阪神甲子園球場 (C)朝日新聞社
阪神甲子園球場 (C)朝日新聞社

 米子松蔭高が全国高校野球選手権鳥取大会の出場を辞退した問題が、大きな波紋を呼んでいる。同校は春夏通じて甲子園に4度出場。今年の春季県大会に優勝し、シード校として同日の2回戦から登場する予定だったが、学校関係者の新型コロナウイルス感染が判明。同日朝に辞退を申し出たため、対戦相手の境が不戦勝となった。

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 出場辞退したことを受け、同校野球部の3年・西村虎之助主将が18日に自身のツイッターを更新。「僕たちは夏の大会に向けて、甲子園目指して、必死に練習してきました。部員から陽性者は出ていません。校長先生含め学校は最後の最後まで出場できる道を探してくれました。試合もできずに、このまま終わってしまうのは、あまりにも辛いです。何とか出場する道を模索していただけませんか?」と悲痛な思いを訴えた。

 関東の高校の野球部で指導に当たるコーチは「出場辞退はあまりにも厳しすぎる」と憤りを隠さない。

「米子松蔭は部員全員が検査を行い、陰性の結果が出た選手たちだけで試合に臨めば問題なかったのではないか。理不尽な思いをしているのは米子松蔭だけではない。今年の夏は中越や福井商業といった優勝候補の強豪校も部員に感染者が出たため、今夏の県大会を出場辞退している。3年生の子供たちの気持ちを考えるとあまりにも非情だ。そもそも、五輪は濃厚接触者が出場できるのに、高校生は部員や学校関係者の中に感染者が出た場合は出場できない。なぜ大人と子供でルールが違うのか。明らかにおかしい」

 政府と東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は、新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者と判断された選手について、試合直前のPCR検査で陰性の場合は出場を認める方針を固めている。確かに、高校生と五輪に出場するアスリートでコロナを巡る出場の線引きが異なり、「ダブルスタンダード」と言われても仕方ない。

 識者たちもこの問題に、声を挙げている。大阪府・吉村洋文知事は自身のツイッターで、「これで終わり、はあまりに酷すぎる。対策は見つけられるはずだ。この高校生の想いを大人が潰しちゃいけない。これで終わり、なら将来に夢なんて持てないよ。鳥取の権力者の皆さん、なんとかしてあげてください」と呼びかけた。元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏も、「この高校生の声を無視するのか!彼らの後の人生を想像しろ!オリパラを開催した執念をここでも見せろ!」などとツイッターで投稿。

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