例えば、関西学院大では19年度からアスリートの学修基準を設定し、学修状況によっては競技活動を制限している。教育機関として体育会に所属している学生に対しても学修レベルに責任を持つ、という意識の表れである。また、筑波大では体育会の学生に対して積極的に競技引退後のセカンドキャリアの問題に目を向けさせ、学力向上につなげようとしている。

「NCAAの主な役割は公平で安全にスポーツ競技を運営し、大学生の本分である学業レベルを向上することです。卵が先か、鶏が先かは、どちらでもいいんです。既成の枠にとらわれて身動きできないUNIVASの現状を見ていると、関学や筑波のように、自らできることを見つけて、それを実行していく方が近道ではないかと思います」

 当初、「日本版NCAA」を目指して設立されたUNIVAS。しかし、いまも学業軽視、スポーツ偏重の思想を引きずる大学スポーツや、それを広告ととらえる大学の殻を破ることができない。学業でもスポーツでも優秀な学生を輩出し続ける米国との差は一向に縮まりそうもない。

(文/AERA dot.編集部・米倉昭仁)