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古代ギリシア「アテナイ」没落にみる流行病とデマ、私利私欲…現代の医師が解説
筆者の愛読する古典のひとつに、トゥキディデス(紀元前460年頃-紀元前395年)の『戦史』がある。もっともギリシア語は大学生時代、アリストテレス全集を翻訳された島崎三郎先生という大家に師事しながら3カ月で挫折し、希英対訳ローブの英語ページと岩波文庫の日本語訳版で読んだだけである。しかし、翻訳でも、国際間の緊張と駆け引き、国益よりも国民の受けを狙ったタカ派のポピュリスト政治家や、やたらに威勢の良い軍人、勝利のためには政治体制の異なる大国ペルシアから海軍を導入するスパルタ王など、人間と政争の本質は今もほとんど変わっていない。実際、欧米では、政治家や軍人を志す若者にヘロドトス『歴史』と並んで、トゥキディデスは必読の書なのだそうである。



