大友博

大友博

プロフィール

大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など。dot.内の「Music Street」で現在「ディラン名盤20選」を連載中
六九亭日乗

大友博の記事一覧

第54回 『ワン・モア・カー、ワン・モア・ライダー』エリック・クラプトン
第54回 『ワン・モア・カー、ワン・モア・ライダー』エリック・クラプトン
B.B.キングとの共演アルバム『ライディング・ウィズ・ザ・キング』を2000年夏に発表したあと、クラプトンは、ツアーは組まず、「ともかく自分が楽しめる音楽を」というコンセプトで次のスタジオ録音盤の制作に着手した。ここで彼がゲストに迎えたのは、インプレッションズ。大きな影響を受けたアーティストの一人、カーティス・メイフィールドを中心に多くの名曲を残したソウル/R&Bグループだ。すでにカーティスは故人となっていたが、当時のメンバー5人、『ライディング・ウィズ・ザ・キング』とほぼ同じ編成のミュージシャンたち、サイモン・クライミーらとともに、55歳の音楽家は新作のレコーディングを開始したのだった。
6/10
第53回 『ライディング・ウィズ・ザ・キング』B.B.キング&エリック・クラプトン
第53回 『ライディング・ウィズ・ザ・キング』B.B.キング&エリック・クラプトン
初のフル・ブルース・アルバム『フロム・ザ・クレイドル』、内省的な歌詞にこだわり、実験的な録音手法やビートにも挑戦した『ピルグリム』。いわば長年の懸案事項をクリアし、大きな手応えも感じたクラプトンは、このあと、アンティグァ島に建てた更生施設クロスローズ・ギター・センターへの取り組みを本格化させていく。1999年6月にはその運営資金確保のためのギター・オークションをクリスティーズに依頼。『レイラ』で弾いた56年製ストラトキャスター(ブラウニー)などを手放している。また同時期、ほぼ30歳下の女性と出会い、真剣に向きあうようになったことも大きな出来事だった。
6/3
第52回 『ザ・ストーリー・オブ・アス』オリジナル・サウンド・トラック
第52回 『ザ・ストーリー・オブ・アス』オリジナル・サウンド・トラック
ジョン・トラヴォルタ主演作『フェノミナン』のために録音し、結果的に大きなヒットを記録することとなった《チェンジ・ザ・ワールド》のあとも、クラプトンはいくつかのサウンドトラックを手がけている。たとえば、『ピルグリム』発表後のツアーが一段落した99年には、まず夏公開の『ラナウェイ・ブライド』(あの『プリティ・ウーマン』の続編を意識した内容)に《ブルー・アイズ・ブルー》を提供し、秋公開の『ザ・ストーリー・オブ・アス』にはほぼ全面的に関わっているのだ。ただし、前者は1曲だけであり、しかも大物ソングライター、ダイアン・ウォーレンが書いた曲、後者はロブ・ライナー監督からの手紙による熱心な依頼に応えたものということで、この2本は『フェノミナン』と『RUSH』の関係にあるものといっていい。
5/27
第51回 『ピルグリム』エリック・クラプトン
第51回 『ピルグリム』エリック・クラプトン
ほぼ恒例行事となったロイヤル・アルバート・ホールでの連続公演を、クラプトンは1996年も行なっている。2月18日から3月3日にかけての12回。参加ミュージャンは『フロム・ザ・クレイドル』ツアーとほぼ同じで、プログラムは、ブルースの名曲を中心にしながら《レイラ》や《ティアーズ・イン・ヘヴン》も聞かせる、いわば、変則ベスト的な内容だったらしい。一連のブルース・プロジェクトに、明確な形で、いったん終止符を打ったわけだ。
5/20
第50回 『リテイル・セラピー』T.D.F.
第50回 『リテイル・セラピー』T.D.F.
1997年5月にリリースされたアルバム『リテイル・セラピー』のアーティスト名義はT.D.F.(Totally Dysfunctional Familyの略だそうで、完全崩壊家庭といったところだろうか)。スプレー・ペイントで描く、あの独特の感触のストリート・グラフィティのようなジャケットのどこにも、正式な形ではエリック・クラプトンの名前はクレジットされていない(x-sampleと名乗るアーティストが、彼ということらしい)。また、そこに写真が紹介されている3人の男たちは、いわゆるストリート・ファッションに身を包み、フルフェイスのヘルメットで顔を隠している。文字どおりの覆面プロジェクトであり、まったく関心を払わなかったという方も多いと思うが、これは、クラプトンの音楽を語るうえでかなり重要な意味を持つアルバムだと思う。
5/13
第49回 『フェノミナン』オリジナル・サウンド・トラック
第49回 『フェノミナン』オリジナル・サウンド・トラック
1994年発表のフル・ブルース・アルバム『フロム・ザ・クレイドル』でブルース音楽への深い想いと見識を示し、95年にかけて行なった同テーマのツアーでも高い評価を獲得したエリック・クラプトンは、翌96年、映画絡みで大きなヒットを放っている。ジョン・トラヴォルタ主演作『フェノミナン』のエンディングで印象的に使われた《チェンジ・ザ・ワールド》だ。クラプトンのファン層を飛躍的に拡大させた《ティアーズ・イン・ヘヴン》の世界規模でのヒットから4年後のことだった。
4/30
第48回 『フロム・ザ・クレイドル』エリック・クラプトン
第48回 『フロム・ザ・クレイドル』エリック・クラプトン
1989年発表の『ジャーニーマン』のあと、クラプトンはしばらく、オリジナル・アルバムを出していない。ライヴ盤『24ナイツ』、サウンドトラック・アルバム『RUSH』、テレビ局主導のスタジオ・ライヴ『アンプラグド』、ジョージ・ハリスンをサポートした『ライヴ・イン・ジャパン』、マイケル・ケイメン中心に制作されたサウンドトラック・アルバム『リーサル・ウェポン3』。幼い息子の転落死という大きな事件があったとはいえ、円熟期にあった大物アーティストが、何年も、いわゆる企画ものばかりを出しつづけていたのだ。そして、驚くべきことに(クラプトン自身も驚いたはず)、彼はこの間に、かつてなかったほどのスケールで成功を収め、一気にファン層を拡大させてしまったわけである。
4/22
第47回 『リーサル・ウェポン3』オリジナル・サウンドトラック
第47回 『リーサル・ウェポン3』オリジナル・サウンドトラック
メル・ギブソン/ダニー・グローヴァー主演の相棒刑事ものアクション・コメディ『リーサル・ウェポン』は、1987年から98年にかけて4作が公開され、それぞれ大きな興行成績を上げた人気シリーズ。典型的なハリウッド映画であり、ストーリーの内容に深い関心があったとはとても思えないのだが、なぜかエリック・クラプトンはそのすべてのサウンドトラック制作に関わっている。おそらくは、マイケル・ケイメンやデイヴィッド・サンボーンとの共同作業を楽しんで、ということだったのだろう。
4/15
第46回 『アンプラグド』エリック・クラプトン
第46回 『アンプラグド』エリック・クラプトン
1981年年夏に誕生した世界初の音楽専門テレビ局=MTVは、音楽界をヴィジュアル・イメージ偏重の時代へと導いた。いわゆる80年代サウンドのイメージを決定づけた存在でもあったわけだが、その功罪はともかく、開局から8年後となる89年、MTVは新たな企画をスタートさせている。『アンプラグド』だ。
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第45回 『ライヴ・イン・ジャパン』ジョージ・ハリスン with エリック・クラプトン
第45回 『ライヴ・イン・ジャパン』ジョージ・ハリスン with エリック・クラプトン
映画『RUSH』のためのサウンドトラック・アルバム制作と並行して、エリック・クラプトンはもう一つ、大きなプロジェクトの準備を進めていた。ジョージ・ハリスンと日本に向かい、大規模なツアーを行なう。バンドの核は、クラプトン自身と、グレッグ・フィリンゲインズ、ネイザン・イースト、スティーヴ・フェローニ。元オールマンズのチャック・リーヴェル、元エイメン・コーナーのアンディ・フェアウェザー・ロウ、派手なアクションのパーカッション奏者レイ・クーパー、二人の女性シンガーも加わった大編成ユニットでジョージを支え、そこからライヴ・アルバムも発表する。
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大谷翔平 その先へ

大谷翔平 その先へ

米プロスポーツ史上最高額での契約でロサンゼルス・ドジャースへ入団。米野球界初となるホームラン50本、50盗塁の「50-50」達成。そしてワールドシリーズ優勝。今季まさに頂点を極めた大谷翔平が次に見据えるものは――。AERAとAERAdot.はAERA増刊「大谷翔平2024完全版 ワールドシリーズ頂点への道」[特別報道記録集](11月7日発売)やAERA 2024年11月18日号(11月11日発売)で大谷翔平を特集しています。

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アメリカ大統領選挙2024

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共和党のトランプ前大統領(78)と民主党のハリス副大統領(60)が激突した米大統領選。現地時間11月5日に投開票が行われ、トランプ氏が勝利宣言した。2024年夏の「確トラ」ムードからハリス氏の登場など、これまでの大統領選の動きを振り返り、今後アメリカはどこへゆくのか、日本、世界はどうなっていくのかを特集します。

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本にひたる

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暑かった夏が過ぎ、ようやく涼しくなってきました。木々が色づき深まる秋。本を手にしたくなる季節の到来です。AERA11月11日号は、読書好きの著名人がおすすめする「この秋読みたい本」を一挙に紹介するほか、ノーベル文学賞を受賞した韓国のハン・ガンさんら「海を渡る女性作家たち」を追った記事、本のタイトルをめぐる物語まで“読書の秋#にぴったりな企画が盛りだくさんな1冊です。

自分を創る本
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