クロアチア戦のPKで最初のキッカーとなった南野拓実(写真:新井賢一/アフロ)
クロアチア戦のPKで最初のキッカーとなった南野拓実(写真:新井賢一/アフロ)

サッカーW杯カタール大会で、クロアチアにPK戦で敗れた日本代表。試合後、日本の3選手のシュートがキーパーに阻止されたあのPKをめぐっては、「練習不足」「運だから仕方がない」などさまざまな意見が飛び交った。敗因はさておき、PK戦をどう戦うかを考えるヒントとして、JリーグのPKデータをもとにその傾向を見てみよう。

【PK成功率「100%」のゾーンはここ!】

*  *  *
 PK戦でクロアチアに敗退し8強入りを逃した日本。3人がシュートを止められたその内容に、試合直後には「PK下手」「PKの練習」がトレンドワード入りした。

「PKは運」との声もあるが、日本に続きスペインもPK戦で格下のモロッコに敗退。スペインのルイス・エンリケ監督が選手1人につき1000本のPK練習を指示していたことが報じられると、今度は「PKの練習は必要」「練習1000本でも負けるのか」などの声が上がり、PK戦の難しさを物語った。

 さらに、準々決勝でもクロアチアーブラジル戦、オランダーアルゼンチン戦がPK決着となった。

 サッカーや野球競技などスポーツのデータを分析する「データスタジアム」によると、W杯でPK戦が導入された1978年の大会以降、PK決着となった試合は今回の日本戦までで31試合ある。

 PKでは先攻チームが有利という説もあるが、結果を見れば先攻が15勝、後攻が16勝と拮抗している。ちなみに日本ークロアチア戦の前までは先行チームが6連敗しており、日本で7連敗となった。だが、それ以前は先攻が9連勝している。また、クロアチアは前回ロシア大会で、2試合をPK戦の末に勝ち抜いている。

 果たして、PKは運次第なのか。はたまた、練習で技術を磨くことにより勝つ確率が上がるのか。

 データスタジアムのサッカー担当アナリスト・滝川有伸(とものぶ)さんは「PKは運に左右される部分もありますが、データから考えると技術の要素の方が大きいと思います」と話す。

 W杯の数字ではなくあくまで参考ではあるが、Jリーグオフィシャルスタッツ「J STATS(ジェイスタッツ)」をもとに、データスタジアムが分析したPKに関するデータを見てみよう。

著者プロフィールを見る
國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

國府田英之の記事一覧はこちら
次のページ
PKの成功率はおおむね80%前後