2025年4月から大阪市の西に広がる大阪湾の夢洲(ゆめしま)で開かれる大阪・関西万博。万博終了後は、2029年にカジノを含む統合型リゾート(IR)に生まれ変わるという大きな計画だ。しかし、ここにきて万博の開催自体に「延期論」が出始めている。何が起きている?
万博といえば最大の見せ物は、参加する国・地域、民間企業などが建てるパビリオンだ。
万博には153カ国・地域が参加を表明しており、メインとなる日本政府が出展する日本館や、各国が費用を負担し、それぞれが独自に建てたり(タイプA)、日本国際博覧会協会(万博協会)が建てた施設を引き渡したり(タイプB)、区画を一部貸し出したり(タイプC)するパビリオンがある。
他にも民間企業が出展したり、テーマ事業として掲げた八つのテーマについて、各分野の専門家がプロデューサーとして進めたりするものもある。
しかし、このパビリオンの建設段階で“トラブル”が続出している。
■随意契約に変更
まず日本館。基本計画によると、鉄骨づくりの地上3階建てで、延べ面積約1万1350平方メートル。万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」をイメージし、木材をふんだんに取り入れたデザインになっている。東京オリンピック・パラリンピックで聖火台をデザインしたデザイナーの佐藤オオキ氏が総合監修している。
計画では、6月中旬には工事を始め、2025年2月末の完成を予定している。しかし、入札を実施しても、応札した業者はあったが予定価格内ではおさまらず、不成立となった。価格はオープンにしていないが、発注額は50億円超とみられる。
通常の工事であれば再入札となっておかしくないが、それだと開幕に間に合わない可能性があるとして、随意契約にすることが決まった。
他にも、万博のメイン会場「大催事場」は、3回目の入札で約71億円でようやく落札。プロデューサーの一人、映画監督の河瀬直美氏のパビリオンは2度目の入札で15億7千万円で落札されたが、当初の予定は10億7千万円だった。