都民ファーストは、三鷹市長選、豊島区長選、いずれも自民党と公明党とともに推薦を出している。2020年の都知事選では、自民党は独自候補を断念し、公明党も含めて実質的には小池知事を支援した。

岸田首相が安倍元首相の一周忌に合わせた解散を考えるとすれば、維新や小池知事に時間を与えず、態勢が整わないうちに勝負するほうが得策という考えがあるから。維新は松井さんが引退して、全国区の知名度がある人がいない。小池知事が決断し、“小池劇場”を展開されることを最も警戒している」

 と前出の自民党幹部は言う。

 元大阪市議で、自民党や維新の国会議員の秘書を務めた政治評論家の藤川晋之助氏は

「私も経験があるが、政界にいて民間に戻ると、何か物足りない感覚が出てきます。民間が長くなった橋下氏も、再度政界に、と立ち上がる可能性はあると思う。ただ、維新も国政政党として基盤ができており、その代表などの役職に復帰してという立場ではなく、あくまで政界再編の一翼を担うという方向です」

 と橋下氏の政界復帰の可能性に言及し、小池知事については、

「小池氏は知事の任期があと1年少し。3期目を担うことも考えられなくもないですが、その後の展望がなさそうです。もし、選挙に出るなら、小池氏というスターの後で都知事をやれそうな人材はそうはいない。橋下氏を引き入れ、国政復帰という狙いはよく理解できる。岸田首相も、維新と小池氏の動向を視野に入れながら、解散のタイミングを考えるのでしょう」

 との見解を示す。

 維新と合流しての政界再編をもくろむのか、自民党の派閥トップの椅子を狙うのか、はたまた都知事の継続か――。いずれにしても小池知事がどの道を選択するかによって、その後の政界に与える影響も大きく変わりそうだ。

(AERA dot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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