千葉マリアさん(撮影:上田耕司)
千葉マリアさん(撮影:上田耕司)

 千葉県館山市で、女性専用の薬物依存症のリハビリ施設「S.A.R.S(サーズ)千葉」を運営している歌手の千葉マリアさん(73)。来月、9年ぶりに歌手として復帰することを機に、AERAdot.編集部のインタビューに答えた。最愛の次男・十枝真沙史(とえだ・まさし)さんが心臓の病「大動脈瘤弁狭窄症」のため、4月21日に数時間に及ぶ手術を受けたことや、その真沙史さんの父親で、5年前に亡くなった俳優・松方弘樹さんとのほろ苦い思い出、リハビリ施設を始めた理由などを語った。

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 マリアさんの次男・真沙史さんの心臓手術に付き添ったマリアさんはこう語る。

「執刀医の先生がおっしゃるには、心臓を5時間半止めて、また動かすという手術だったそうです。本人は『集中治療室(ICU)で、発作やけいれんが起きて死にそうだった』と言っていましたが、意外に早く回復し、4月29日には抜糸が決まったようです。近く、退院できるようです。神様の贈り物のようでした。(父親の)松方さんも遠くから、見守ってくれたのだと思います」

 真沙史さんは、マリアさんが代表を務めるリハビリ施設「サーズ」の施設長で、2017年1月に死去した俳優・松方弘樹さん(享年74)とマリアさんとの間に誕生した次男だ。

 長男の晃太郎さんは、マリアさんが18歳の時、5歳上の夕刊紙記者の男性と結婚して誕生した。晃太郎さんと真沙史さんは異父兄弟で、晃太郎さんは現在、男性の薬物依存の更生施設「館山DARC(ダルク)」の代表を務めている。

 真沙史さんが2歳だった1987年、松方さんとの不倫&「隠し子騒動」が起きた。当時、松方さんは2度目の妻、仁科亜希子さん(79年入籍、98年離婚)と結婚中だった。マリアさんは松方さんとの出会いをこう振り返る。

「松方さんと出会ったのは、私が20代の時。京都の知人の紹介で、松方さんのディナーショーの前歌の仕事をいただいたんです。松方さんは、歌がうまくて小柄な女性が好み。私は好みに合っていたみたい。けっこう前歌に使ってもらいました」

 当時、マリアさんは男の子を持つシングルマザーで、松方さんはテレビ番組や映画の看板スターだった。

「カッコイイ男、と人気がありましたね。一緒にスナックに飲みに行くと、店の女の子が舞い上がっちゃって、『あんたは、ちょっとどいてよ』と言われ、私と松方さんの間に割り込んできたものです」

 マリアさんが松方さんとの子供を身ごもった時、「松方さんにはすぐに伝えたのですか?」と質問すると、マリアさんはこう答えた。

「松方さんから電話があった時に妊娠を伝えました。松方さんには奥さんがいるので、迷惑をかけたくなかった。電話線も即、ハサミで切ってつながらなくしました。自分から身を引いたんです。おなかは大きいし、連絡は誰とも取らないほうがよかった。知られたらスキャンダルになってしまう。だから、世の中との連絡を絶ったんです。電話を切るまでは、ドラマ「ヨイショ!!」(TBS系)で共演したことのある俳優の渥美清さんがよく電話をくださっていたのですが、相談はできなかった。渥美さんからの電話もなくなったのは、唯一寂しかったことでした」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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