近年さらに増えているとすれば、自分もカスハラの被害に遭う可能性は高まっていると言えます。もし、被害に遭ってもダメージは最小にとどめたいもの。だとすれば、どのような対策を講じればいいのでしょうか?

 そもそもクレームは、双方の関係を盤石にするいい機会と言われてきました。ゆえにカスハラに遭っても何とか対応していい関係を構築すべきと考えがちです。

 ただ、一線を越えたクレームは、前向きに対応しても心を痛めるだけの可能性があります。誹謗中傷や嫌がらせを受けたら、作戦を変更し、一人で対応せずに上司や同僚とチームで対応する体制にするべきでしょう。

 相手も複数で対応されると怯み、勢いが削がれる可能性が高くなります。加えて、理不尽な攻撃に対しても、こちらの説明力が強化されて優位になります。

 何を要求されても「ご意見として承りました」にとどめ、要求は受けない。ただし、誠意ある姿勢を示し、相手の話を遮らないなどケアは重要。

 我慢比べかもしれません。

 こうしてカスハラを乗り越えたあと、対応した側も痛んだ心のケアが必要になります。自分一人でため込むことなく、周囲に共有して「大変だったね」とか「自分も同じようなカスハラに遭遇した」と話をすることでガス抜きになるはすです。

 そもそもカスハラが起こらないように会社が守ってくれる環境の整備が求められるべきなので、会社としての対策を考えてもらうように上司や経営陣に提言することも必要かもしれません。

 そんな職場を変えようとしない会社は生き残ることができないでしょう。

西野一輝(にしの・かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている

著者プロフィールを見る
西野一輝

西野一輝

西野一輝(にしの・かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている。

西野一輝の記事一覧はこちら