「術後のひざの曲がり具合は、おおかたが術前の可動域に相関します。手術をすすめられたら、できるだけ先延ばしせず、ひざが曲がるうちに受けたほうがよいでしょう」(鈴木医師)

 O脚の人などで、関節の内側だけが変形し、外側の軟骨には損傷がなく靱帯も正常な場合には、内側だけを人工関節に入れ替える、単顆人工膝関節置換術(UKA)を実施する病院も増えている。

「UKAはひざがよく曲がり動きが自然なのが利点です。ただし、活動度が高い人では摩耗が起こりやすいため、耐用年数を考えて慎重に検討すべきです。UKAの症例数の多い病院で相談することをおすすめします」(出家医師) 

■信頼できる病院は感染症発生率を公表している

 人工関節を入れ替える、再置換術は、初回よりも技術を要する手術だ。最近の人工関節は20年以上使っても破損やゆるみはほとんど起こらなくなっている。再置換術の原因となる合併症の一つに、人工関節周囲の感染症がある。

「発生率は1%以下ですが、10年経って起こる遅発性感染もあります。感染症はゼロにすることが不可能で、極力起こさないように気を配っているかがいい病院の指標となります。感染症発生率を公表している病院は信頼できるでしょう」(出家医師)

 術後は調子がよくても年に一度、継続的な経過観察が必要だ。 「手術後は一生のおつきあいになります。身近で通いやすい病院を選ぶことが大切でしょう」(鈴木医師)

 ランキングの一部は特設サイトで無料公開しているので、参考にしてほしい。
「手術数でわかるいい病院」https://dot.asahi.com/goodhospital/

【取材した医師】
愛知医科大学病院 整形外科教授 出家正隆 医師
飯田病院 整形外科部長 鈴木健太郎 医師

(文/坂井由美)

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』より