2017年衆院選で当選し、バンザイをする泉田裕彦氏(中央)と星野伊佐夫氏(左)
2017年衆院選で当選し、バンザイをする泉田裕彦氏(中央)と星野伊佐夫氏(左)

 自民党の泉田裕彦衆院議員(比例北陸信越ブロック)が同党の星野伊佐夫新潟県議から「裏金を要求された」と主張する問題が泥沼化している。

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 自民県連は12月10日、第三者の弁護士が2人の意見を聴取し、違法性などを調査すると発表した。県連は星野氏の除名を求める申立書も泉田氏から受領。星野氏(長岡支部長)からの新潟5区支部長を泉田氏から交代するよう求める要望への対応も協議し、年内にも結論を党本部へ伝える方針だ。

 ことの発端は、泉田氏が11月29日、発信した自身のツイッター告発だ。

<【総選挙の闇:新潟5区】 今回の衆議院総選挙で、2~3千万円の裏金要求をされました。「払わなければ選挙に落ちるぞ」という文脈でした。広島で事件があったばかりでよくやると思いましたが、違法行為はお断りしました。そうしたら、選挙は大変でした。。。>

<高鳥県連会長に対応を求めたところ、相談するので証拠はあるのか聞かれ、YESと回答しました>

 そして、泉田氏は9月4日に星野氏の自宅で会話した録音データを公表した。泉田氏が「星野氏である」と指摘している男性は新潟5区の選挙情勢を説明しながら、以下のように語っていた。

「このままなら、比例引っかからんから」

「とにかく必要経費を早くまこう、もう余裕がない。選挙がはじまってからなんて、バカはいない。今でも遅いくらいだ」

「2千万や3千万なんかね、もったいないなら人生終わるよ」

「悔いが残る、1億や2億の話ではなくなるから。2千万や3千万の金をね、惜しんで一生投げちゃいけない」

 これらの会話は泉田氏により音声が録音されていた。

 泉田氏は記者会見を開いて、こう訴えた。

「選挙でお金を要求する、民主主義の土台をゆがめてしまう。放置すべきではない」

「払わなければ選挙で落ちるぞという金銭要求がありました」

 星野氏も記者会見を開いて、泉田氏が公開した録音データの声は「自分かどうか、よくわからない」と否定。「裏金をバラまくなど、そんな話はなかった。泉田氏の自作自演だ。まったく関係ない、作り話」「お金の話、政党活動費のことだ」などと反論した。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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泉田氏が告発した思惑は?