石井啓一幹事長(撮影/戸嶋日菜乃)
石井啓一幹事長(撮影/戸嶋日菜乃)

 自民党の公約については、選挙後に、経済対策を策定して補正予算を組む段階で協議すべきことだ。ただ、防衛費を現在の2倍以上にするのは財政事情からみても現実的ではない。アドバルーンというか、今後は防衛力の強化も視野に入れる「姿勢」を示したということだろう。

 敵基地攻撃に関しては、昭和31年(1956年)の鳩山一郎内閣で「他に手段がない場合」は敵基地への攻撃も自衛の範囲であるという見解が出ており、歴代内閣もそれを引き継いでいる。とはいえ、日米安全保障でアメリカが「矛」の役割を担っている状態では、日本が敵基地攻撃能力を持つ必要はない。これまでの政府見解と整合性が取れるのかを見極め、日米安保の役割分担をどうしていくかを同時に議論すべきだ。

 憲法については、われわれも時代に沿った条文を付け加えることは賛成している。ただ自衛隊は国民がすでに合憲だと認める存在であり、あえて9条で位置づける必要はない。憲法改正は、自公間で協議するのではなく、与野党が憲法審査会で議論を重ねて、国会で発議するものだ。事実上、野党第1党が反対している改正案を発議することは難しいだろう。

――菅義偉前首相は官房長官時代から、創価学会の幹部と太いパイプがあるとされた。岸田政権になり、公明党の支持母体である創価学会が官邸とのパイプを失ったことは痛手では。

 22年間の連立政権のなかで、そうした関係があったことの方が異例だ。学会幹部が今の岸田政権とパイプがあるかはわからないが、(公明党の)代表と岸田首相、幹事長と甘利幹事長・松野官房長官、国対委員長同士など、司ごとにカウンターパートで意思疎通を図っていくことが重要だ。

――総選挙について聞きたい。公明党は18歳以下の子ども全員に10万円相当を給付することを公約で掲げている。これだと富裕層でも子どもがいれば一律で支給され、生活困窮者には届かないのではとの指摘がある。所得制限を設けずに、18歳以下と年齢で区切ったのはなぜか。

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「10万円給付」は未来への投資