「しずる」の村上純さん(撮影/中西正男)
「しずる」の村上純さん(撮影/中西正男)

「キングオブコント」で4回決勝進出するなど、コント師として地位を築いてきたお笑いコンビ「しずる」の村上純さん(41)。初の自伝的エッセー「裸々(らら)」を3月25日に出版しました。第7世代ら若手の台頭、そして潮流の変化。その中で感じた苦悩と光明とは。

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 2年前の4月、新型コロナ禍でスケジュールが真っ白になったんです。

 待っていても仕事はない。だったら、何か動かなきゃ。そう思って、文章投稿アプリのnoteで文章を書き始めたんです。書くことは以前から好きだったし、有料記事のシステムもあると聞いたのでそれをやってみようと。

 ただ、読む方にお金を出していただくんだから、当然責任あるものを書かないといけない。じゃあ、自分の中に何があるのか。そう考えた時に、自分のこれまでを本気で書く。リアルなものをお見せする。それを選んだんです。そこからnoteで書いたものに大幅に加筆して書籍化することになりました。

 学生時代、NSC時代、芸人になってから、そして今。書いた時はちょうど40歳になったところで、その節目で書くことによって自分を見つめ直すことができた。新型コロナのおかげと言うと不謹慎ですけど、立ち止まったおかげで過去を整理できた。過去を整理すると、ここからの歩みもさらに見えてくるというか、書くことの意味を幾重にも感じました。

 書く中で改めて思ったのがコンビの変遷でした。東日本大震災の前後、2010年から2014年あたりまで、この時期はコンビ仲が一番険悪だったと思います。

 芸歴が10年を迎えようとしていて、年齢も30歳に差し掛かってくる。それまではガキの意地の張り合いみたいないざこざだったのが、互いに仕事への矜持もできてきて、譲れない部分が増えてきた時期だったと思います。

 情報番組にコンビで生出演した時、池田が話を振られてコメントしたんです。僕にとっては、その発言は情報番組にはふさわしくないと思ったので、CM中に「今のは良くなかったんじゃないか」と池田に伝えたんです。

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中西正男

中西正男

芸能記者。1974年、大阪府生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当として、故桂米朝さんのインタビューなどお笑いを中心に取材にあたる。取材を通じて若手からベテランまで広く芸人との付き合いがある。2012年に同社を退社し、井上公造氏の事務所「KOZOクリエイターズ」に所属。「上沼・高田のクギズケ!」「す・またん!」(読売テレビ)、「キャッチ!」(中京テレビ)、「旬感LIVE とれたてっ!」(関西テレビ)、「松井愛のすこ~し愛して♡」(MBSラジオ)、「ウラのウラまで浦川です」(ABCラジオ)などに出演中。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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相方・池田が初めて声を荒げた瞬間