「小池知事が参院選に出馬して、都知事選とのダブル選挙にでもなれば、小池劇場の再来も期待できます。岸田首相としては、国民民主党とファーストの会ががっちり組んでしまい、政権基盤を揺るがされるのは避けたいところです。国民民主党への配慮は、ファーストの会にとられないようにするための誘い水。今のところ、国民民主党とファーストの会は限定的な協力ですから、小池封じには一定の効果があるんじゃないですか」(自民党幹部)

 自民党で政務調査会の調査役を長く務めた政治評論家の田村重信さんは、参院選に向けての自民党、ファーストの会、国民民主党の駆け引きについてこう話す。

「岸田首相にとって参院選の最大の強敵は小池知事。本人が出馬しなければ勝てるでしょうが、出た場合、自民党はかなり厳しいことになる。岸田首相がそれを一番、わかっている。なぜ小池知事なのかといえば、日本の政治の中でトップクラスの『ビッグスター』だから。国民というのは常にビッグスターを待ち望んでいる。地味な岸田首相より小池知事となる」

 その上で今後の動きをこう見る。

「小池知事が全国比例に、という手もあるが、東京中心に首都圏連合のような形をつくれば、自民党の議席はかなりとられてしまう。小池知事は2008年、女性では初めて20人の推薦人を集め、自民党の総裁選に打って出た。“ガラスの天井”を破ろうとしたほど突破力がある。それに小池知事の政治の第一歩は、日本新党からの参院選出馬。そういう成功体験も頭にあるはず。参院選モードが高まるなか、岸田vs.小池の神経戦が続くでしょう」

 これから選挙が近づくにつれ、さらなる駆け引きが繰り広げられるだろう。

(AERAdot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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