石井啓一幹事長(撮影/戸嶋日菜乃)
石井啓一幹事長(撮影/戸嶋日菜乃)

 われわれの「未来応援給付」は、長引くコロナ禍から子どもたちを守り、次世代の育成に寄与するという目的がある。所得制限を設けると、子どもたちの間に「分断」が生じる。それは避けるべきだ。親への支給ではなく、あくまで0歳~高校3年生までの未来を支える子どもたちへの投資だ。

――とはいえ、最初に10万円が渡るのは親なので、貯蓄されてしまい消費には回らない懸念もある。単なるバラマキなのでは、との指摘もある。

 「10万円相当」なので、現金に限っているわけではなく、ポイント制や教育バウチャーでの給付も検討している。バラマキというのは、目的もなく選挙で票を集めるためだけに税金を使うことだ。次世代の育成という明確な目標がある「未来応援給付金」は、バラマキとはまったく違う。

――こうした「分配」重視の政策は、岸田政権の経済政策と似ており、自民党との違いを出しにくいのではないか。公明党の存在感がうすくなっているとの声もある。

 自民党はあくまで保守政党で公明党は中道政党、支持基盤もまったく違う。公明党の特徴は、国会議員、地方議員合わせて約3000人の緊密なネットワークがあり、現場と非常に近い政党だということ。そこから細かい声を拾い上げて、政策に反映できることが他党にはない強みだ。自民党との違いは明確にあるので、それを無理に強調する必要はない。むしろ、岸田政権と経済政策が似ていることは“相乗効果”となり、より大きな効果が狙えると考えている。

――2017年の総選挙では、公明党の比例票が700万票を割った。次の衆院選での得票目標は800万票としているが、石井幹事長も記者会見で「厳しい現状にある」と答えている。どうやって100万票を上積みするのか。

 まず事実関係からいうと、公明党の得票率が下がっているわけではない。毎回、12~14%で推移している。17年衆院選は得票率は12・5%だったが、全体の投票率が53・7%と低かったので、比例票は697万票と伸び悩んだ。12年の衆院選は得票率は11・8%と少し低調だったが、投票率が59・3%と高かったので比例票は711万票だった。つまり、比例票は選挙の投票率に左右されるという前提がある。

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コロナ禍で創価学会の意識も変わった