先発右腕のノア・シンダーガード、抑えのライセル・イグレシアス、若手外野手のブランドン・マーシュを放出。チームは来季以降に備えるという状況になっている。

「(今回のトレードで)獲得した選手を見ても戦力強化にはつながりそうもない。チームの予算に余裕を作るための移籍なのが明白でしょう。大谷は23年オフにFAとなるが、まずは契約延長のために必要なお金を作り出す必要がある」(MLBアジア地区担当スカウト)

 大谷をめぐる今後のシナリオとしては3つある。FA前にトレードで他チームに放出されるか、またはエンゼルスと契約を延長するか、その2つでない場合は来シーズンのオフにFAとなり移籍先を探すかのいずれかだ。

 大谷の「ヒリヒリする9月を過ごしたい」という願望を叶えるにはトレード、もしくはFAでの移籍が自然な流れではあるだろう。だが、今やリーグの顔にも成長したエンゼルスが大谷を簡単に手放すとも考えらない。

「大谷が在籍してくれることで球団のメリットは大きい。今や日本ではエンゼルスを知らない人はいないほど球団の知名度は高くなっている。スポンサーも集まり、グッズなどマーチャンダイジングもMLBトップクラス。チームが勝てなくとも、マーケティングという部分で大きな戦力になる」(スポーツマネージメント会社関係者)

 また、大谷は投打の“二刀流”でプレーするチームを探さなくてはならず、他チームへの移籍は一筋縄ではいかない。起用法が特殊であるため、仮にトレードが起きるならシーズン中は難しく今オフとなる可能性が高いという見方もある。また、打撃では昨季ほどの活躍ではないが、今季は投手として素晴らしいパフォーマンスを維持している。トレード要員として価値があるうちに売るという考えが出てきてもおかしくない。

「他球団が大谷獲得に動く場合、難しいのは二刀流を希望した場合に投手編成を作り直す必要があること。通常5人の先発投手を中4日で回すが、もう1人増やして6人必要になる。前もって大谷がプレーすることを踏まえたチーム編成をしなくてはいけない。シーズン中の獲得は他の投手との絡みなど、準備期間がないので考えにくい」(MLBアジア地区担当スカウト)

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“理想の移籍先”は簡単に見つからない?