※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、眠っている間に呼吸が止まることをくり返す病気だ。潜在患者数は400万~500万人。この病気の怖さは眠気やいびきだけでなく、高血圧や心臓病など、さまざまな病気につながるリスクだ。治療法としては、「経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)」が主となる。食生活の見直しや体重管理など、肥満や生活習慣病を予防するための生活改善も大事な治療のひとつだ。

【データ】睡眠時無呼吸症候群の症状は?どの診療科にかかる?

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 睡眠時無呼吸症候群(SAS)で最も多い「閉塞性」の治療法としては、「経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)」という方法が確立している。CPAP治療を受けている人は55.5万人いる。

 閉塞性のSASでは、何らかの原因により気道が閉塞することで呼吸が停止するが、CPAP療法では、鼻に装着したマスクから一定の圧力で空気を送り込むことで気道を広げ、無呼吸を防ぐ。この治療は自宅でおこなうことができ、患者の症状に応じて医師が空気圧を設定した装置を持ち帰り、寝るときに患者自身でマスクを装着して眠る。

 CPAP療法は、ポリソムノグラフィー(PSG)検査による無呼吸低呼吸指数(AHI)が20以上、つまり1時間に20回以上無呼吸を起こす中等症以上のSAS患者に対しておこなわれる。装置は医療機関からレンタルし、1カ月の治療費は健康保険の適用により5千円程度(3割負担の場合)だ。

 RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック院長の白濱龍太郎医師は、CPAP療法のメリットについて「呼吸状態が改善し、快適な睡眠をとれることで合併症の発症や悪化を予防できること」と話す。

「正しく装着してCPAP療法を継続することで、無呼吸が原因で起こる心臓病などの発症を減らせるという論文もあります。副作用もなく、無呼吸を予防するための有用な治療法といえるでしょう」

 CPAP療法は、装着に慣れるまで、また効果を実感するまでに時間を要する人もいる。気道を広げるには、ある程度強い圧で空気を送る必要があるため、最初は不快に感じたり、鼻やのどの乾燥が気になったりする人も多い。千葉大学病院呼吸器内科准教授の坂尾誠一郎医師は、「患者さんには2カ月ぐらいかけて、ゆっくり慣れてもらえるように話す」という。

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