サンズは18年8月にKBO入りすると抜群の対応力を発揮して25試合で12本塁打、37打点と打ちまくった。2年目の19年は139試合出場、打率.304、28本塁打、113打点で打点王に輝き、二塁打(39本)もリーグトップだった。阪神入団後も勝負強い打撃でチームの主力となり、優勝争いをする中で欠かせない存在となっている。イ・ジョンフも“対応力”が高いだけに、韓国よりもレベルの高い日本のプロ野球での活躍も期待できる。

 かつて中日でプレーした父のイ・ジョンボムはKBOでの16年間で1797安打、194本塁打を放ち、通算打率は.297。首位打者に1度、盗塁王に4度輝くなど、韓国では伝説的存在だ。98年に中日に加入し、01年途中まで在籍。約4年間で通算打率.261、286安打、27本塁打、53盗塁の成績を残し、99年のリーグ優勝を含む3度のAクラス入りに貢献した。引退後の2020年には中日のファームで研修コーチとしてチームに同行した。

「(研修コーチとしては)当初はキャンプだけと思われていたがシーズン終盤まで帯同した。しかも自費での研修でした。やる気の高さはもちろん中日への思いも伝わって来た。中日時代の活躍も鮮烈で記憶に新しい。実直で真面目な性格で好かれておりコーチとして中日に戻って来て欲しいという人は多い。加えて、もし話題の息子イ・ジョンフまで加入してくれたら、優勝から遠ざかっているチームにとって何よりの補強になる。また大きな話題になり集客で苦しむ球団としては営業面でも大きな戦力になるはず」(中日担当記者)

 中日は11年を最後にリーグ優勝から遠ざかっている。昨年はエース左腕の大野雄大FA宣言をせずに残留し、根尾昂をはじめとする有望株も多い。「今年こそは……」の期待は高まってはいたが結果につながらず、今季もBクラスに甘んじている。センターラインの柱だった中堅手・大島洋平もベテランの域に達しており、外野のポジションに不安があるのも事実。優勝への起爆剤としてイ・ジョンフは適役に思える。またイ・ジョンボム氏がコーチとして入閣すれば、日韓における経験がチームに好影響を与えることも予想できる。

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親子で中日入りも?