巨人・原辰徳監督 (c)朝日新聞社
巨人・原辰徳監督 (c)朝日新聞社

 一塁側のヤクルトベンチはお祭り騒ぎで声が良く出ているのに対し、三塁側の巨人ベンチは重苦しい空気が漂う。両軍の雰囲気は対照的だった。首位・ヤクルトが5、6日の巨人戦で2連勝。3位・巨人はヤクルトとの差が7.5ゲーム差まで開いた。巨人がシーズン残り13試合であることを考えると、逆転優勝はほぼ絶望的な状況に追い込まれた。

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 2019、20年とリーグ連覇を飾った経験値は大きな強みだ。ヤクルト、阪神との優勝争いで「巨人有利」の見方が多かったが、9月に6勝14敗5分と大失速。それでも10月に首位・ヤクルトと6試合の直接対決が控えていたため、まだ可能性は十分にあった。そして、天王山となった5日のヤクルト戦から首脳陣に驚きのテコ入れが敢行された。

 阿部慎之助2軍監督が1軍作戦コーチに配置転換され、二岡智宏3軍監督が2軍監督代行に。そして、石井琢朗1軍野手総合コーチが3軍コーチに配置転換された。原監督の後継者と目される阿部1軍作戦コーチに注目が集まったが、他球団で話題になり驚きの声が上がったのは石井コーチの人事だった。同一リーグで戦う相手チームの首脳陣はこう話す。

「9月に入って気づいたんだけど、ベンチで琢朗(石井コーチ)の姿が見られなくなったんだよ。何かあったのかなと思ったら3軍コーチに配置転換っていうニュースを聞いてびっくりした。あいつは本当に有能なコーチだよ。中島宏之も琢朗がいなかったら復活できなかっただろう。広島、ヤクルトで打撃コーチを務めてきたけど選手の個性を引き出して、状態が悪い時に修正するのがうまい。丸佳浩も広島時代から指導を受けて信頼を寄せていた。ただ、納得いかないことには声を上げるタイプだから何かあったのかもしれない」

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