仕草が「父親そっくり」と話題になった大阪学院高の掛布啓悟
仕草が「父親そっくり」と話題になった大阪学院高の掛布啓悟

 長嶋茂雄・一茂父子をはじめ、親子二代でプロ野球選手になった例は、40組以上に上る。その一方で、親子二代のNPB揃い踏みは実現しなかったものの、高校球児時代に「あのプロ野球選手の息子」と話題を集めた2世選手も多く存在する。

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 その代表格が、桑田真澄(元巨人-パイレーツ)の長男・真樹だ。

 中学時代に父が会長を務める麻生ジャイアンツの一員として全国16強入り。2008年に桜美林に入学すると、1年生ながら俊足と打力を買われ、同年夏の西東京大会で背番号9を貰った。

 最後の夏は7番センターで出場した4回戦の田無工戦で、2回に夏の大会初安打となる右中間三塁打。観戦の父を「いい当たりでしたね」と喜ばせた。

 5回戦の佼成学園戦でもタイムリーを含む二塁打2本を放ち、4年ぶりの8強進出に貢献したが、準々決勝で日大鶴ケ丘に1対4で敗れ、親子二代甲子園出場ならず。

「この経験を大学でも生かしたい」と誓い、桜美林大では広角に打ち分ける中距離打者として活躍。4年時にプロ志望届を出したが、指名する球団はなく、その後、独立リーグの新潟、信濃、滋賀でプレーを続けた。

 打席での仕草が「父親そっくり」と話題になったのが、掛布雅之(元阪神)の長男・啓悟だ。

 中学時代はボーイズリーグのオール豊中に在籍。大阪学院高では2年秋に背番号3を貰った。

 父と同じ左打ちで、風貌も似ているばかりでなく、打席に入ると、右手でバットをグルグル回転させ、両手で握ったグリップを高く突き上げるパフォーマンスまでそっくり。

 現役時代の父は「小さいころにビデオで見た」程度だったのに、無意識のうちに似てきたのは、やっぱり親子としか言いようがない。

 最後の夏となった01年、大阪大会初戦の福井戦では、7番ファーストで出場し、右中間に快打を飛ばして打点を挙げた。

 だが、3回戦の桜宮戦では、5回途中でベンチに下がり、2対8の敗戦。

「今日の負けは悔しいけど、僕にとってはひとつの通過点ですから」とプロを目標に掲げた掛布2世は、大阪学院大では4番・主将を務め、三菱重工神戸では父と同じ背番号31を着けている。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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