『百冊で耕す <自由に、なる>ための読書術』(CCCメディアハウス)
『百冊で耕す <自由に、なる>ための読書術』(CCCメディアハウス)

 せっかく図書館へ行くのなら、あえて古い新聞を読むのもいいものだ。ちょうど一年前の書評を読むなんて、どうだろう。縮刷版で、一年前の同月同週の読書面をチェックする。読みたくなった書籍の書評をコピーする。

 わたしの場合、気になる書評があるのは、一紙につきせいぜい一冊。多くて二冊だ。したがって、縮刷を読んでチェックしたとしても、コピーは五、六枚。五十円から六十円。

一年前の書評をチェック

 じっさいにしたことがあるのだが、一年前の書評チェックは意外と使える。第一に、時間が経っているぶん、評価がしやすい。一年前にはホットなトピックだったが、時をおいてみるとすぐに陳腐化した。そういう書籍も多い。第二に、こちらの方が重要だが、図書館で借りやすいのだ。

 一年前の書評本が古くなっているかというと、そんなことはない。志のある本は、何十年、何百年と読み継がれることを願って作られる。作り手の熱を帯びた書物。それが、発売から一年経ったからといって色あせるようなことはない。「熱を冷ます」という意味でも、一年前の書評でチェックするのは意外にすぐれた方法だった。

 そうして六紙の書評をチェックしていれば、毎週、読みたくなる本の五、六冊は出てくる。それを、片端から予約する。あれば借りるし、なければ、前述したように近隣自治体から取り寄せる。

 次の週も五、六冊予約する。その次の週も……。こうしていれば、ひと月からふた月後には、毎週十冊程度、図書館の貸し出し限度数の新刊本が、わたしの借り受けを待っているという、幸福にも忙しい事態となる。