芝浦工業大学柏中学高等学校・中根正義校長
芝浦工業大学柏中学高等学校・中根正義校長
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 2022年4月、芝浦工業大学柏中学高等学校(千葉県柏市)の校長に、毎日新聞社教育事業室(大学担当)部長委員の中根正義さんが就任した。任期は2025年3月までの3年間。中根さんは、1987年に千葉大学教育学部を卒業し、毎日新聞社に入社。週刊誌「サンデー毎日」教育担当の編集次長、教育事業本部大学センター長などを経て教育事業室(大学担当)部長委員。2020年10月からは学校法人芝浦工業大学(東京都港区/理事長・鈴見健夫)の評議員も務めていた。長年教育畑を歩いてきた辣腕記者、編集者が、学校のトップとしてどのような手腕を発揮するのか。中根さんに聞いた。

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―――マスコミから中高校長へは異例の転職です。経緯を教えてください。

 昨年の秋に学校法人の幹部から「相談があるから来てほしい」と連絡がありました。「うちの会社が何かやらかしたのかな」と、首を傾げながら訪ねると、鈴見健夫理事長はじめ幹部が顔をそろえており、雰囲気が重々しい。「芝浦工業大学柏の野村春路校長が定年で退任することになった」と切り出されたときもまだ、「誰かいい人を紹介してほしいという相談かな」と思っていました。

―――全くの想定外だったのですね。

 そうです。「君がやってくれないか」と言われたときには、驚きました。毎日新聞社でも管理職を務めましたが、規模がまるで違う。芝浦工業大学柏には生徒が中高合わせて1400人以上、教職員も約100人います。とても務まらないと、すぐに「無理です」と断りました。

―――それが、引き受けることになった。なぜですか。

 鈴見理事長から「すぐに返事をしなくていいから、1週間考えてくれ」と。えらいことになったと、大学の恩師など信頼すべき恩師3人に相談しました。ニュアンスは違うものの、3人とも2つの同じ理由で「やれ」でした。ひとつは「君は教員になりたくて教育学部で学んだんだろう。君を見込んで依頼してきたのだから応えるべきではないか」。もうひとつが「今まで教育の取材で培ってきた知見を生かしてみろ。責任を伴う大変な仕事だが、手腕を発揮できるのでは」でした。鈴見理事長も、教育全体を俯瞰して見ることができるという理由で、声をかけてくださったようです。腹をくくりました。

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