「アベル」とはいわゆる上司にあたる人物だ。

 旧統一教会の名前を隠すようにと言われたことについて、加納弁護士は、

「旧統一教会の社会的な霊感商法などの問題もあって、表に出せないと陣営は考えたのでしょう」

 とみている。

 Aさんの最初の仕事はポスター貼りだった。

<ピンポーンとインターホンを押し、「山谷さんを応援している者です」といった自己紹介をし、お家の外壁に選挙が終わるまでこのポスターを貼らせていただけませんか?とお願いする。ポスター貼り役は断られてもそこをなんとかと、といった風に粘る。裏面の小泉(純一郎)首相と握手した写真などを見せる>

 と奮闘ぶりがリポートされている。

 そして、ポスター貼りの後は選挙カーに乗って手伝うことになった。選挙用のジャケットを渡されて、車に乗り込んだAさんを含む4人の旧統一教会の信者たち。

<渡されたのは「山谷えり子は〇〇します!」といった、10項目くらいのアナウンスマニュアル。「み旨を進める人だ」と感激した。「過度な性教育に反対」「ジェンダーフリーの反対」「家庭の再建」といった内容。一人づつマイクを持って全文を交代で読んだ。残る3人は窓の外にいる人々に手を振って明るく「山谷えり子をよろしくお願いいたします」と大声を出した>

 主張の内容は、旧統一教会と同じだ。

 選挙カーのアナウンスが終わると、選挙の手伝いは終了。そして、こう感想を書いている。

<日々前線で伝道か万物復帰なので、私は違うことをさせてもらい嬉しかった>

<この日の残りのスケジュールは伝道。アベル(隊長)に電話をする。ウグイス嬢をしたと報告すると「すごいじゃないか」と喜んだ声が聞こえる>

 Aさんは、そもそも山谷氏の顔すらも知らずに選挙支援に行ったと書いている。そして、こうした選挙支援も上司の指示で動いていたことがうかがえる。

 また、旧統一教会の信者がかなりの人数で山谷氏の応援に入っていたことや、旧統一教会が継続的に選挙支援をしていたこともみえてくる。

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文鮮明氏、日本入国のために山谷さんにがんばって欲しい