下痢データ
下痢データ

■普段の食事に原因があることも

 下痢がやっかいなのは、突然なることが多いから。急性の下痢の注意点を稲森医師に聞いた。

「脱水を避けるために、水分補給が大事です。症状がひどい場合や水分が取れない場合、血便が出ている場合は、医療機関を受診してください」

 4週間以上続くものは「慢性下痢」と呼ばれる。その原因は大きく三つに分けられる。

1.食習慣

2.腸の病気(内視鏡などで炎症などの原因が見られる)

3.腸の機能の異常

 まず食習慣について。代表的なのはアルコール、脂肪の多い料理などだ。アルコールは腸の水分吸収をさまたげると同時に、腸管からの消化液の分泌を促す働きがある。脂肪を消化する際に分泌される胆汁に含まれる「胆汁酸」は、便をゆるくする作用がある。

 金子医師は、意外なものとして、キシリトールやエリスリトール、ソルビトール、マルチトール、還元水あめなどの甘味料を挙げる。

「これらの主成分の『糖アルコール』は小腸で消化、吸収されにくく、そのまま大腸に到達して腸の浸透圧を上げます。このため、浸透圧を下げようと腸管から水分が排出されるので、体質によっては一時的におなかがゆるくなることがあります」

 また、「乳糖不耐症」が原因で下痢になっていることも。乳糖不耐症は日本人に多く、牛乳などに含まれる乳糖を分解する「ラクターゼ」という酵素の不足や、働きの低下で起こる。

「生まれつきのケースだけでなく、大人になって発症する人もいます。この場合、乳製品をやめれば下痢は止まります」

 抗生剤や高血圧治療薬などの副作用で起こる薬剤性の下痢もある。思い当たる人は、主治医に相談するといい。

 次に、腸の病気による下痢を取り上げる。

 吸収不良症候群、クローン病や潰瘍性大腸炎、顕微鏡的腸炎、大腸がんなど、さまざまな病気で下痢の症状が出る。

「加齢とともにこのタイプの下痢は増えていきます。50代以上では大腸がんを疑います。なお、慢性膵炎のある人は少しずつ膵液の分泌量が減っていくので、年を取ると下痢が悪化しやすいです」(稲森医師)

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慢性的に下痢が続くなら、大腸内視鏡検査を