中日・岡林勇希(左)ヤクルト・並木秀尊(右)(写真提供・中日ドラゴンズ/東京ヤクルトスワローズ)
中日・岡林勇希(左)ヤクルト・並木秀尊(右)(写真提供・中日ドラゴンズ/東京ヤクルトスワローズ)

 村上宗隆ヤクルト)のシーズン56本塁打、そして令和初&史上最年少(22歳)となる三冠王の誕生に沸いた今年のプロ野球だが、パ・リーグでは打撃ではなくスピードで注目を集めた選手がいる。それが今季プロ入り3年目の高部瑛斗(ロッテ)だ。過去2年間は一軍で9安打、4盗塁に終わっていたが、今年は外野の一角に定着するとシーズン開幕からハイペースで盗塁を積み上げ、44盗塁で初の盗塁王に輝いたのだ。

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 パ・リーグ2位の周東佑京(ソフトバンク)が22盗塁、セ・リーグ盗塁王の近本光司(阪神)が30盗塁だったのを見ても、高部の数字がずば抜けていたことは間違いないだろう。そして高部以外にも、今後両リーグの盗塁王争いに加わりそうなスピード自慢の若手は少なくない。

 まずセ・リーグで名前が挙がるのが岡林勇希(中日)だ。プロ入り3年目の今年は161本のヒットを放ち最多安打のタイトルを獲得するなど大ブレイクを果たしたシーズンとなったが、盗塁数でも近本に次ぐセ・リーグ2位タイとなる24盗塁をマーク。両リーグで最多となる10本のスリーベースも放っており、単純な脚力に関しては間違いなくリーグでもトップレベルだ。

 今年は相手からマークされ始めた6月と7月にそれぞれ1盗塁ずつとペースを落としたが、8月以降に14盗塁を決めるなどシーズン終盤に盛り返しているのも好材料である。長打力不足が課題のチームということで岡林のスピードはより重要になるだけに、来シーズンはさらに数字を伸ばしてくれることを期待したい。

 まだプロ入り後の実績は乏しいものの、セ・リーグで楽しみなのがヤクルトの並木秀尊と丸山和郁の2人。並木は大学3年冬に招集された大学日本代表候補合宿で行われた50メートル走で全体トップとなるタイムをマークして注目され、2020年のドラフト5位でヤクルトへ入団。2年目となった今シーズンはイースタン・リーグで24盗塁をマークして盗塁王に輝いている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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パ・リーグの期待のスピードスターは?