写真はイメージ(GettyImages)
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 更年期症状とは、閉経前後の女性の心身に起こるさまざまな不調のこと。「日替わりでランダムな症状で昨日は関節が痛み、今日は気分が落ち込む」「寝込むほどにつらい」と感じる人がいる一方で、「気になる症状があったけれど、いつの間にか通り過ぎた」と軽い人もいる。

【図】更年期の不調はこんなにある!

 そもそも更年期症状に個人差があるのはなぜなのか? 『婦人科医が不安と疑問に答える 更年期の処方箋』(ナツメ社)を刊行したばかりの産婦人科医歴40年以上のベテランドクター、東峯婦人クリニック理事長、松峯寿美先生に聞いた。

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 更年期とは、閉経をはさんだ前後10年間にわたる“体の変わり目”の時期をさす。この時期にさまざまな不調が起こるのは、閉経に伴って女性ホルモンが枯れていき、自律神経が乱れるため。

 日ごろ、私たちの体は自律神経によって、無意識のうちに体温や血圧、胃腸の消化活動などがコントロールされており、喜怒哀楽、快・不快などの情動にも自律神経が大きく関わっている。

 実は、【女性ホルモンのコントロールセンター】は、【自律神経のコントロールセンター】と脳内で隣り合っている。そのため、女性ホルモンが低下する閉経前後は自律神経の乱れを招きやすく、体と心が揺さぶられてしまうのだ。

■更年期にはいろんな不調が日替わりで現れる

 更年期症状のなかでもよく知られるのは、体が突然熱くなるホットフラッシュだろう。それ以外にも、肩や腰の痛み、ドライシンドローム(口腔内や目、外陰部などの乾燥)、不眠気持ちの落ち込みなど、さまざまな症状が現れる。

 そして更年期症状は、さまざまな不調がランダムに起こりやすい。「昨日は関節の痛みが気になったけれど、今日はなんだか気分が落ちこむ」など、いろんな不調が日替わりで起こるという具合だ。また、症状の程度には個人差があり、比較的軽くすんでケロッとしている人もいれば、寝込んでしまうほど重くなってしまう人もいる。

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症状が重くなる人と軽くすむ人、何が違うのか?