「しずる」の村上純さん(撮影/中西正男)
「しずる」の村上純さん(撮影/中西正男)

 放送が終わり、先に僕が楽屋に帰っていたら、池田が激しくドアを開けて入ってきたんです。「あんなこと言われて、モチベーション上がるワケねぇだろ!」とバチぎれしたんですよ。声を荒らげたのはあれが初めてだったと思うんですけど、芸人としてのキャリアを積む中で互いに「こうすべき」というところが出てきたからこそ、今までとは違うぶつかり合いになったんでしょうね。

 そういうことがたびたびあって、激しくぶつかるんですけど、これはどっちかが間違っていて、どっちかが正解ということではない領域のことが多いんです。

「バッファロー吾郎」A先生からうかがったお話で「それが正解かもしれない。でも、自分の出したい答えはこれ。世の中にはそういうことがある」というのがあって、今から思うと本当にそうだなとつくづく感じます。

 池田も僕も互いに正解も探るし、言いたい答えもある。そこがすれ違っていたなと。そこが合致すれば、もしかすると不正解かもしれないけど「しずる」としての答えが出せる。俺ができてなかったんですよね。

 今は当時より“仲の良さグラフ”はかなり上にはなってると思います。それでも、プラスマイナスゼロかプラス1くらいだと思いますけど(笑)、かなり良くはなりました。

 僕らはあまりいない“2人ともネタを作るコンビ”なんです。どちらかがネタを作って、片方は作らないパターンが多いんですけど、僕らは2人とも作るのでそこのぶつかりあいもあったと思います。

 ただ、それも2016年から池田だけがネタを作る単独ライブ、僕だけが作る単独ライブを一年の中で両方やるようにして、それで互いに自我を出すというか、そう言う形に落ち着きました。

 互いにネタを作るコンビで周りに“参考書”があまりなかったので時間がかかりましたけど、少しずつ自分たちで収まりの良い形を見つけてきた。それが、今なのかもしれません。

 本を書くことでこれまでの自分を分析して、アウトプットもして、おのずとこれからも見えてきた気がしています。

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人気は落ちたけど「認知度」はある