、なおかつ派遣標準記録を上回る記録を出せば五輪出場権獲得となる。  男子400メートル個人メドレーでは決勝が行われ、ロンドン五輪銅メダルの萩野が4.08.90で優勝し、五輪出場決定。すでにこの種目で五輪に内定していた瀬戸大也も、4.13.52の2着で五輪代表に決定した。  女子では、15歳の池江璃花子が女子100メートルバタフライ準決勝で57.55をマークし、自らの持つ日本記録を更新した。
北島康介
dot. 2016/04/04 21:00
異性の“親子混浴”は何歳までOKなのか 子離れの第一歩?
異性の“親子混浴”は何歳までOKなのか 子離れの第一歩?
お風呂でのコミュニケーションは卒業すべき?(※イメージ) 父と娘、母と息子。異性の親子は、いくつまで一緒にお風呂に入ってOKなのか? タイミングを見誤ると、子どもの成長にも影響があるかもしれない。(ライター・宮本さおり)  都内在住で小学校6年生の娘を持つ男性(43)は、幼稚園に通う息子ともども娘とも入浴することがある。 「はっきり言えばこちらもいやですが、旅行先で家族風呂がついているときなど、妻も含めて家族一緒に入る。子どもたちが喜んで入るのでいやだとは言えないんです」  娘と妻の会話を聞いていると、どうやら娘には好きな男子もできた模様。そんなきわどい話を風呂で聞けば、ゆっくり浸かる気分でもなくなる。娘は、昨年まではただのタンクトップを着ていたのに、今年に入ってカップ入りのキャミソールを着始めた。パンツだって、キャラクター入りのへそまで隠れる「子ども用」から、水玉にフリフリレースの付いた「女性用」へ。目のやり場にも困る。 「端々に女らしさが出てきたな、と。家族みんなで入ることに娘は抵抗ないようですが、やはりそろそろ考え時かと……」  これからの旅行では、家族風呂付きの宿泊先はやめようと検討中だ。 ●家族なら裸OK文化が根付く  小4と小6の娘を持つ都内在住の男性(39)も、ときどきだが家族4人で入浴する。妻も娘もパパとの混浴に対し、恥ずかしいという気持ちは薄い。むしろ子どものほうから「一緒に入ろう」と誘われるほど、日常の一コマとなっている。  この男性宅では妻も平気で風呂上がりに裸でうろうろしているため、“家族ならば裸は平気”という文化が根付いているようだ。 「子どもはまだ精神的にも幼いのか、男女の違いをあまり気にしていない」  と、男性。今さら「一緒に入るのはやめよう」なんて言い出したら、そのほうが不自然で意識しすぎな感じさえするのだという。本人が恥ずかしくないのならば、このまま入っていいのでは、と現状を続ける予定だ  子育てに積極的にかかわる男性も増え、赤ちゃんの頃から“風呂はパパの役割”という家庭も多くなった日本。夕食の後片付けなど忙しい時間帯に子どもを風呂に入れてくれるのは、母親にとっても嬉しいかぎりだが、娘の場合、父親という異性といったいいくつまで入浴するのが適当なのか。中にはこの入浴タイムが度を越して、20歳過ぎても父親と風呂に入るのが平気という女性もいて、SNSなどでそんな話が載ると、賛否両論が飛び交うこともある。いったい“親子混浴”のNG年齢はいくつだろうか。 ●ぺちゃんこが…自然消滅が理想  首都圏に住む男性(46)は、中1と小3の娘がいるが、長女とは小5でパパ風呂を卒業した。卒業の目安は、「ぺちゃんこだった胸が少しふくらみはじめたころ」。 「女性として見ているわけではないのですが、なんとなく恥ずかしくなった」  長女本人も周囲の友達からの情報で、父親と風呂に入っている子がいないことを知り、だんだんと一緒に入ることはなくなったという。この男性は、現在は次女とは一緒に入ることもあるが、「そのうち自然と入らなくなるのでは」と踏んでいる。  特に区切りをつけなくても、自然消滅していく──。それが“親子混浴”終焉の理想かもしれない。東京ガス内にある風呂文化研究会のまとめによると、娘が9歳までは約半数の父親が一緒に入浴。だが、娘が11歳になると約1割と途端に減る結果に。パパ風呂卒業の分かれ目は、どうやら小学校4年生になる「10歳」にあるようだ。  親子混浴はなにも父娘だけの話ではない。埼玉県に住む女性(40)は小5の息子と時々風呂に入る。女性は母子家庭。息子は我慢する性格で、悩みがあっても母親に心配をかけたくないのか話さない。だが、風呂に一緒に入った時には重い口を開く。 「テーブルを挟んででは話さないようなことも、お風呂だとリラックスできるのか、自然と話してくれます。私の目から見て悩みがありそうな時はなるべくお風呂に誘って一緒に入るようにしています」  前出の調査では母息子パターンも調査。やはり、息子が11歳になると、一緒に入浴するのは2割以下と、大きく減った。小学校高学年あたりに分かれ目があるようだが、この女性のようにコミュニケーションの場として風呂タイムを利用しているという家庭は多い。 ●海外から見れば異様な光景  東京ガスの別の調査でも、「子どもと一緒に入浴する理由」について親に聞いたところ、実に9割が「入浴は親子のコミュニケーションの機会として大切」と回答した(同性親の入浴含む)。  こんな話もある。少し体格のいい5歳の息子を連れて銭湯に行った母親。いつものように女湯に連れて入ると、まわりから白い目で見られたという。 「体格がいいので小学生だと思われたのかも。実際、温泉や銭湯っていったい何歳まで女湯に入れていいのか」  公衆浴場については、各都道府県が定める「公衆浴場法施行条例」で、何歳まで異性の浴場に入ることができるかが決められている。東京都の条例では「10歳以上の男女を混浴させないこと」となっている。神奈川県など温泉観光地を持つ地域では、「知事が利用形態から風紀上支障がないと認める場合は、この限りでない」というただし書きがある場合も多い。日帰り温泉や旅館などで「家族風呂」が許されるのはこのためのようだ。  風呂文化を持つ日本では、異性親子の入浴はある程度の年齢までは許容範囲とみなされるが、海外では事情が違う。湯を張っての入浴文化が少ない海外では、たとえ赤ちゃんでも父親が娘を入浴させることは稀なようだ。  アメリカ人の男性と結婚した日本人の女性は、娘の入浴を手伝ってと夫に頼むと怪訝な顔をされたという。シャワー文化の彼らにとって、シャワーはリラックスする場所というより、ただ体をきれいに洗う場所。無論、風呂で会話を楽しむなどということはなく、子どもがシャワーを浴びる時は服を着た状態でバスタブの外からサポートするのが一般的なのだ。同性であっても裸で一緒にシャワーに入るのは異様な光景に映るらしい。 ●誰に見られても抵抗なしの危険  実際、外務省のホームページには、海外で異性親子の入浴を公然と話さないように注意を呼びかけるページもある。場合によっては幼児虐待と疑われ、逮捕される可能性があるからだ。  子どもの思春期の成長という観点から見ると、異性親子での入浴は条例同様、小学校高学年頃までにするのが妥当という指摘もある。小児心理学などが専門のルーテル学院大学・田副(たぞえ)真美准教授は、高学年以降も入浴を続けると異性との適切な距離を取ることができなくなる可能性があると話す。 「女子では小学5、6年生で前思春期を迎えます。精神的にはまだ子どもですが、第二次性徴期を迎えるこの時期に、男性と女性は違うものという意識を持たせることも大切です。場合によっては、年頃になっても父親だけでなく、誰から裸を見られても恥ずかしくないという状態になってしまいます」  コミュニケーションに関しても、風呂でのコミュニケーションは卒業すべきとの見解を示す。「お風呂だとよく話す」というのは親に原因がある場合もあるというのだ。 「親が仕事や家事などに追われる姿を見せていると、子どもも気を使って話せない。風呂だけが唯一、親がリラックスしている場所だとしたら、子どもはそれを敏感にキャッチし、『今ならゆっくり話を聞いてもらえる』と感じ取る。風呂コミュニケーションではなく、普段から親のほうが時間をつくり『今なら話が聞けるよ』という雰囲気をつくることが大切です」  親としては、わが子との風呂卒業は寂しい気もするが、これも子離れの一歩。一人風呂へと導くのも親の役割のようだ。 ※AERA 2016年4月11日号
出産と子育て
AERA 2016/04/04 16:00
リオ五輪をかけた競泳日本選手権が開幕! 33歳北島康介は5大会連続出場なるか?
リオ五輪をかけた競泳日本選手権が開幕! 33歳北島康介は5大会連続出場なるか?
5大会連続の五輪出場を狙う北島(写真:Getty Images)  4月4日、競泳のリオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権が東京辰巳国際水泳場で開幕する。5大会連続での五輪出場が懸かる北島康介や、五輪でのメダル争いが期待される選手たちの活躍に期待が集まる。  この大会を前に、すでに代表に内定しているのは男子400メートル個人メドレーの瀬戸大也、女子200メートルバタフライの星奈津美、女子200メートル平泳ぎの渡部香生子の3枠。今大会で五輪代表に選出されるためには、「各種目の2位以内」「派遣標準記録の突破」という2つの条件をクリアする必要がある。  そんななかで最も注目を集めているのは、2004年アテネ五輪、2008年北京五輪で2大会続けて100メートル平泳ぎ、200メートル平泳ぎの2冠を達成し、5大会連続の五輪出場を狙う北島だろう。2012年ロンドン五輪では個人でのメダルを逃し、2014年、15年と代表入りが叶わなかった。33歳を迎え、「引退」の2文字もちらつくなか、再びその力を見せつけ五輪への出場権を獲得することはできるか。  ロンドン五輪男子400メートル個人メドレー銅メダルの萩野公介は、右肘の骨折で昨夏の世界選手権を欠場したが、今大会は200メートル、400メートル個人メドレーと200メートル自由形の3種目に出場予定。幼いころから鎬を削ってきたライバルの瀬戸はすでに400メートル個人メドレーで代表に内定している。直接対決では並々ならぬ意欲で挑んでいくだろう。  女子では、自由形とバタフライで日本記録を3つ持つ驚異の15歳、池江璃花子に注目。今大会は女子50、100、200メートルの各自由形と100メートルバタフライにエントリーしており、新星の活躍は見逃せない。200メートル平泳ぎでは渡部香生子が代表入りを決めているが、この種目には今年2月に日本記録を樹立した金藤理絵もいる。好記録が生まれることを期待したい。  大会初日の4日は、400メートル個人メドレーで荻野と瀬戸が激突。翌5日には北島らが出場する100メートル平泳ぎと、序盤から注目種目が続く。どんなドラマが生まれるのか、7日間の熱き戦いから目が離せない。
リオ五輪北島康介
dot. 2016/04/04 08:00
社会現象となった「愛人バンク」 背景に「おいしい生活」
社会現象となった「愛人バンク」 背景に「おいしい生活」
「愛人」という言葉には背徳のにおいがする(※イメージ)  社会風俗・民俗、放浪芸に造詣が深い、朝日新聞編集委員の小泉信一が、正統な歴史書に出てこない昭和史を大衆の視点からひもとく。今回は「愛人バンク」。80年代初頭に一世を風靡した“男女交際仲介業”だ。20代の女性オーナーはテレビ番組などでもてはやされ、ちょっとした有名人だった。さらに当時すでに「援助交際」という言葉が存在していた。 *  *  * 「愛人」という言葉には背徳のにおいがする。それをビジネスと割り切ったのが、1980年代前半に出現した男女交際仲介業「愛人バンク 夕ぐれ族」である。最盛期には全国から約5千人もの男女が会員になったというのだから、大きな社会現象だった。  高度成長から高度消費社会へと移り変わろうとしていた時代である。コピーライターの糸井重里さんが考案した百貨店のキャッチコピー「おいしい生活。」が大衆の心をつかみ、ブランド品があふれた。都会の風景は変わりつつあった。「愛人バンク 夕ぐれ族」を取材した風俗ライターの伊藤裕作さん(66)は語る。 「1982(昭和57)年の暮れ、夕ぐれ族の女性オーナーに会いました。そのときは『愛人バンケット(宴会、祝宴の意)機関 夕ぐれ族』と称していました。なんだか語呂が悪く、ダサイ。『愛人バンク』にしてはどうかと僕が提案したのです」 「筒見待子」と名乗る(後に偽名と判明)女性オーナーは、小冊子を持参していたそうだ。そこには女性からのこんなメッセージが書かれていた。 <はじめまして。私、22歳。女子大生。155センチ、48キロ。バストに自信があります。35~55歳ぐらいのステキなおじさま、物心両面で私を成長させてください> <私、21歳。美術学校の学生。仕送りが少なく苦労しています。週1回ぐらいのデートをしてくださる経済的余裕のある方との援助交際を望んでいます> 「援助交際」という言葉がすでに使われていたことに驚くが、伊藤さんが発案した「愛人バンク」という名称は言い得て妙である。この業界は、生き残りをかけてあの手この手を考え、それまでの常識では考えられないものが出てくるからおもしろい。  どんな仕組みだったのか。伊藤さんの近著『愛人バンクとその時代』(人間社文庫)を読むとよーく分かる。「自由恋愛の紹介窓口」を宣伝文句に入会金は男性会員20万円、女性会員は5万円(0円や10万円の場合も)だった。男性会員1人に女性会員1人を紹介するという見合いがセットされ、互いが気に入れば当事者同士で月単位の手当を決め、あとは自由にお付き合いを──というのである。 「愛人といえばドロドロとしたイメージがつきまとっていたが、『夕ぐれ族』という都会的でおしゃれなネーミングにひかれたのか、大学教授や弁護士、医者もいた。いわゆるインテリ層が多かった」(伊藤さん) 「愛人バンク 夕ぐれ族」は、東京の銀座に事務所を構え、83(昭和58)年の最盛期には入会金だけでも数億円の収益になったという。「素人に出会える」というユニークなシステムが当時の人の興味を引いたのだろう。ホテトル、マントル、デート喫茶といった既存の風俗業は飽きられつつあった時代だった。  筒見自身も脚光を浴びた。「港区出身で有名大学の卒業生」「年齢22歳」と自称し、あどけない顔がテレビ受けもした。本来なら、この手の風俗ネタには腰が引けてしまう朝や昼の主婦向けワイドショーにも出演。「タモリ倶楽部」「11PM」「トゥナイト」といった深夜番組にも引っ張りだこになった。  筒見はインタビューでこんなことを言っていた。 「私と同世代の女性たちは、6畳一間で共同トイレの生活は嫌なんです」  時代は「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根康弘政権下。明らかに都会の風景も変わりつつあった。東京ディズニーランドが千葉・浦安に開園したのが83年。任天堂が家庭用テレビゲーム機「ファミリーコンピュータ」を発売したのもこの年である。NHK連続テレビ小説「おしん」が平均視聴率52.6%を記録する一方、民放では「金曜日の妻たちへ」「ふぞろいの林檎たち」が話題になる。個人の価値観や感性を堂々と主張できる時代が訪れたのだ。 「おいしい生活」をするため、お金のある男性から援助を受ける正当性を堂々と主張する若い女性や、アルバイト感覚で体を売ることにさほど抵抗を感じない女性も現れた。伊藤さんが当時、そうした女性100人にアンケートをしたところ、一番多かったのは20歳で18人。以下19歳と21歳がそれぞれ15人だったという。 ※週刊朝日 2016年4月8日号より抜粋
不倫
週刊朝日 2016/04/02 16:00
羽生にジャンプの「質」意識させた P.チャンの強気な言葉
羽生にジャンプの「質」意識させた P.チャンの強気な言葉
14年ソチ五輪では羽生が金、チャンが銀 (c)朝日新聞社  世界フィギュアスケート選手権が3月30日、米国・ボストンで開幕する。男子シングルでは、世界の頂点を経験した3人がしのぎを削ることになる。  フィギュアスケート2015-16年シーズンの頂上決戦となる世界選手権。日本勢は、男子シングルに羽生結弦(21)、宇野昌磨(18)、女子シングルに浅田真央(25)、宮原知子(18)、本郷理華(19)が出場。ペアとアイスダンスにも一組ずつを送り込む。  最大の注目が男子シングルであることは、衆目の一致するところだろう。4回転ラッシュの時代を迎え、争いを制するためには4回転を跳ぶだけではなく、「数」と「質」でライバルを上回らなければならない。14年ソチ五輪を制した羽生、15年世界選手権を制したハビエル・フェルナンデス(24、スペイン)、11年から13年まで世界選手権を3連覇し、ソチ五輪でも銀メダルを手にしたパトリック・チャン(25、カナダ)が一堂に会する今回は間違いなく、歴史に残るハイレベルな一戦になるはずだ。  これまでの男子では長く、「フリーで200点、総合で300点を超えられるか」がテーマだった。実際、13年11月のグランプリ(GP)シリーズフランス杯でチャンが記録した295.27点は、長く更新されなかった。  ところが今季、3人の武者がその記録を次々と打ち破る。  まず、15年11月のNHK杯で羽生が、ショートで2本、フリーで3本の4回転を成功させ、総合で322.40点をマーク。翌12月のGPファイナルでも330.43点と、自らの記録を更新した。  今年1月の欧州選手権では、羽生と同じブライアン・オーサー門下のフェルナンデスが、ショートで2本、フリーで3本の4回転に成功。302.77点をマークし、史上2人目の300点超フィギュアスケーターとなった。すると黙っていられないのが、チャンだ。2月の四大陸選手権に出場すると、フリーで2本の4回転を含む完璧な演技を見せ、203.99点をたたき出した。  他の選手とは一線を画す別次元へと足を踏み入れた3人だが、彼らの高得点の源は二つ。  まずは、4回転の「数」だ。羽生は、今季の初めまでショートでは「演技後半の4回転」が課題だったが、10月のスケートカナダではこれをミス。しかもチャンに優勝を譲り、苦杯をなめる。すると、演技後半の4回転の成功はまだないにもかかわらず、更に高いレベルへのプログラム変更を決意した。 「僕にとっての成長は、そんな幅では絶対にダメだ。ショートでの4回転は2本やる。パトリックに離されっぱなしではいられません」(羽生)  限界への挑戦は、そのまま羽生にとってのモチベーションとなり、結果は「有言実行」。  もう一つ、300点への突破口を開いたのはジャンプの「質」。ジャンプは、「跳ぶときの入り方が難しく、飛距離・高さ・流れがあり、降り方も難しい」などの質の高いものには、最大で「+3」の加点がつく。  チャンはスケートカナダで、4回転をショート1本、フリー1本しか入れていないが、「質への加点」で羽生を上回った。  試合後の記者会見でチャンは、「もう24歳になる僕にとって4回転は1本で十分。フィギュアスケートとはジャンプを何本も跳べば勝てるものじゃない。技の質や滑りで魅みせたい」と強気の発言。隣で聞いていた羽生は、「質」を今まで以上に意識するようになった。 「パトリックのすごいところは、演技をまとめあげる力。もし3回転だけでプログラムを構成しても、試合の緊張感のなかでそれをプラスが付くように完璧にこなすのは、難しいことです」(羽生)  その後、羽生が選んだのは、4回転サルコウの「入り方」と「降り方」の難易度を上げて加点が狙える技術を取り入れ、その精度を磨くことだった。 「とにかくすべての面で、ただ、強くなりたい。ひと皮むけたな、と思ってもらえるように、血の滲(にじ)むような努力をしてみせます」  その成果は、NHK杯に続くGPファイナルで顕著に表れる。ジャンプの「質」への加点でずらりと「+3」が並び、世界最高点、つまり羽生にとっての自己ベストを330点台へと伸ばしたのだ。(ライター・野口美恵) ※AERA  2016年4月4日号より抜粋
フィギュアスケート羽生結弦
AERA 2016/04/01 11:30
若手俳優・二階堂ふみ 谷崎潤一郎の『痴人の愛』に興味?
若手俳優・二階堂ふみ 谷崎潤一郎の『痴人の愛』に興味?
俳優二階堂ふみにかいどう・ふみ/1994年、沖縄県生まれ。2009年、「ガマの油」で映画デビュー。映画「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」(11年)で初主演。映画「ヒミズ」(12年)でベネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)。映画「蜜のあわれ」は4月1日、「オオカミ少女と黒王子」は5月28日、「ふきげんな過去」は6月25日、「SCOOP!」は今秋、「何者」は10月15日にそれぞれ公開予定(撮影/写真部・加藤夏子、スタイリング/二宮ちえ、ヘア&メイク/進藤郁子・林佐智子[SHISEIDO]、衣装協力/プリーツワンピース・Chika Kisada[エルバグース])  俳優の二階堂ふみさんと作家・林真理子さんが対談。4月1日公開予定の映画「蜜のあわれ」は室生犀星原作で、金魚から人間の姿に変貌する少女、赤子(あかこ)を演じた。その役に対する思い、これからやりたい役について語ってくれた。 *  *  * 二階堂:現実でないものを演じるにあたって、どれだけ意味をもたせずに台詞をしゃべれるか……、難しい言葉をしゃべっているんだけど、意味がぜんぜんついてこない、言葉遊びに近いような感覚でやろうと思っていました。 林:赤子っていまどきの女の子が言わないような不思議なことを言うんだけど、二階堂さんがしゃべると言葉が陳腐にならなくて、この世のものじゃない感じがすごく出ていましたよ。「あたい」という一人称も、下品にならずにちょっとコケティッシュで。 二階堂:うれしいです。私、高峰秀子さんが日本の女優さんでいちばん好きなんですけど、往年の昭和の女優さんたちって、日本語がすごくきれいに聞こえるしゃべり方をするんですよね。「この国の空」のときに、日本語って本当に美しい言葉なんだと改めて感じたんです。だから私自身も、その美しさを伝えられるようなしゃべり方をしたいと思ったんです。 林:昭和の俳優さんって、何とも言えない独特の感じがありますよね。高峰秀子さんもそうですし、高峰三枝子さんのもっさりしたしゃべり方もいいですよね。 二階堂:確かに。「もっさり」という表現がしっくりきますね。 林:二階堂さん、谷崎潤一郎の『痴人の愛』のヒロイン、ナオミ役なんかどうですか。すごく似合うと思いますよ。 二階堂:ナオミ、やりたいんですよォー。私、ナオミと同じ誕生日なんです。今回の赤子と同じくらい、やりたい役なんです。 林:そのうちオファーがありそうですよ。二階堂さんはどちらかというと、純文学っぽい映画への出演が多いですよね。 二階堂:そうですね。私は12歳でこのお仕事を始めて、13歳で映画デビューしたんですが、オーディション会場に行くとかわいい女の子があり得ないぐらいいっぱいいたんです。それで「自分には何もない。とにかくしっかり土台をつくらなきゃ」と思って、役であれ作品であれ、こだわるところはこだわってやってきたんです。 林:そうだったんですね。 二階堂:10代のときは、「生か死か」みたいな、人間の根源的な問題を突きつけられるような作品が多くて、等身大の普通の女の子役ってほとんどやってこなかったんです。でも20代を迎えて、自分の中で一つ土台がつくれたという実感があって、これまでとは違う役柄にもどんどんチャレンジをしていこうと思いました。昨年末に「オオカミ少女と黒王子」という、少女漫画が原作の映画を撮ったんですが、恋をして、悩んで、泣いて、絶望するみたいな普通の女子高生役が、すごく楽しかったんです。 ※週刊朝日 2016年4月8日号より抜粋
週刊朝日 2016/03/31 11:30
Do As Infinity 下ネタも絶好調!? 大渡亮トークイベに伴都美子からサプライズ「伴ちゃん、ありがとう!」
Do As Infinity 下ネタも絶好調!? 大渡亮トークイベに伴都美子からサプライズ「伴ちゃん、ありがとう!」
Do As Infinity 下ネタも絶好調!? 大渡亮トークイベに伴都美子からサプライズ「伴ちゃん、ありがとう!」  シングル作品全28曲をボーカルとギターのみで再レコーディングして、各14曲を収録した新アルバム『2 of Us [RED] -14 Re:SINGLES-』『2 of Us [BLUE] -14 Re:SINGLES-』の2タイトルを同時リリースしたDo As Infinity。3月26日、今作のリリースイベントがタワーレコード新宿店にて開催された。Do As Infinity イベント写真一覧 <登場するなり「伴ちゃんいなくて俺ひとりで喋ってどうすんの!?」>  タイトル名を『2 of Us』(“私たち2人で”の意)と銘打ち、プロデュース、アレンジ、楽器のすべてをDo Asの2人だけで作り上げている今作。その制作秘話をお届けするべくMC/インタビュアーに平賀哲雄(Billboard JAPAN.com編集長)を迎え、全曲のアレンジを手がけた大渡亮(g,vo)がタワーレコード新宿店7Fイベントスペースに登場した。  ショップでインストアライブをすることはあっても単身トークイベントを行うことはレアなDo Asだが、大渡亮はギターではもちろん、衒いのないトークで歴代のライブを盛り上げてきた逸材。登場するなり「伴ちゃんいなくて俺ひとりで喋ってどうすんの!?」とイベント趣旨自体にツッコミを入れて笑いも生みつつ、今回のレコーディングで初めて挑戦したサンバギター等も披露しながら、急にボサノヴァを歌い出したりもしながら『2 of Us』について丁寧に説明していく。 <アルバム曲「空想旅団」や「科学の夜」も『2 of Us』仕様に?>  また、今回の『2 of Us』は歴代シングルナンバーを再アレンジ/レコーディングした作品なのだが、今後シングル以外の曲を『2 of Us』仕様に生まれ変わらせるとしたら? という問いには「やっぱり嵐のずっとずっと♪ですね」と即答。では、逆にこれは不可能だろうという曲は? という問いには「不可能はないよ。何だってやれば出来るさ」と答えながらも、例として「科学の夜」を挙げられると「あ、それは無理だ」と話を翻したり、笑いを誘い続けた。  その上で「やるんだったらアルバム曲で人気の高い曲をね、意外性を含んでやるっていうのが面白いと思う。「空想旅団」をアコギでやるとかね。「科学の夜」も無機的な雰囲気のアレンジで仕上がっているけど、意外とアコースティックギターの使用率が高い曲なので、意外と出来ちゃうかもしれない」「今回の『2 of Us』の仕上がりには本当に満足いってるんで、機会があったらまたやってみたい。可能性は確実にある」と真剣に語り、今後の展開への期待も膨らませた。 <「久しぶりに森さんと逢いました! 伴ちゃん、ありがとう!」>  イベント終盤では、レコーディング中のオフショット映像なども上映しつつ、来場してくれたファンの中から抽選で2名にハチミツ(伴都美子セレクト)とアコギのナノブロック(大渡亮セレクト)をプレゼントしたのだが、ハチミツを当てた女性ファンに「伴ちゃんからです、使ってください。体に塗ったくって変なプレイに使ってはいけません」と告げたり、「俺の使ったハブラシとかもあげればよかった」と言い出したり、日中のタワレコで下ネタ連発! これを制御するかのように、なんとここで伴都美子からのサプライズが。  彼女がこの日の為に用意していたのは、会場のみんなともうすぐ誕生日を迎える大渡亮へのお手紙。「この歳になると「あんまり目出たくないけど…」という人が多いけど、いいえ、誕生日は、何回でも喜ぶにふさわしい、祝うべき日です」と、出産したばかりの彼女らしい言葉、そして高級焼酎・森伊蔵のプレゼントもあり、これには「久しぶりに森さんと逢いました! 伴ちゃん、ありがとう!」と大喜び。 <『2 of Us』プロジェクトの集大成 6月から東名阪ツアー開催>  そして最後は、直筆サイン入りポストカードを来場者ひとりひとりに手渡しするファンサービスで、貴重なイベントの幕を閉じた。  なお、Do As Infinityは、6月から『2 of Us [RED] -14 Re:SINGLES-』『2 of Us [BLUE] -14 Re:SINGLES-』を携えた東名阪ツアー【Do As Infinity Acoustic Tour 2016 -2 of Us-】を開催。こちらはもちろん伴都美子、大渡亮、2人揃ってのライブとなるので、ぜひ各会場に足を運んでもらいたい。 取材&テキスト:平賀哲雄 ◎ツアー【Do As Infinity Acoustic Tour 2016 -2 of Us-】 06月04日(土)大阪エルシアター06月11日(土)名古屋市芸術創造センター06月19日(日)昭和女子大学 人見記念講堂
billboardnews 2016/03/30 00:00
こぶしファクトリー サンリオピューロランドでユニドル達と桜ナイトフィーバー!
こぶしファクトリー サンリオピューロランドでユニドル達と桜ナイトフィーバー!
こぶしファクトリー サンリオピューロランドでユニドル達と桜ナイトフィーバー!  レコ大最優秀新人賞アーティストとして勢いに乗っている、ハロー!プロジェクト所属のアイドルグループ こぶしファクトリー。絶賛ヒット中の2ndシングル『桜ナイトフィーバー』による“桜前線北上プロジェクト”が始動した。こぶしファクトリー&ユニドル@ピューロランド写真一覧  2ndシングル『桜ナイトフィーバー』が、ユニドルと呼ばれる現役女子大生アイドルコピーダンスサークルの間で想定外のブームを引き起こしている。ユニドルは、ユニバーシティ(大学の)アイドルの略称で、アイドルコピーダンスの大学対抗戦【UNIDOL(ユニドル)】に出場する女子大生。東京大学や早稲田大学など全国約70大学、約400人以上の女子大生がイベントに出演し、2015年度のイベント総動員数は1万5千人以上、メジャーから地下まで多様なアイドル曲のコピーダンスが披露されている。  数多くのアイドルの中でも、ユニドルに特に人気なのがハロプロ。パワフルなダンスやパフォーマンス力の高さが人気の理由で、ハロプロを演技曲に選ぶユニドルグループが多い。「自分の中ではハロプロは別格。他のアイドルにはない力強さやかっこよさを持っていると思うんです。ステージでもハロプロの曲が1番盛り上がります。会場にいるハロプロファンの多さを実感しますし、大舞台で映える振り付けや演出も魅力です」(中央大学・℃hurryz)  こうした背景を受け、季節にもマッチした楽曲「桜ナイトフィーバー」を、こぶしファクトリーのメンバーと各地のユニドルが一緒に踊る企画が立ち上がった。名付けて“桜前線北上プロジェクト”。福岡から始まり、関西、名古屋、東京、仙台、北海道をメンバーが訪問。この模様を桜前線が北上するように次々と公開して行く。東京では、3月27日にサンリオピューロランドで開催されたユニドルの“卒コン(卒業コンサートイベント)”の前に撮影が行われ、完結編として100名近くのユニドルと一緒に踊ることができた。  3月27日東京撮影日当日、こぶしファクトリーのメンバーと、ステージ衣装を着たユニドル約100名が集合すると、現場は一気に華やかなムードに。お互いの距離をなかなか縮められず、緊張感に包まれた雰囲気だったが、「桜ナイトフィーバー」がかかると反射的に踊り始めた。一緒にダンスを踊ることで会場は次第に打ち解けた空気になり、メンバーとユニドルが会話するシーンも。数テイク撮ると、まるで1つのグループのように振りがピッタリと揃うようになった。  また、撮影終了後には、メンバーとユニドルが組んで、この日16歳を迎える小川麗奈のバースデーをサプライズでお祝い。まったく気付いてなかった小川はクラッカーや花束で祝福されると、うれしさのあまり号泣。「ありがとうございます! 16歳になって、これからもがんばります!」と感激を伝えた。  ユニドルと一緒に踊り、リーダー広瀬は「こぶしファクトリーは、まだグループ結成から1年ちょっとしか経っていないんですけど、こんなにもたくさんの方がこぶしファクトリーのことを好きと言ってくださったことがうれしいです。女性からも憧れられる存在になれるように、これからも歌もダンスも磨いて行きたいなって思います」と、気持ちを新たにしたようだ。  そして、ユニドルたちの方は、興奮冷めきらぬ様子。「いつも画面の向こうにいる存在なので、動いている! 生きてる! っていう驚きと感動が衝撃的でした。すごくオーラがあって、本人たちが出て来たら急にまわりが明るくなって、本当にこぶしの花の白さと同じような華やかさでした」(中央大学・℃hurryz)「まだデビューしたばっかりなのに、歌もうまくて、ダンスも上手。一緒に踊れたなんて、夢みたいです」(京都大学・Cotton Candy)「待ち時間のオフの時も、メンバーでキャッキャッ遊んでいて素の表情もかわいかった。私たち一般人にも気さくに話しかけてくれて、人柄も素晴らしかったです」(立教大学・アイドル研究会)「こぶしファクトリーは、ただかわいいだけじゃなくって、渋さとか深さとか、 力強さを持っているので、そこが他のアイドルにはないオンリーワンの魅力。目の前で見たそのパフォーマンスは、圧巻でした!」(上智大学・SPH mellmuse)などなど、ますますファンになったという声が続出した。  なお、これだけ急激にブームが広がった理由のひとつに「桜 フィーバー フィーバー♪」と1度聞いたら口ずさめるほどキャッチーなサビ、簡単ですぐに真似できる振り付けがある。「練習中にかけていたら、この曲を知らなかった子もいつの間にか歌えるようになっていた」(早稲田大学・ももキュン☆)と、ユニドル所属のこぶしファンから火がついて、初めて聞いた人でも歌って踊れる親しみやすさがうけて、一気にブレイクしたという流れだ。  「ハロプロのファンイベントでも今、一番盛り上がる曲は、桜ナイトフィーバーです」(金城学院大学・Aganeus) という声もあるほどの人気だ。この曲は、もともとKANの楽曲のカバーで、卒業や別れをテーマにした桜ソングとは違い、明るく盛り上がる楽曲であるところが特徴。桜の木になって人々を見た気持ちを歌う歌詞もユニーク。このシーズンに多い新歓コンパや歓送迎会などのカラオケソングにもピッタリだ。  「こぶしファクトリーは、力強いダンスチューンが多かったんですが、桜ナイトフィーバーは、初のかわいらしいナンバー。ライブでも、サビの部分をみなさん一緒に歌ってくださるので、盛り上がります。その場にいる全員と一体感を感じられる曲です」(井上)と、メンバーにとっても特別な思いのある楽曲である。春に控える全国ツアーも、間違いなくこの曲で盛り上がるだろう。進化し続けるこぶしファクトリーから目が離せない。  なお、桜前線北上プロジェクトの模様は、こぶしファクトリーのオフィシャルYoutubeチャンネルで、3月29日アップの福岡Verより順次公開予定だ。 (C)2016 SANRIO CO., LTD. ◎動画公開予定スケジュール https://www.youtube.com/c/kobushifactory/ 03月29日 福岡編 03月31日 大阪編 04月05日 名古屋編 04月07日 仙台編 04月12日 札幌編 04月14日 完結編(東京集合)
billboardnews 2016/03/30 00:00
“おそ松さん”爆発的人気の火付け役はダメンズ6人と豪華声優陣
“おそ松さん”爆発的人気の火付け役はダメンズ6人と豪華声優陣
おそ松さん 第一松 [DVD]Amazonで購入する  アベノミクスは低迷中でも、マツノミクスはトドまるところを知らない。2015年10月の放送開始直後から話題を呼び、16年1月発売のDVD・ブルーレイは初動8万枚と爆売れ。6つ子を表紙にした月刊アニメ誌「アニメージュ」は36年ぶりに重版し、公式ツイッターのフォロワーは49万人超。その経済効果は何十億円ともいわれている。シェー!  物語は、赤塚イズムを引き継いだギャグが中心。だが時折、兄弟愛を感じさせるものや、ほろりとさせられる回もあり、我々視聴者を飽きさせない。  日本を席巻する「おそ松さん」(テレビ東京系、月曜深夜1時35分~など)だが、3月28日に最終回を迎えてしまう。見どころを制作担当のぴえろ・富永禎彦プロデューサーに尋ねてみたものの、「ネタバレになってしまうのでひみつです!」。  原作の時は小学生で、見た目も性格も似たりよったりだった6人。だが、20代になり、一人ひとりが個性を持った青年に成長した。ただし、みんなダメ男。愛らしい見た目とイタさっぷりに、「かわいい」「そばにいてあげたい」と萌える女子が続出。推しメンならぬ“推し松”という言葉も生まれたほどだ。  さらに、人気を後押しするのが実力派声優たち。甘~いイケメンボイス(イケボ)でギャグや下ネタ、ブラックユーモアを連発し、これまた女子の心をわし摑み。「声はチョロ松、でもキャラは十四松が好き! どっちを推し松にしたらいいの……」(30歳、会社員女性)などと、乙女たちを悩ませている。 ◇長男・おそ松/小学6年生のメンタルを持つ 松野家の長男で、パチンコと競馬が大好き。「楽しけりゃいい」が信条で計画性なし。時折、長男らしい一面を見せ、視聴者をどきっとさせる。 見分けポイント:身ぶり手ぶりが大きく、じっとしていられない テーマカラー:赤 ・声優:櫻井孝宏(さくらい・たかひろ)/6月13日生まれ、愛知県出身。176cm、A型。代表作に「PSYCHO―PASS サイコパス」シリーズ・槙島聖護/雛河翔、「ダイヤのA」御幸一也、「しろくまカフェ」シロクマくんなど。 ◇次男・カラ松/「俺、かっこいい」と信じている 自分大好きでかっこつけ。尾崎豊に憧れているようだが、周りからはただのイタいヤツ扱い。サングラスをかけていることが多い。 見分けポイント:眉が太め。凜々しい テーマカラー:青 ・声優:中村悠一(なかむら・ゆういち)/2月20日生まれ、香川県出身。175cm、B型。代表作に「ウルトラマンX」ウルトラマンX、「機動戦士ガンダム サンダーボルト」イオ・フレミング、「ハイキュー!!」黒尾鉄朗など。 ◇三男・チョロ松/常識人だが女子にめっぽう弱い 6つ子の中で唯一の常識人とされ、ボケまくる兄弟の突っ込み役に回るが、女の子のことになると一気に“ポンコツ化”する。 見分けポイント:黒目が小さめでアホ毛がない テーマカラー:緑 ・声優:神谷浩史(かみや・ひろし)/1月28日生まれ、千葉県出身。167cm、A型。代表作に「ワンピース」トラファルガー・ロー、「進撃の巨人」リヴァイ、「文豪ストレイドッグス」江戸川乱歩など。ラジオパーソナリティーや歌手としても人気。 ◇四男・一松/猫が友達の“こじらせ系”男子 マイペースでぼそぼそしゃべる。皮肉屋でしれっと毒を吐くが、人一倍自分を隠している。基本半目なので、ほかの5人と区別しやすい。通称は「闇松」「猫松」。 見分けポイント:半目と猫背 テーマカラー:紫 ・声優:福山 潤(ふくやま・じゅん)/11月26日生まれ、大阪府出身。170cm、A型。趣味は麻雀と自転車。代表作に「暗殺教室」殺せんせー、「デュラララ!!×2 結」岸谷新羅、「石膏ボーイズ」ヘルメスなど。歌手としても活躍する。 ◇五男・十四松/異常に明るく異常にバカ とにかく明るくテンションが高い。野球が好きで、プロレス技も得意。パーカーを着ると、袖が長くて手を覆う「萌え袖」に。 見分けポイント:常に口が開いている テーマカラー:黄色 ・声優:小野大輔(おの・だいすけ)/5月4日生まれ、高知県出身。175cm、O型。代表作に「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ・空条承太郎、「宇宙戦艦ヤマト2199」古代進など。2016年1月には東京・日本武道館で初のワンマンライブを実施。 ◇末っ子・トド松/甘えん坊で世渡り上手 自分のかわいさをよく知っていて、その立場を利用するあざといヤツ。コミュニケーション能力が高い“意識高い系”男子。愛称はトッティ。 見分けポイント:黒目がちでアヒル口 テーマカラー:ピンク ・声優:入野自由(いりの・みゆ)/2月19日生まれ、東京都出身。170cm、AB型。代表作に「終わりのセラフ」百夜優一郎、「ハイキュー!!」菅原孝支など。俳優としても、映像や舞台などで活躍中。 ※週刊朝日 2016年4月1日号より抜粋
週刊朝日 2016/03/27 16:00
女子教育の先駆け、津田塾大学。キャンパス周辺は、桜も楽しみな散歩の名所
女子教育の先駆け、津田塾大学。キャンパス周辺は、桜も楽しみな散歩の名所
NHKの連続テレビ小説『あさが来た』も終盤。主人公の「あさ」の尽力で、女子大学校が設立されました。あさのモデル、広岡浅子が援助した日本女子大学校(現・ 日本女子大学)の開設は、1901年(明治34年)。実はこの学校よりも1年早く、女子教育のために創立された学校があります。それが現・津田塾大学の前身、私塾「女子英学塾」です。キャンパスの最寄り駅は、西武国分寺線・鷹の台駅。周辺の桜並木の満開も楽しみな場所にあります。津田塾大学本館校舎(東京都選定歴史的建造物) 後に続く伊藤博文との縁は、アメリカ行きの船上から 激動の時代に幼くしてアメリカに留学し、帰国後は女子教育に生涯を捧げた津田梅子。卒業と入学の季節に改めて振り返ってみましょう。 1871年(明治4)、欧米視察の岩倉具視大使一行がアメリカへ旅立つ船上に、開拓使が募集した5人の女子留学生が同行していました。最年少、満6歳の少女が津田梅子。船上やアメリカ滞在中のホテルで、心細い少女たちを幾度となく慰め、幽霊の話やおとぎ話を語りに来てくれたのが、同行した伊藤博文だったようです。年長の二人の少女は渡米後、すぐにホームシックや病を抱え帰国してしまいますが、残った4歳上の山川捨松、1歳上の永井繁子と梅子の三人は、互いに生涯の盟友・親友となります。 わずか6歳で、使命と責任を自覚していた梅子 渡米後、梅子はワシントン郊外のランマン夫妻のもとで現地の初等・中等教育を受け、11年後の1882年(明治15)、帰国の途につきます。 子供のいなかった夫妻は梅子の利発さに驚き、大切に育てました。8歳で自ら進んでキリスト教を受洗し、夫妻を喜ばせた梅子。「自分が良い娘になれば、アメリカ人は日本の両親を善人というだろう。悪い行いをすれば、両親も悪人と思われるだろう。」と、子供ながらに、懸命に努力したようです。そして生涯、信者として勤勉に邁進し、夫妻をはじめキリスト教の縁の人々から、大いなる援助を受けることになります。津田塾大学キャンパス 帰国後のカルチャーショックを経て、奮闘する梅子 日本語も忘れて帰国した梅子にとって、当時の日本の姿は驚きの連続でした。特に、女性が置かれていた状況に憤り、女性の地位を高めなければという思いが募ります。そして捨松・繁子と同様、留学中に国から受けていた多大な援助の恩を返さなければ、という使命も忘れませんでした。 実は、女学校をつくると先に決心していたのは捨松でしたが、彼女は参議陸軍卿・伯爵の大山巌に見初められて、結婚。「鹿鳴館の花」と呼ばれた社交界でひるむことなく、日本初の慈善バザーを開き、留学で得た看護婦資格を生かし日本赤十字社で戦傷者の看護も行うなど、社会貢献の道を拓きます。ワシントンで音楽を学んだ繁子は、海軍士官の瓜生外吉との、当時では珍しい恋愛結婚ののち、女子音楽教育のパイオニアとなりました。 やがて梅子は伊藤博文家の英語通訳兼家庭教師となり、その縁で華族女学校(後の学習院女子中・高等科)の設立準備にも関わり、教師としても勤務。再度の英米留学で教授法などを学んだ後、ヘレン・ケラーやナイチンゲールを訪問するなど、積極的に人脈ネットワークを開拓していきます。 そして1900年(明治33)、ついに「男性と協力して対等に力を発揮できる、自立した女性の育成」を目指す私立女子高等教育機関、「女子英学塾」を創設します。梅子はこのために、実に多くのアメリカの友人に向けて、資金援助を依頼しています。塾の開設は、いわば人力版クラウドファンディングを成し遂げた梅子の熱意と、繁子や新渡戸稲造ら、日米の友人たちの尽力に依るもの。関東大震災の被害で当初の開設地、麹町から小平に学校を移転できたのも、同窓会の募金のおかげでした。捨松も顧問として理事として、死の直前まで、梅子と塾への協力を惜しみませんでした。新緑の季節の玉川上水 現・津田塾大学のキャンパスは、自然豊かな玉川上水のほとり 「高い専門性を習得し、広い教養を身につけること」を説いた梅子の理念を受け継いだ津田塾大学は、玉川上水の久右衛門橋の北側、府中街道に面した木立の中に位置します。久右衛門橋の近くの小平市立ふれあい下水道館では、博物館的な展示を無料で見学できます。徒歩8分の最寄りの駅、西武国分寺線鷹の台駅周辺の桜並木の見頃は、3月下旬~4月上旬ぐらいとのこと。武蔵野の自然が残る一帯で、ゆったりと時間をかけ、花見と散歩を楽しんではいかがでしょうか。 参考文献:亀田帛子著『津田梅子 ひとりの名教師の軌跡』(双文社出版)桜の季節の玉川上水
お花見
tenki.jp 2016/03/22 00:00
なでしこ惨敗、監督交代 メンバーからもれる不協和音
なでしこ惨敗、監督交代 メンバーからもれる不協和音
ベトナム戦後、サポーターにあいさつするため整列するなでしこのメンバーたち (c)朝日新聞社  なでしこジャパンが、4大会連続の五輪出場を逃した。大阪開催となった女子サッカーのリオデジャネイロ五輪アジア最終予選(2月29日~3月9日)だが、日本は初戦のオーストラリア戦を落とすと、出だしから3戦未勝利とつまずいたのが響いた。  昨季限りで現役引退した澤穂希を大黒柱に、2011年ドイツW杯初優勝から3大会連続で世界大会決勝を経験してきたなでしこ。  今予選のメンバー20人中14人がそのドイツW杯時のメンバー。だが、ベテラン頼みで、若手の台頭は見られず、固い絆で結ばれていたはずのなでしこは、内側から崩壊していった。  それまで澤がつけていたエースナンバー10を引き継いだFW大儀見優季。第3戦の中国戦に敗れ五輪行きが絶望的になると、チームメートへの不満を公然と口にした。 「私は、この試合に負けることが何を意味するのか理解して臨んでいたが、それをすべての選手が理解していたのかといったらそうじゃなかった」  これまで澤という絶対的な存在をよりどころにチームは一つにまとまっていた。不平不満が出ることなどほとんどなかった。大儀見の発言はまさにチーム状況の悪さを突いたものだ。  また、07年末に監督に就任し、かつてオヤジギャグを連発し、「ノリさん」と慕われた佐々木則夫監督。名将もいまでは選手と一線を引くようになり、険しい表情ばかりが目立った。  中国戦ではその佐々木監督があえてロングボールを多用する策を立てたが、失敗に終わり、MF阪口夢穂はこう口にした。 「監督の指示なのでやるしかなかったが、よかったかどうか。ロングボールが増えたことで、チャンスもあったが、逆に守備のバランスが悪くなったと感じた」  結果論だが、監督と選手の溝の深まりが、ピッチ内にも影響したのは間違いないだろう。  この敗戦を受けて、日本サッカー協会は今予選限りでの佐々木監督の退任を認めた。後任は、14年のU17(17歳以下)女子W杯で“リトルなでしこ”を率い、優勝を成し遂げ、現在はU20(20歳以下)女子日本代表の監督を務める高倉麻子氏が有力。実現すれば、なでしこジャパン史上初の女性監督の誕生だ。自国開催の20年東京五輪に向け再スタートを切ることになる。(本誌・松岡かすみ、上田耕司、牧野めぐみ、藤村かおり/栗原正夫) ※週刊朝日 2016年3月25日号
リオ五輪
週刊朝日 2016/03/14 11:30
「VERY」「JJ」「CLASSY.」… 女性ファッション誌好調の理由
「VERY」「JJ」「CLASSY.」… 女性ファッション誌好調の理由
光文社JJ、CLASSY.、結婚して子どもが生まれたらVERY、子どもが大きくなればSTORY、そしてHERS。人生のステージごとに雑誌があり、それぞれに物語がある(撮影/編集部・柳堀栄子) 「VERY」も含め、光文社から発行されている女性ファッション誌が好調だ。「JJ」はターゲット層を25歳前後と引き上げ、「CLASSY.」は無駄を省きファッションにより特化した内容に変更したところ、2014年6月から翌年5月までの販売部数は、 その前にくらべ 「JJ」で約110%、「CLASSY.」で133%と大きく伸びた。出版不況の昨今、付録なしでここまで伸ばせる雑誌はほとんどない。部数がとれるということは、信頼度の高いコンテンツがあるということだ。 「以前 『CLASSY.』の編集長が言っていたのですが、例えば業界予測ではグリーンがはやるとされていても、街中で周りを見渡せば去年と同じ紺を着ている人が多かったとしたら、奇をてらわず紺を使う。読者がどこまでだったら許すかという、流行に対してブレーキをかける編集長のさじ加減がうまい」(河野さん)  アパレル各社では、冬の間に春物の展示会が行われる。編集長や部員は今年の新作を一斉にチェックに出かける。フランドル宣伝部次長の末廣勇太さんは言う。 「展示会で見て気になった3月発売予定の薄手の春コートを取り上げたいと 『STORY』(光文社)の編集長に言われました。この光沢のある生地は読者が求めているからと。雑誌発売日が寒い日で、価格は約4万円。予約販売のみだったにもかかわらず、誌面に商品が出たらよく売れたんです」  ここ最近は雑誌に服が出たからといって売れ筋になることはまずないというが、光文社発行の雑誌の場合は、発売後すぐに掲載商品が売れる。訴求力が強いのは読者調査の賜物だ。例えば「VERY」15年10月号では「スーパーMARKETで浮かない、秋のオシャレ」とうたった。著書『「女子」の誕生』で女性誌を分析した甲南女子大学人間科学部准教授の米澤泉さんは、 「TPOに合わせた役割ファッションを教えてくれるのが光文社の雑誌」と言う。  女性にとってファッションとライフスタイルの結びつきは、若い頃から非常に強い。発行部数約25万部を誇る「セブンティーン」(集英社)は女子高校生をターゲットにした雑誌。クラス替え、修学旅行など1年間の催事が決まっている彼女たちにとってもファッションとライフスタイルの結びつきは強い。また学校での友だちの作り方や、昨年夏は戦後70年の話題まで、様々な特集を組む。少子化によりパイが小さくなる中でも部数を確保し、 「女子高生といえばセブンティーン」という地位を築き上げている。編集長の崎谷治さん(49)は言う。 「昔ほどの部数は難しいですが、今程度の部数なら何とか今後も維持できるはず。それには、女子高生の中心に『セブンティーン』があるように、ブランドを育てていく必要がある」 (アエラ編集部) ※AERA  2016年3月7日号より抜粋
AERA 2016/03/04 11:30
学校現場の大問題

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クレーム対応や夜間見回りなど、雑務で疲弊する先生たち。休職や早期退職も増え、現場は常に綱渡り状態です。一方、PTAは過渡期にあり、従来型の活動を行う”保守派”と改革を推進する”改革派”がぶつかることもあるようです。現場での新たな取り組みを取材しました。AERAとAERA dot.の合同企画。AERAでは9月24日発売号(9月30日号)で特集します。

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働く価値観格差

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職場にはびこる世代間ギャップ。上司世代からすると、なんでもハラスメントになる時代、若手は職場の飲み会なんていやだろうし……と、若者と距離を取りがちですが、実は若手たちは「もっと上司や先輩とコミュニケーションを取りたい」と思っている(!) AERA9月23日号では、コミュニケーション不足が招く誤解の実態と、世代間ギャップを解消するための職場の工夫を取材。「置かれた場所で咲きなさい」という言葉に対する世代間の感じ方の違いも取り上げています。

職場の価値観格差
ロシアから見える世界

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プーチン大統領の出現は世界の様相を一変させた。 ウクライナ侵攻、子どもの拉致と洗脳、核攻撃による脅し…世界の常識を覆し、蛮行を働くロシアの背景には何があるのか。 ロシア国民、ロシア社会はなぜそれを許しているのか。その驚きの内情を解き明かす。

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