岸田氏は自身が派閥のトップなので、20人の推薦人はすでに確保。岸田派は宏池会の系譜で麻生太郎財務相の麻生派(志公会)とは同門。両派が合併する「大宏池会」構想が以前からささやかれ、麻生派はじめ他派閥から支援が得られれば、菅首相を脅かす最有力候補だ。

 そして、自民党では「台風の目」として注目されているのが、下村博文政調会長だ。一部報道では推薦人集めで苦戦しているとされる。下村氏は安倍晋三前首相の出身派閥の清和会(細田派)所属だ。下村氏を支援する清和会所属の衆院議員はこう話す。

「下村氏はもう20人、キッチリと集めています。清和会の若手を中心に固めている。マスコミで推薦人が集まらないと吹聴されるのは、清和会は安倍前首相の次を狙う候補が何人もいます。下村氏が有力視されることへのやっかみもあってです。集まった推薦人は、菅首相では選挙は戦えないという危機感ある若手が多い。下村氏は安倍前首相とも親しい関係は知られるところ。すでに水面下では了解を取り付け、細田派の細田会長らにも挨拶を済ませている。26日にも出馬表明するのではないか」

 また、前総務相の高市早苗衆院議員も出馬に意欲を燃やす。しかし、無派閥とあって推薦人集めに苦労している模様だ。高市氏も安倍前首相に近いとされるが、前出の清和会所属の議員はこう話す。

「清和会から高市氏に推薦人を貸すなど協力するという話は聞いたことがない」 

 そして注目は世論調査でも「次の総理候補」ではトップの支持を常に集める河野太郎ワクチン担当相だ。河野氏は麻生派に所属。ボスである麻生氏の意向が問題だ。しかし、解散総選挙が遅くとも10月には実施される。選挙の顔として、河野氏へ出馬を期待する声は大きい。麻生派に所属する衆院議員はこう話す。

「ボスの麻生さんの意向ではなく、河野氏自身が出馬を決断するかどうか。麻生さんが止めても出るというほど強い思い、根性があるなら、支持は一気に広がります」

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党勢回復を狙う自民党