Q 「つつがない」の「つつが」って何?
A 病気などの災難のこと

「つつが」とは、病気などの災難の意味で「恙」と書きます。「つつがない」は、「異常がない」「元気である」という意味です。「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す、恙なきや」という聖徳太子が隋に送ったともいわれる国書では「元気ですか?」のような意味で用いられています。漢字の「恙」に「毒虫」の意味があることから、「つつがない」の語源は「ツツガムシがいないので病気もなく元気だ」という俗説も生まれたといいます。

Q 「焼きがまわる」は何が焼けてるの?
A 刀などの刃

 ここでいう「焼き」とは、刀などの刃を堅くするために熱を加えることです。その際に、火が行き渡りすぎると、つまり焼きがまわると逆に切れ味が悪くなってしまいます。そこから、年をとったり衰えたりして、得意だったことがかつてのようにできなくなることを「焼きがまわる」というようになりました。

Q 「鯖を読む」がごまかす意味になるのはなぜ?
A 大雑把に数える様子が元になっている

「読む」は「数える」の意味。魚市場で、鯖は手間をかけずに急いで数えたため、数が正確でないことが多かったことから、「数をごまかす」という意味になりました。急いで数えた理由は、利益をつり上げるためとも、鯖が傷みやすいためともいわれています。また、鯖を背開きにして塩漬けにする「刺鯖(さしさば)」を数える際に、2尾を連ねて一刺しとしたことが由来とする説もあります。

Q 「観光」の字に「光」があるのはなぜ?
A 光にありさま、景色の意味がある

「観光」という言葉は、中国の古典『易経』の「国の光を観(み)る もって王に賓(ひん)たるに利(よろ)し」という一節が由来です。「光景」という言葉があるように「光」には「ありさま」「景色」などの意味があり、本来は為政者が地域の現状を見てまわるという意味でした。それが、明治・大正の頃に英語の「tourism」の訳語として当てられました。

Q 「灯台下暗し」ってどんな灯台?
A 岬の灯台ではなく、昔の照明器具のこと

 身近なことは意外と気がつきにくいということを表す「灯台下暗し」は、海を照らす灯台の真下が暗いことが由来と思っている人も多いのではないでしょうか。実は、この灯台とは、油の入った皿を載せた昔の室内の照明器具で、灯明台ともいわれます。岬の灯台と同じように、周辺は明るく照らしてもその真下は暗いことが言葉の由来です。

文/美和企画
※『みんなの漢字』2014年5月号から