岸田首相と翔太郎氏
岸田首相と翔太郎氏

 自民党のある幹部がこう指摘する。

「だいたい、2人しかいない政務秘書官に長男をつけることが問題です。党内からも『親ばかだ』と言われ、不祥事続きなのに厳重注意は『甘すぎる』と批判の声が多く出ていました。更迭は当然でしょう」

 官邸関係者によれば、岸田首相は週末、裕子夫人を交えて翔太郎氏と話し合ったという。

「世論調査の数字を待ちつつ、批判が強いので辞めるほうがいいとの方向だったそうです。支持率が落ちていることがわかると、翔太郎氏自らが『辞めます』と口にしたそうです。翔太郎氏は政務秘書官で、広報やSNS担当でしたが、まあ、何をしているのかよくわからない状況でした。正直、ホッとしています」(官邸関係者)

 岸田首相はサミット後に急上昇した支持率を背景に、安倍晋三元首相銃撃事件から1年にあたる7月9日投開票を目指して解散に踏み切るという考えもあったと見られている。

 宏池会(岸田派)の国会議員は、

「サミット直後の支持率はまさに最高の数字と言ってもいい。二度とないような伸びでしたから、ここで(解散)するしかないという思いはあったし、まわりは想定して動いていました。しかし、翔太郎氏の失態で数字が下がったので難しいでしょうね」

 自民党本部の政務調査会に長年務め、岸田派の職員だったこともある政治評論家の田村重信さんは、身内を首相秘書官に入れることについて、こう話す。

「首相秘書官は、政務(担当)は2人ですけど、事務(担当)は省庁からきており、それで十分にまわります。だから岸田首相としては一人くらい長男を入れてもいいかな、と思ったのでしょうけど、まわりはやりにくいですよ」

 宏池会の岸田首相の大先輩でもある大平正芳元首相が、在任中に娘婿の森田一氏を首相秘書官に起用したことを挙げ、

「このときもどうなんだという話はありました。森田氏は大蔵省の官僚で、大平氏が亡くなってからは衆院議員になって運輸相なども務めました。さしたるキャリアもない翔太郎氏を首相秘書官に、というのはあまりに岸田首相は甘すぎたと思いますね。これが傷口を大きくしかねないです」

次のページ
ボーナス返納に内閣人事局も困惑