東京から父と同じ東北高に越境入学し、“大魔神フォーク”も独学で身につけたが、入学直後に右肘を痛めて伸び悩んだ。

 背番号11を着けた最後の夏は、宮城大会4回戦の迫桜戦で4回からリリーフ登板し、3回を無失点に抑えた。これが唯一の登板となり、チームは決勝で上林誠知(ソフトバンク)を擁する仙台育英に1対2と惜敗。親子二代の甲子園は夢と消えたが、「(父と)同じ縦縞のユニホームを着て、公式戦で投げることができたのは、誇りに思っています」と語っている。

 落合博満(ロッテ中日巨人日本ハム)の長男・福嗣も、強豪・国士舘高野球部に在籍していたが、中学時代に軟式野球チームの先輩に金属バットで殴られ、膝を負傷した影響で、入学早々リハビリ生活を送る羽目に。「1年生なのに何で練習を休むんだ」と反感を買い、いじめにあったことなどから、高2のときに退部したという。

 そんな息子に、今年6月12日放映の「行列のできる相談所」(日テレ系)に出演した父は「人を蹴落としてでも、自分がのし上がろう、そういう性格でないと、(野球選手は)無理でしょうね。人が寝てる間でも自分が練習しなきゃいけないという世界です」の言葉を贈っている。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

著者プロフィールを見る
久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

久保田龍雄の記事一覧はこちら