正しいブラッシングの方法はインターネットなどでたくさん紹介されています。いくつか方法があるので、自分に合うものを取り入れてください。いずれもポイントは同じで、時間をかけて、一本一本ていねいにみがくことが大事です。なんとなくではなく、食べカスやプラークをこそげ落とすつもりで清掃します。

 出血している部位がわかっている場合は、ためらわず、そこをしっかりみがいてください。「血が出ているから怖い」とやめてしまうと歯周病菌がそこに放置されたままになり、さらに炎症が悪化してしまいます。

 また、ブラッシングに加えてデンタルフロスは必ず使ってください。歯と歯のすき間が開き気味の人は歯間ブラシを使います。これにより、ブラッシングでは取り除けない歯間の汚れやプラークを清掃できます。さらに殺菌成分が含まれているマウスウォッシュ(洗口液)を一緒に使うと、プラークの除去効果がより、高くなります。

 歯周病は免疫と深く関わっていて、睡眠不足や疲労が重なると、悪化しやすいこともわかっているので、生活習慣に注意することも大事です。

 セルフケアや生活習慣の見直しにより、出血はおさまってくるはずです。でも、ここで、「もう、歯医者に行かなくていいや」とはならないでください。歯並びの問題で、歯と歯が重なっていたり、かぶせものと歯ぐきの間にすき間ができている部分はセルフケアが難しく、また、プラークが石灰化してできた歯石もブラッシングで取り除くことは不可能です。セルフケアが手薄になったとき、こうしたところから歯周病がじわじわと起こってきます。

 歯科では専用の機器を使って、こうしたプラークまで、根こそぎきれいに取り除いていく治療をおこないます。

 歯周病は「サイレント・ディジーズ」(静かな病気)と言われ、かなり進行するまで痛みなどの自覚症状は表れません。

 一方、数少ない目に見えるサインが「歯ぐきからの出血」です。

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出血に気づいたのは幸運