石井啓一幹事長(撮影/戸嶋日菜乃)
石井啓一幹事長(撮影/戸嶋日菜乃)

 これは公明党の議員や秘書が直接の被疑者となっているわけではない。あくまで関係先だ。検察の捜査の話なので、われわれは全面的に捜査に協力していくだけだ。

――広島3区の斉藤氏に関しては、比例代表との重複立候補が検討されていると報じられた。公明党はこれまで重複立候補はさせず、小選挙区で落選したら比例復活はできない形を取ってきたが、なぜ斉藤氏だけ「例外」とすることが検討されているのか。

 広島3区は前代未聞の大規模買収事件の舞台となり、政治不信が高まっている選挙区だ。斉藤さんは、あえて火中の栗を拾うような形で立候補に踏み切った。衆院選は政権選択選挙だ。斉藤さんは公明党のみならず、与党代表候補という位置付けでもある。通常の小選挙区とは異なる尋常ならざる事態だ。だが、最終的にどうするかはまだ決まっていない。

――自民党との連立が長くなるほど、選挙運動に奔走する創価学会員との「距離」も指摘されてきた。公明党議員が“エリート”になり、市井の学会員が望む平和主義や福祉の精神を忘れているのではないかと。今年1月には緊急事態宣言中に公明党議員だった遠山清彦氏が、銀座のクラブを訪れて議員辞職するという不祥事もあった。創価学会員の心が離れている可能性はないか。

 遠山くんの件は、経緯はいろいろあったにせよ、脇が甘すぎたとしか言いようがない。われわれはそれを反面教師にしなくてはならない。不祥事を起こした議員もいるが、大半の議員は真面目にやっている。心配には及ばない。

 学会員との“距離”という点では、平和安全法制で集団的自衛権をめぐる議論の中で、学会員の方から「今までの公明党の路線と違う」と声が上がったことはある。だがこれも、ごく部分的な集団的自衛権の行使であり、公明党が武力行使の「新三要件」をつくって抑止力になったことを丁寧に説明したら、わかってくれた。私も何回も説明会を開いたが、最後には「そうか」と納得してくれた学会員の方が多かったように思う。

――では、今は学会員との心の距離はない、という認識か。

 「今は」でなく、「今も」ないということだ。(構成=AERA dot.編集部・作田裕史)