Q 「孫の手」ってどんな手?
A 「麻姑(まこ)」という仙女の手

「孫の手」は背中などの手の届かない場所をかく棒ですが、おじいちゃん、おばあちゃんが孫に背中をかいてもらう様子が元になっているわけではありません。もともとは「麻姑の手」が正しく、「孫」は当て字です。「麻姑」とは、中国の伝説上の若い仙女のこと。鳥のように長い爪を持ち、かゆい所をかいてもらうと気持ちがよかったという言い伝えが残っています。

Q 「牛耳る」は「牛」や「耳」と関係あるの?
A 牛の耳を切り取って誓い合う行為が由来

 春秋戦国時代、諸侯が同盟を結ぶ際に盟主となる人物が、いけにえの牛の耳を切り取り、その血を順番にすすって誓い合ったといわれています。そこから、同盟などの盟主となることを「牛耳を執る」といい、「牛耳」を動詞化した「牛耳る」は首領となって人や組織を意のままにあやつることを表すようになりました。

Q 「逆鱗に触れる」って、どこに触れるの?
A 竜のあごの下にある鱗(うろこ)

 竜のあごの下には逆さまに生えた鱗があるといわれ、それを逆鱗といいます。中国の古典『韓非子(かんぴし)』に、逆鱗に触れた人は竜の怒りを買って殺されるという伝説が描かれており、元は天子を竜にたとえて用いられましたが、今は広く目上の人の激しい怒りを買うことを「逆鱗に触れる」というようになりました。

Q 「朝っぱら」の「ぱら」って何?
A 腹のこと

 今では「朝早く」という意味で使われる「朝っぱら」ですが、元は「朝腹」といい、朝食前の空腹を表していました。また、「朝飯前」のような「至極簡単」という意味で使われていたこともあり、江戸時代の人形浄瑠璃に「そんなことは朝腹」というセリフがみられます。

Q 「ふとん」を「蒲団」と書くのはなぜ?
A 蒲の葉で編んだ敷物だったから

「蒲団」はもともと、禅僧が座禅の際に用いた敷物のことで、「蒲(がま)」の葉を「団(まる)く」編んだものでした。やがて、綿や藁(わら)、羽毛などを布地でくるむ現在の座蒲団になり、また大型化して寝具の蒲団になりました。同時に本来の意味の「蒲」が忘れられ、「布」が当てられるようになりました。

Q 「山勘」は「山」と関係あるの?
A 勘で鉱山や鉱脈を探すことが由来

 ここでいう「山」とは鉱山や鉱脈のこと。鉱山や鉱脈を探し当てて採掘する「山師」のように勘を働かせることを「山勘」といいます。「山を掛ける」「山が外れる」なども同じ「山」。ほかに、戦国武将の武田信玄の参謀で、軍略に長けていたといわれる「山本勘助」を省略したという説もあります。

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