たしかに傷口は浅くない。更迭によって翔太郎氏や岸田首相への批判が沈静化するかと思いきや、辞職の時期について新たな批判も巻き起こったのだ。

 翔太郎氏の首相秘書官辞職が発表されたのは5月29日。しかし、辞職の日付は「6月1日付」とされた。これについてSNSでは「ボーナス(期末・勤勉手当)が目当て」といった声がわき起こったのだ。

 これに対し、翌30日、松野博一官房長官は記者会見で「本人から、退職手当や期末手当、勤勉手当が支給されるのであれば、すべて返納したいとの申し出がなされている」と翔太郎氏の意向を明らかにした。

 そもそも秘書官のボーナス(期末・勤勉手当)についてはどのような制度になっているのか。

 首相秘書官は特別職の国家公務員だ。国家公務員の夏のボーナスの対象期間は、12月2日~6月1日の6カ月間。6月1日に在職していた職員、また6月1日から1カ月以内に退職した職員も対象者になる。

 当然、在職期間によってボーナスの額は変わってくる。6月1日まで在職していれば、期末・勤勉手当は100%支払われる。しかし、期末手当については5カ月以上6カ月未満になると80%、勤勉手当については5カ月15日以上6カ月未満だと95%の支給となる。

 元国会議員秘書でコラムニストの尾藤克之さんによると、仮に翔太郎氏の俸給月額が最大の約58万円だとすると、期末手当は約252万円になるという。仮に5月31日付で辞職となると80%の支給なので、約200万円程度に減額となる計算だ。

 返納はできるのだろうか。内閣人事局の担当者は「閣僚の場合は『期末手当の一部返納は寄付に当たらない』といった内容の規定があり、返納できますが、秘書官となると前例を聞いたことがなく規定もない。政治家ではないので返納できないということはないと思いますが……」と困惑気味だ。

 今回の騒動について尾藤さんはこう指摘する。

「辞職するのであれば5月末でよかったはずです。それをわざわざ6月1日付にしたというのは、ボーナスが視野に入っていたと指摘されても仕方がないです。SNSで批判が広がり、慌てて『返納したい』と火消しに走ったように見えます。もし、何も声が上がっていなければ、そのままもらっていたのではないでしょうか」

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翔太郎氏に質問状、その回答は?