「このコロナ禍において、格闘技選手が試合をしていく上で消費されてしまうのかされないのかっていうテーマはほんと大きいです。そういう中では自分のルールに持ち込まないとやっぱり難しいですよね。僕はそれを考えてるし、試合するだけじゃダメだって思ってます」

「ギルバート・メレンデスとかエディ・アルバレスとアメリカでやった時、『これは他流試合だな』って思ったんです。向こうに連れて行かれて向こうでやる、相手の土俵でやるっていうことだからこれは他流試合だなって。だから勝つためには自流試合に持ち込まないと勝てない、自分のルールを作らなきゃ勝てないと思ってきました。そういうことを思って、どうやったら生き残れるのかっていうのはずっと考えていました」

 自分のルールを作る、あるいは自流試合に持ち込むというのは、青木真也という存在で食っていく=生きていくことにも繋がってくる。試合への持って行き方も独自の青木流だ。

「『ONEで青木の試合がある』じゃなく、『青木の試合がある』みたいなところに持ち込みたいなと思ってます。青木の試合があることが大事なのであって、それ以外のことはそんなに大事じゃないぜ、みたいなスタンスで行きます」

 次戦となるONE Championship『ONE ON TNT IV』(日本時間29日、シンガポール)では対戦相手がセージ・ノースカットから2度対戦しているエドゥアルド・フォラヤンに急遽変更。だが青木が出場する限り「青木の試合がある」ことに変わりはなく、本人もその姿勢の通り動揺を見せない。

「当日まで何が起こるか分からないのがコロナ禍だから、あんまり驚きはないです。別にノースカットのために格闘技をやってる訳じゃないので、あんまり関係ないっていうのが正直なところで。“あぁ、そうですか”っていう感じでした。僕は良くも悪くも絶対がないと思ってるというか、信用してない部分があって、これからまだ何かあるかもぐらいに思ってます」

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対戦相手以外のものとも戦う青木