賭博問題に揺れたバドミントン界、五輪代表決定 初の金メダルも期待できる陣容
女子ダブルスの世界ランク1位につける高橋礼華/松友美佐紀ペア。日本バドミントン勢初の金メダル獲得が期待される。(Getty Images)
1年間の獲得ポイントで争われる、バドミントンのオリンピック代表選考。5月1日でその“五輪レース”が終わり、日本の出場選手が確定した。
日本勢初の金メダルが期待できるのが、女子ダブルスの高橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)ペアだ。14年、ヨネックスオープンジャパンで年間12大会あるスーパーシリーズ(SS)初優勝を遂げると、その年には年間上位8ペアによるSSファイナルも日本勢として初優勝。今季はもっとも権威があるとされる全英オープンの女子複で日本勢38年ぶりVのほか、1日に終わったアジア選手権でも初優勝し、世界ランキング1位をキープしている。
高橋が聖ウルスラ学院(現聖ウルスラ学院英智)高2年の07年、1学年下の松友と組んだのがペアのスタートだ。「組んですぐに、しっくりきた」と高橋が言うように、08年の全日本総合選手権では、高校生ながらあのオグシオに善戦。11年の全日本総合で日本一になったが、ロンドン五輪レースでは世界ランク20位と日本勢4番手で、届かなかった。
だが今回は、鉄壁のレシーブに「松友が前で私が後ろというのが得点パターンなんですが、いまは私が前衛でもバリエーションが増えた」(高橋)という攻撃力が加わり、堂々の世界1位。これまで日本勢が苦手としてきた中国勢とも、互角以上の戦いを演じてきた。「ロンドン五輪では、自分たちもいい勝負をしていたフジカキ(藤井瑞希/垣岩令佳)さんたちが銀メダルを取ったので、すごい、と思う半面、悔しかったですね」と松友は言う。「あれで“次は自分たち”、と意識がすごく変わった」と口をそろえる2人の“次”が、リオで現実のものとなる。
女子シングルスでは、奥原希望(日本ユニシス)と山口茜(再春館製薬所)の2人が代表だ。いずれも、高校時代に全日本のタイトルを獲得し、スーパー高校生と呼ばれた2人。とくに奥原は昨年、ヨネックスオープンジャパンで初めてSSを制すると、SSファイナルも制覇と大ブレークした。今季も、全英オープンの女子単で日本勢39年ぶりに優勝するなど、好調を続けている。ネコ科動物のようにすばしこく、足を止めずに辛抱強くレシーブし、相手にストレスをかけ、自分からはミスをしない。すると「さらに厳しいコースを狙ってアウトになるし、フットワークが鋭いので、速くタッチされてペースを乱される」(ある対戦相手)。小柄ゆえの攻撃力不足は、明晰(めいせき)な頭脳から組み立てる配球の妙で補う。もつれた第3ゲームもほぼモノにする勝負強さは、そこから生まれている。
勝山高校1年でSSを制した山口は、やはり小柄ながら身体の強さからくるパワフルなスマッシュ、連続攻撃が身上。今季入社した再春館製薬所は拠点が熊本県にあり、大地震に見舞われた地元の不屈をみせてほしい。
ほかに男子シングルスでは、賭博問題で資格を抹消された桃田賢斗に代わり、日本勢1位のベテラン・佐々木翔(トナミ運輸)が出場する。2回目の五輪となる剛腕サウスポーの33歳。ロンドンでは、金メダリストとなる林丹(中国)と互角の名勝負を演じ、ベスト8に入った。五輪出場がなければ、6月の国内大会限りの引退を視野に入れていたが、「それが2カ月延びた。できるだけのことをする」と有終の美を飾るか。
男子ダブルスは、国内第一人者の早川賢一/遠藤大由(日本ユニシス)。世界ランク最高は2位で長くトップ10をキープし、SSの優勝はないが全英オープンでは3度の準優勝、世界選手権3位の実績がある。スピーディーで目まぐるしい攻撃は圧巻だ。混合複には、数野健太/栗原文音(日本ユニシス)が滑り込んだ。前回の池田信太郎/潮田玲子に次ぎ、日本からこの種目の出場は2組目となる。15年のヨネックスオープンが、本格的なペア結成。キャリアが短いだけに、コンビネーションやレシーブなどに課題は多いが、どちらも屈指の攻撃力が魅力だ。
北京では最高4位、ロンドンでは銀と、ステップアップしてきた日本バドミントン勢。さて、今回は……。
(文・楊順行)
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2016/05/05 17:00