週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。また、実際の患者を想定し、その患者がたどる治療選択について、専門の医師に取材してどのような基準で判断をしていくのか解説記事を掲載している。ここでは、「人工関節置換術 膝関節(しつかんせつ)」の解説を紹介する。

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 中高年に発症するひざの痛みは、その多くが「変形性膝関節症」によって起こる。これは、加齢に伴って関節の軟骨がすり減り、骨の変形が進行する病気だ。ひどくなると痛みが強くなり、ひざが腫れて水が溜まる、曲げ伸ばしが困難になる、ひざがぐらつく、足がO脚やX脚に変形するなどの症状が表れる。

 治療の基本となるのは、ひざの負担を減らすための減量や生活動作の改善、および薬物療法・運動療法などの保存的治療だ。それらによっても症状が改善されず、患者が痛みで生活に困っている場合には、手術が選択肢となる。

■金属やセラミックでできた人工関節に入れ換える

 中心となるのは、人工膝関節置換術だ。これは変形した膝関節を、金属やセラミックなどでできた人工関節に入れ換える手術で、痛みを取り除く効果に優れる。社会復帰も早いため、実施件数が増加している。

 最近の人工関節は素材が進化して、耐久年数が20年以上に延びた。そのため、寿命やゆるみにより、入れ替えの再置換術をおこなうケースは減っている。

 一方、正常な関節軟骨がまだ残っていて、若く活動的な患者の場合には、関節を温存する骨切り術が選択される。これは、骨を切って関節の形を矯正する手術であり、高い技術と経験が必要なため、限られた専門病院でおこなわれている。

 患者の関節の状態や痛みなどの症状、年齢、希望する生活様式、活動度などを考慮したうえで、最も適した手術をすすめてくれる病院を選びたい。

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