就職してからも、自分の能力をレベルアップしていきたい。大学院などで学び直すリカレント教育はそんな願いに応えるためにある。社会人の「学び直し」とはどんなものかを、知っておきたい。
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ここ数年、リカレントやリスキリングという言葉をよく耳にするようになった。岸田首相が2022年10月、社会人の学び直し支援を政府の指針とすると発表したことも記憶に新しい。
「リカレント」は、繰り返しや循環を意味し、いったん社会に出てから大学などの教育機関で再び学ぶのが「リカレント教育」。「リスキリング」は、文字通り改めて新たな能力を得ることだ。
◆なぜリカレント教育なのか
こうした学び直しについて、キャリアコンサルタントで日本女子大学リカレント教育課程担当講師もつとめる冨山佳代さんは「社会に出てからも自分の意思で学び続けることがより求められるようになりました」と話す。
「日本では以前から、社内研修やOJT(業務を通じたトレーニング)でスキルアップをしていました。社外研修や大学院などへは、社命で行く人が多かったと思います。ところが数年前から政府がリカレント教育やリスキリングの政策を展開し、またコロナ禍でオンライン学習が一気に普及したこともあり、個人が自発的に学べる選択肢が格段に増えています」
さらに「就社」から「就職」へと意識が変化し、企業側も社内起業や副業を推進し始めている。また、リモートワークの普及で自分にとって価値のある時間の使い方は何かを考えるようになったことも背景にあると冨山さんは説明する。
高い専門性や創造性が求められる業務になるほど、学びたいスキルや知識が社内では得られない。すると外部のリカレント教育で学び直す必要性を感じるようになる。
「今の若い人たちは学生のときから、この会社でやっている仕事が社会で役立っているかを深く考えています。会社の枠にとらわれず、自分の意思で学ぶという意識に変わり始めています」(冨山さん)