衆院本会議で新年度予算案が可決され、国民民主党の玉木雄一郎代表とひじタッチをする岸田文雄首相
衆院本会議で新年度予算案が可決され、国民民主党の玉木雄一郎代表とひじタッチをする岸田文雄首相

 ただ、ファーストの会は、もともとは国民民主党との「合流」を視野に調整を進めていたが、今のところ実現していない。自民党と国民民主党が接近したことにもその要因があるようだ。

 というのも、国民民主党は政権の予算案に賛成し、参院選については、山形選挙区で現職の舟山康江筆頭副代表の擁立を決定。そして自民党は、同選挙区の独自候補擁立を見送る案を打ち出した。

 予算案に賛成した国民民主党への配慮や、そうすることで見返りに、連合の支持を期待するという向きもある。とはいえ、自民党の山形県連内からは「国民民主にそこまで配慮するのか」「候補を立てて戦うべきだ」と反発する声が出ている。

 それぞれの党や議員らの様々な思惑が交錯するなか、小池氏の周辺が騒がしくなり始めているという。都民ファーストの会のある都議がこう話す。

「まん延防止等重点措置が解除されたころから、党内では参院選への小池知事待望論が聞こえ始めました。都民ファーストの会には31人の都議がいます。昨年の都議選での獲得票数を前提とすれば、荒木代表が東京都選挙区で議席を取る可能性が高い。小池知事が全国比例で出馬すればその支持はより広がり、国政政党としても躍進できるのではないかとの意見が出ています。小池知事も総理を目指すなら、年齢的にも勝負する時だと思います」

 昨年7月の東京都議選で都民ファーストの候補者が東京都全体で獲得した得票数は約103万票。自民党の約119万票に次ぐ数字をたたき出した。小池知事自身の出馬となれば、より幅広い得票が期待できる。

 さらに永田町からも、小池知事へのラブコールが聞かれるという。

小池知事はこれまで、国との重要な課題があると、自ら関係が良好な二階氏の幹事長室を訪ねていたという。

「昨年の衆院選で二階派の議員が一気に減った。なんとか回復させているが、二階氏以外に派閥の顔がいない。つまり総理候補がいないということです。小池知事が国政復帰となれば、自民党所属でなくとも二階派にとっては顔にしたい。小池知事で政権をとれる展開になれば、自民党を離れても、との決断があるかもしれません。小池知事自身に出馬してほしい」と二階派の国会議員は期待を込める。

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「岸田首相と小池都知事の神経戦が続く」