クマみたいでシャイなくま子(提供)
クマみたいでシャイなくま子(提供)

 飼い主さんの目線でのストーリーを紡ぐ新連載「猫をたずねて三千里」。じんわり心が温まるストーリーを毎回、お届けします。今回は、大阪府在住の主婦の美子さん(67)。結婚してから10匹近い猫や犬と暮らしてきたそうです。すべて「放っておけなくて」保護した動物だといいます。黒猫くま子と、白猫こふくのことを中心にお話をうかがいました。

【写真】見てるだけで癒される…背中をくっつけて熟睡中の黒猫くま子と白猫のこふく

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 考えてみると、私の人生はずっと動物たちと一緒です。

 今、一日の始まりは、黒猫くま子と一緒に起きることから始まります。くま子は、朝は私が起きると一緒に起きて、昼は好きなところでくつろいで、夜は夫が寝る時に二階まで見送り、私が韓流ドラマを見る時に膝でうとうと……これから寒くなったらお布団にも入ってくるのでしょう。

 くま子との出会いは8年前の5月。朝早く玄関先でゴトゴト音がするので外に出ると、(黒猫のマークの)宅配便の大きな箱が置いてあって。開けると、手のひらに乗るほど小さな黒猫が1匹入っていたからびっくり。

 たぶん、私が猫を好きなのを知っているご近所の方がどこかで拾って、置いていったのではないかな。弱っていたので、慌ててミルクや哺乳瓶を買ってきて4時間おきに飲ませました。

 当時、3人の娘たちがみな嫁ぎ、夫と10歳の白猫こふくと静かに暮らしていました。実は、くま子が来たちょうど3カ月前に、夫が大動脈瘤の手術をして家で養生中でした。その夫が、「玄関に置かれたなら仕方ないよ」と言ってくれて、娘たちも「助けてあげないと」と賛成してくれました。

 毛の色が真っ黒なので、ジジやら黒豆やら名前を考えたのですが、“に一番似ている”から「くま」から名前を考えました。女の子だから、「子」をつけてね。

 私は夫のリハビリの散歩につきあいつつ、くま子にミルクをあげて。どこにも行かず世話に明け暮れていました。

◆誰にでも優しい白い猫

おとなしくフレンドリーなこふく(提供)
おとなしくフレンドリーなこふく(提供)

 先住猫のこふくは、もともと穏やかでフレンドリーなので、突然家にきたくま子を「よう来たなあ」という感じですんなり受け入れました。くま子が少し大きくなると、追いかけっこにもつきあっていましたね。“べったり”ではないけど、10歳違いのよき仲間となっていきました。

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水野マルコ

水野マルコ

水野マルコ/1961年生まれ。ライター。猫と暮らして30年。今は優しいおばあちゃん猫と甘えん坊な男子猫と暮らしています。猫雑誌、一般誌、Web等での取材歴25年。猫と家族の絆を記すのが好き。猫と暮らせるグループホームを開くのが夢。

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