警戒すべきは、セルジュ・ニャブリ、レロイ・サネのスピードとトーマス・ミュラーの勝負強さ。だが、ドイツ代表にはバイエルン・ミュンヘンのFWロベルト・レヴァンドフスキはおらず、日本人選手の技術と俊敏性はドイツサッカーに通用することはブンデスリーガで活躍してきた過去、現在の多くの選手たちが証明している。まずは“先手必勝”で前線から積極的にプレスをかけ、ショートカウンターを繰り出しながら前半を0対0、もしくは1対0で終えること。ドイツであれども大舞台の初戦特有の“硬さ”は間違いなくあるはずで、その隙を突いて先制点を奪うことができれば、引き分け以上に持ち込める可能性は高くなる。

 続く第2戦は「必ず勝つこと」が条件になる。コスタリカ、ニュージーランドのどちらが相手でも簡単ではないが、力的には贔屓目なしに日本の方が上だ。相手国からすると、初戦でスペインに敗れた状況で迎える日本戦は、「負けたら終わり」の試合。グループリーグ突破のために積極的に前に出て来れば、背後にスペースができ、その際には日本の現4-3-3システムからの伊東純也、三笘薫のスピードが、より生きてくる。日本が初戦で勝点を手にしておけば、精神的にも余裕を持った状態で戦うことができ、ドイツとの「得失点差の勝負」へ向けて2点差、3点差で勝利するチャンスも増えることになる。

 そして迎えるスペインとの第3戦。世界を席巻したクアトロ・フゴーネス時代は終焉したが、チーム全体でのボール回しは依然として世界一。日本がいくら前線からボールを奪いに行っても、基礎の技術レベルが非常に高く“ロンド”で鍛え抜かれたスペインサッカーの前に簡単に剥がされる。ボール支配率でスペインを上回ることは不可能であることを考えると、90分の中で割り切って“引いて守る”時間は必要になる。スペイン代表が苦戦するパターンはハッキリしており、ボールを回し過ぎ、FWが決定力を欠く場合だ。すでに決勝トーナメント進出を決めたルイス・エンリケ監督が、アンス・ファティとペドリを温存すれば、吉田麻也と冨安健洋を中心とした全員守備で守り切ることは可能だ。

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サッカーでは番狂わせも