漫画「孤独のグルメ」原作者の久住昌之氏(C)朝日新聞社
漫画「孤独のグルメ」原作者の久住昌之氏(C)朝日新聞社

コロナ禍で多くの飲食店が時短営業などを強いられるなかで、まるで「外食=悪」のように捉えられる風潮も出てきてしまった。だが、問題なのは飲食中の会話による飛沫感染であり、外食自体ではない。漫画「孤独のグルメ」原作者の久住昌之氏も「政府の対応はあまりに雑」と話し、一人メシの実践を続けている。同作の主人公・井之頭五郎がふらっと立ち寄った店で一人飯を堪能するスタイルは、飛沫拡散防止という点でも理想的だ。久住氏に、コロナ時代だからこそできる「一人メシ」の楽しみ方を聞いた。

【孤独のグルメ】東大の学食で臆せず「一人飯」を実践する五郎

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――コロナ禍になってから、外食の頻度は変わりましたか。

 外食は少なくなりました。休業や時短のお店は多いですし、仕事帰りに一杯飲んでひと息つこうとしても、店が全然開いていないですから。この状況がダラダラ続いて、お店は、今後どうなってしまうのか心配です。昔から行っているラーメン屋さんも3軒閉店しました。本当に寂しい。

 僕は基本的に仕事場で一人でマンガや文章や音楽を作っているので、食事は外食が多いです。仕事終わりは深夜になることが多いので、電車も終わっているし、普段行くのは、地元(東京)の同じ店ばかりです。なので、そのお店が閉まってるととても困ります。

――感染源として飲食店がしばしばやり玉にあげられ、閉店してしまうお店も後を絶ちません。こうした状況をどのようにとらえていますか。

複数人での飲食を理由に飲食店が一律で制限されるのは、どうなんだと思ってしまいますね。毎食でなくとも、一人での外食が日常な人は、少なくないと思います。また、小さな飲食店は、そういう人にも支えられている部分も大きいはずです。政府はそのあたりの対処が、ものすごくおおざっぱだと思っています。

――おおざっぱな規制を続ける行政に対して伝えたいことは何ですか。

 居酒屋を全部酒類禁止にするのは、あまりに雑な考えです。居酒屋は酔っ払って騒ぎたい人だけの場所ではない。騒ぎたい人がすべてではありません。静かにひとりリラックスしたい人もいるし、マスクをしながらでもいいから、お酒を飲んでおいしいものを食べて静かに語り合いたい人たちもいるでしょう。

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皆が「五郎」になったつもりで一人メシを楽しむ