若者が集まる街の風景は移り変わりが著しい。早稲田大、学習院女子大などの大学や専門学校が多い「高田馬場」(東京都新宿区)もその一つ。ここ数年、中国系のチェーン店が続々進出し、中国特有の商品をそろえる「物産店」も現れた。なかには変わり種のザリガニやタニシ料理もある。「タニシなんて食べられない」と忌避しつつ、高田馬場の変化を探るべく、食べに行ってみた。
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「東京だと池袋、上野、小岩、新小岩に中国人が集まっており、一般的にそこに住む中国人を相手にした飲食店ができていくものですが、高田馬場の場合は、明らかに留学生の増加が背景にあると思います」
こう話すのは、WEB媒体「高田馬場新聞」の向井直也編集長。中国からの留学生は、早稲田大に通う学生だけでなく、その多くは日本の大学・大学院や専門学校を目指して日本語学校に通う若者だ。高田馬場駅には中国語で書かれた広告が散見できる。
「以前から日本語学校や専門予備校はありましたが、最近では日本の美大や音大へ行くための予備校なども新しくできています」(向井編集長)
中国人を対象とした学校が増えたことで、そこに通う留学生が周辺に集まってきていた。そこへ、「沙県小吃(シャーシエンシャオチー)」という中国ならどこにでもある軽食店が2018年6月にオープン。これを皮切りに、「楊國福(ヤングオフー)マーラータン」「楊銘宇 黄メン鶏米飯(ヤンミンユィ ホンメンジーミーファン)」「阿香米線(アーシャンミーシェン)」「賢合庄(けんごうしょう)」「J.CHICKEN叫了个炸鶏<鶏は中国語の又へん>(ジャオラガジャアジ)」などの中国系チェーン店が次々に進出してきた。日本でいう立ち食いそばや牛丼店のようなファストフード系で、気軽に祖国の味を食べられる店として中国人留学生の胃袋を満たしているようだ。
麻婆豆腐や青椒肉絲など日本人向けの中華というよりは、中国本土で食べられている「ガチ中華」にありつける場所として、高田馬場は特に若い層をターゲットにしている。
ブログ「東京で中華を食らう」で新しい店を中心に開拓している阿生さんは、高田馬場の特徴をこう話す。