ジャーナリストの青木理さん(c)朝日新聞社
ジャーナリストの青木理さん(c)朝日新聞社
党首討論での菅義偉首相(c)朝日新聞社
党首討論での菅義偉首相(c)朝日新聞社

 2年ぶりの党首討論が6月9日行われ、国会で論戦の花が咲いた。菅義偉首相と野党4党の代表が1対1でまみえた45分間の論戦を、ジャーナリストの青木理氏はどう見たのか、話を聞いた。

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 菅義偉首相に最初に挑んだのは立憲民主党の枝野幸男代表。持ち時間が30分と一番長く、「30分1本勝負」などと前評判も高かった。しかし9日は、枝野氏の質問に対し、菅首相はコロナ対策や東京五輪・パラリンピックについての持論を長々と展開し、余裕さえうかがえた。

「持ち時間がそれなりにあったから、ある程度は党首討論の形になっていたのは枝野氏くらいでしたね。他の党首は持ち時間が短すぎて批評するのが気の毒なくらい。ただ、野党は反対ばかりという批判を避けるためか、僕から見ると枝野氏は首相に配慮しすぎな印象を受けました。もっと批判的に言質を取りにいくべきではなかったでしょうか」

 唯一評価できたのが、新型コロナウイルス対策についての追い込み。

 今国会は6月16日で会期末を迎える。枝野氏は「日々変化していく事態に国会における国民に開かれた議論の必要性が高まっている。国会を閉じるといのうは政治空白です。国会を延長させ、国会の機能を十分に機能させ、国会を挙げて新型コロナウイルス感染症という国家の危機に立ち向かいましょうよ」と菅首相に呼びかけた。

「枝野氏は東日本大震災が起きた民主党政権期に国会を70日間延長させた自身の経験に触れ、野党としても協力するところは協力するから国会は開いておいた方がいいと呼びかけた。これは本当にその通りだと思います。

 16日に国会が閉じても、20日の緊急事態宣言の解除の可否、オリンピック・パラリンピックを本当に開催するならそのための危機対応、さらにはワクチン接種の進捗状況や変異株による感染者再増への対応策など課題は山積。いずれも想定通りにいくとは到底思えませんから、困窮者や医療支援態勢を含めて継続して逐一きちんと見ていかなければいけない。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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