ゴール「上」の成功率が格段に高いことがわかる
ゴール「上」の成功率が格段に高いことがわかる

 現在のJリーグではPK戦は採用されていないので、試合中のPKデータになるが、それによると2018~22年の5シーズン、J1~J3で計5314試合が行われ、PKの機会は1002回あった。

 うち、成功したのは806回(GKがはじいたボールやバーに当たり跳ね返ったボールを味方が得点したケースは除く)。最も成功率が高いのは20年の83・4%(総数187回・成功156回)で、最も低いのは21年の78・5%(総数163回・成功128回)。成功率はおおむね80%前後で推移している。

 では、キッカーは枠内のどこに蹴っているのかを見てみよう。

 ゴールを「上下」と「左・中央・右」の6つのゾーンに分けたデータでは、

・左上 88回(8・8%)
・中央上 50回(5・0%)
・右上 66回(6・6%)
・左下 390回(38・9%)
・中央下 77回(7・7%)
・右下 291回(29・0%)

 枠外に蹴ってしまったり、ポストやバーに当ててしまったのは40回(4・0%)だった。

 次は、蹴った回数と成功数、成功率を並べてみる。

・左上  88回-成功88(100%)
・中央上 50回-成功48(96・0%)
・右上  66回-成功65(98・5%)
・左下  390回-成功310(79・5%)
・中央下 77回-成功55(71・4%)
・右下  291回-成功240(82・5%)

 これらのデータを基に、滝川さんはこう指摘する。

「上のゾーンは100%に近い成功率です。5年間で、たったの3本しかセーブされていません。選手もそれは分かっていると思いますが、やはりバーに当てたり、その上に外してしまうという重圧から避けてしまうのでしょう」

 さらに細かく、右足のキッカー、左足のキッカーに分けたデータを見ると、蹴る方向に顕著な傾向があることが分かる。

 6つのゾーンのうち最も多く蹴っているのは、右足はゴール左下(総数848回のうち344回、40・6%)で、左足はゴール右下(154回のうち58回、37・7%)。左右ともほぼ4割をそこに蹴っているのだ。また、右足が右下に蹴った割合は27・5%、左足が左下蹴ったのは29・9%で、逆サイドとの差も大きい。

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右ききのキッカーは4割が「左下」を狙う