さらに、大西、左藤両氏と同様に支部長として残った7区の渡嘉敷奈緒美氏のうち、大西氏と左藤氏は岸田派、渡嘉敷氏は茂木派であることも、

「首相と幹事長の派閥なら残れるのか」

 と強く反発した。

 中山氏は安倍派、11区の佐藤氏と17区の岡下昌平氏は二階派だ。

 安倍派の衆院議員は、

「支部長を替えて、勢いのある今の維新に勝てるのか。発表から公募までたった3日間で、自民党のホームページには募集要項など詳細がアップされている。あまりに手際がよすぎないか」

 といぶかしがる。

 二階派の国会議員も、

「佐藤氏、岡下氏と二階派が狙い打ちされたのか。こんなことでは、ますます非主流派として岸田首相、茂木幹事長に対抗せざるを得ない。いきなり一方的な通告とは、ずいぶんと冷たい仕打ちではないか」

 と怒りをにじませる。

■公募で透明性を確保しなければ維新に勝てない

 だが、ある自民党幹部がこう話す。

「大阪はなんとかしなきゃならんと、調査を5回ほどかけた。その数字や地元の活動の様子、運動量などさまざまな点で調べ、10選挙区で公募することになった。中山氏は惜敗率を持ち出して記者会見していたが、2年前の選挙で情勢は変わっている。だから何度も調査している。極秘裏に調べて決めたもので、それほど自民党として危機感を持っているということだ」

 そして、派閥優先という批判についても、

「岸田首相に調査やデータをもとに報告をあげたのは公表の直前で驚いていたが、そのまま了承されている。派閥優先という話ではありません」

 と否定し、こう指摘する。

「維新は公明党との協力関係を絶って、大阪では空白だった四つの選挙区に立ててくる。候補予定者を選ぶための予備選をスタートさせている。自民党も公募で透明性を確保し、訴えていかなければ維新には勝てません。短期間での募集、決定なので前職が応じれば有利だと思いますよ」

 岸田派の幹部も、

「うちは争いごとや駆け引きが下手な派閥であることは永田町でも有名です。岸田首相がうちの2人を『入れろ』なんてことは絶対にやってないと断言できる。岸田首相は直前に茂木幹事長から報告を受けるまで知らなかったと聞いている」

 と反発する。

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派閥対立あおることにもつながりかねない